新たに創設される相続空き家の3,000万円特例控除とは!?

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平成28年度税制改正大綱発表

平成28年度の税制改正大綱が12月16日に発表されました。今回のメルマガは、社会問題化している空き家問題のその解決の一助となるであろう『空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例(以下、「相続空き家の3,000万円特例控除」とします)』を取り上げたいと思います。

 

空き家を取り巻く環境

 

いま、全国で空き家は820万戸(東京都は677万世帯/2014年時点。つまり、簡単に言い換えますと、東京都がすべて空き家になるくらい全国に空き家が!)あるという統計がでており、その数は年々増え続けています。そして、なんと2050年には1,548万戸が空家になるという試算もあります。

 

そんな中、2015年5月に空家対策法が施行され、増え続けている空き家の問題にメスが入りました。倒壊の危険性が高い、衛生上有害の恐れがある、著しく景観を損なっているなど、特定の空き家に対して固定資産税、都市計画税の軽減措置から外され最大で固定資産税が6倍になります。当社のセミナーでもこの話題を取り上げましたが、その時の参加者に話を伺うと、相続した親の家をそのままにしている。または、自宅の貰い手(住む人)がおらず将来的に空き家になる可能性があり、これは放置できない問題だと頭を抱えていました。親と子の身近な自宅に関する相続の問題が浮き彫りになってきたことで、空き家を取り巻く環境はこれからも注目され続けると思います。

 

新たに創設された空き家問題への税制面の優遇措置

今回は2016年度税制改正大綱の中で目玉となる「相続空家の3,000万円特別控除」(来年3月の国会を通過すれば施行へ)の内容を見ていきたいと思います。

 

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 【留意点】
1. 建物も譲渡する場合は、当該建物が耐震規定に適合していること
2. 相続発生時から譲渡時まで、土地や家屋を事業/貸付/居住の用に供していないこと
3. 区分所有建築物(マンション等)には適用できないこと
4. 被相続人以外に同居人がいないこと
5. 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例との選択適用とすること
6. 確定申告時地方公共団体の長等が上記1.2.の要件を満たすことを確認した旨を証する書類を添付すること
※その他、居住用財産の買換え等の特例との重複適用その他の所要の措置を講ずるとしています。
※上記表及び留意点は税制改正大綱に記載されていた「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」をまとめたものです。

 

 

では、この特例はいつの相続からを対象とすることができるのでしょうか。
大綱には『当該相続の時から当該相続の開始があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にしたものに限るとし、〜』との記載がありました。3年経過した日の属する年の年末までですから、

平成25年1月2日以降に発生した相続は要件を満たすことで特例の適用対象とすることができます。

平成25年1月2日から3年経過する日は平成28年1月1日ですので、平成28年4月1日から平成28年12月31日までに譲渡することで特例の適用対象となります。)

 

 

この特例はつまり、一人暮らししていた被相続人(親)の自宅が対象で、相続発生後から譲渡まで誰も使っていない(親族が住んでもダメですよ)状況の空き家にだけ使えますよ!という相続発生後の空き家限定の特例です。

 

 

この空き家問題に対して、行政側もなんとか解決していこうと、飴と鞭を用意したことになりましたね。鞭は今年5月に空家等対策の推進に関する特別措置法(特定空き家を固定資産税等の軽減措置から除外)を施行させ、空き家を利用もせず管理もしないなら増税するよということ。飴は、今回のこの相続空家の3,000万円特別控除の特例です。譲渡にかかる税金が約610万円も少なくなります(≒手取りが増える)。例えば税負担の大きさを気にしていた人や、売ろうか貸そうか迷っている人も、この税金面の優遇を売却のチャンスと捉え、空き家問題に本腰を入れて取り組みする後押しとなりそうです。

 

今回の特例を自宅(空き家)について考えるきっかけに

相続空家の3,000万円特別控除の特例は、『すでに相続が発生し空き家を相続している人』『特例の譲渡期間内に相続が発生し空き家を相続することになる人』には、税金面での優遇を受けられますが、予め確認等をしておいた方が良い事があります。

 

【① 自宅の時価(売買マーケット)を把握しておくこと】
譲渡価格が1億円を超えてしまうと特例が使えないようなので、事前に概算でもいいので時価を確認しておく必要があると思います。

 

 

【② 家の片づけを早めにしておくこと】
当社のお客様でも、親の遺品や私物の片づけが大変で、何を遺せばいいのか?捨てていいものは?と何カ月もかかっていました。本来であれば親が元気なうちに親と一緒に片付けができれば良いのですがなかなかうまくいきません。家の片づけは、悩むこともなくスムーズですが、時間がかかることなので事前に整理をしていくことが理想です。

 

 

【③ 安易に貸すという選択をしないこと】
空き家問題が社会的にクローズアップされてから、空き家でも固定資産税等の税金が毎年かかるため、多少賃料が安くてもいいから貸したいとうニーズもあり、空き家を借り上げるビジネスを行う会社も出るなど、空き家ビジネスも注目されるようになりました。しかし、この特例は貸してしまった後では使えないことになりそうなので、賃貸か売却かあらかじめ慎重に検討する必要があります。

 

 

【④ 実家についての話し合いのキッカケ】
この特例をただ税金が安くなるというものとして捉えるだけではなく、相続前後の実家をどうするのか?など、実家や空き家を考えるキッカケの一つとして、親子や相続人の兄弟間でしっかりと話し合っておくことが重要となり、そのキッカケになればと思います。

 

遺産相続コンシェルジュからのアドバイス

今回の税制改正大綱の相続空家の3,000万円特別控除の特例が国会を通過すれば、空き家を減らすことに少なからずプラスの影響を与えそうです。ここまで社会的にもクローズアップされ、空き家を持つ(持つ可能性がある)人は否応なしに、今後空き家(実家)をどうするのか等を気にかけるようになると思います。しかし実家とは、育った場所という想い入れもある、親との想い出もある、先祖代々引き継ぐものなど、経済的な損得勘定だけでは測れないものが沢山あると思いますし、相続する人間の想いの重さも違うでしょう。できることならば、親の気持ちや希望を元気なうちに聞き(親は子へ)、気持ちの部分の他に、家の維持負担などの現実的なこともよく話し合い、大切な実家を空き家問題化しないように、取り組んでいく必要があると思います。(記:松尾企晴)

 

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