基準地価発表!どうなる?2016年下期の不動産マーケット!

Pocket



基準地価発表!どうなる?2016年下期の不動産マーケット!写真

 

上昇地点多数!地価変動率は堅調に推移!

 
9月20日に平成28年度の基準地価(7月1日時点の価格)が国土交通省から発表されました。
 
【全用途(住宅、商業、工業)平均】
 
160929
 

3大都市圏(東京/大阪/名古屋)の地価は4年連続で下落幅縮小(≒上昇)。地方圏のうち札幌/仙台/広島/福岡の地方4市は3大都市圏を上回る上昇率を記録。この数字結果だけをみると、地価は上がり続けているんだ!これからも期待できる、と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
確かに、『住宅ローン金利の大幅低下』『マイナス金利』『外貨流入』等によって、
 
■銀座ブランドの復活:明治屋銀座ビルの地価がバブル期ピークに迫る:3,300万円/㎡
■不動産事業者向けへの貸出金残高が過去最大に※バブル期を超えている
■一時の円安等による外国人の爆買い(世界から見てまだ安全で、利回りが良い日本)
■相続税対策で高層マンションが売れるに売れた
■新築マンションの平均販売価格が高騰

 
など、3年ほど前の通称異次元金融緩和から、不動産市場にも資金が回り、上記の『マイナス金利』等の影響も受け、三大都市圏(特に商業地)を中心に不動産価格が上がっているという情報が、新聞やニュースでよく取り上げられました。
 
また、戸建て業者やマンション業者が条件の良いエリアの用地を競い合って取引していますし、投資用不動産(アパート、区分マンション等)も、首都圏全体的に表面利回りが低くても(6%台後半の物件すら中々無い。4%や5%が多い)、良いものは即売と欲しくても買えないほど個人投資家を中心に不動産投資が活況、REITも活況と、まさに不動産価格が上がったと誰もが感じている状況でしょう。
 

聞こえてきた不動産マーケット調整局面の足音


では、巷で聞くように東京オリンピックまでこのまま不動産価格は上がり続けていくのでしょうか?
 
 
実は昨年末頃から、景気のいいニュースの陰で、不動産価格のピーク(または下がり基調)を迎えたのではないかという記事や情報がチラホラとでていました。
 
 

【新築/中古のマンションや戸建て】
 
・完成在庫が増え続けている
(AERA8/15記事:世田谷区の新築マンション、販売35か所中24か所に完成在庫。
 2年ほど前の調査では、26か所中6か所。→価格高騰により実需層離れか)
・成約率の鈍化(価格は上がり続けている)
・不動産流通機構(通称:レインズ)のサイトに、募集登録件数4万件!
(首都圏の今年5月時点。昨年対比で20%強の在庫増加!)等
【賃貸、投資、他】
 
・賃貸住宅市況の悪化懸念(空室率が過去最悪の33.68%※不動産調査会社タス調べ)
・賃貸オフィスビルの供給過多による空室率上昇、賃料値下げ等の懸念
(2018年から2020年 23区で毎年約23万坪が供給。過去平均は18万坪)
・都市圏の価格高騰により、投資家が地方圏へエリア拡大(高いと感じている)等

 
この情報から感じることは、“不動産マーケットはもうピークを迎えた(越えた)のではないか”ということです。
 
これまで価格が上がってきた要因例として、金融や景気刺激政策、建築費高騰による価格押し上げ等で、それ以外では一時期新築マンション等の供給数が減ったこと(リーマンショック前後で半分くらいになっている)による売り手市場(供給数<重要数)であっことも挙げられるのではないかと思います。
 
しかし、価格が高騰し過ぎていることや、新築や中古の在庫が増えていることから、需給バランスが崩れ、売り手市場から、買い手市場(条件の良い物件を多くの在庫から選べる)に変わっているのだと思います。
 
このような変化があれば、本来は価格の調整局面(下がり基調へ)となるところではないでしょうか。

2016年下期の不動産マーケットを予測する

2016年度下期の不動産マーケットはどう読めばいいのでしょうか。これまでのことを考慮し、各市況予測をいたしました。
 

160929-2
 
今年度は不動産マーケットの潮目をかなり感じることになるのではと思います。昨年(今年初めくらい?)までは強気な価格設定や条件を提示しても、多くの手が上がり、実際その条件で買い手(借り手)がつきました。
 
これからの下半期は、その買い手はだいぶ減ると思います。金融機関が貸してくれると言っても、今のマーケットを“高い”と感じていますから、よほど欲しい、すぐ買わないといけない等の理由が無い限り、取引の動きは遅くなるでしょう。エリアにもよりますが、もうすでに買い手市場に変わっていることを認識して行動する必要があると思います。

 
不動産を動かす目的にもよりますが、売却の時期としてはオリンピック前の最後のタイミングでしょう。また投資用不動産の購入時期としては、投資目的等が明確であり、マーケットが下がったときも考慮した投資戦略(CF)もあるのであれば、借入環境の良い今はチャンスともいえるかもしれません。
 
今後も日本経済、景気対策、超高齢化・人口減少問題・世界経済などの動向やその影響も見ていく必要がありますが、すべての経済活動は需要と供給で成り立っていることを念頭に現状をしっかり見据えて、少しでも早い対応、対策が今後の成功のカギになることは間違いありません。

遺産相続コンシェルジュからのアドバイス

今回発表された基準地価の上昇(下落幅縮小)は、継続して不動産マーケットが回復基調であるいいニュースと捉えることができます。
“金融機関もお金をたくさん貸してくれるから”と、アパート建築や不動産投資などのセミナーは連日大盛況で満員だそうです。
しかし実際の現場では、空家率上昇や販売物件在庫の積み上げなど、良いニュースとはとても言えない状況が出てきています。当社でも、お客様や税理士・保険営業マンなどの専門家の方から、『アパートを建築しようとしているが、今後の不動産マーケットはどうなる?』『相続税対策でマンションを購入したい。いまは買い時なの?』などのご相談をいただきます。その際には現在、予想のマーケットをお伝えしたうえで、必ずご相談者様にお聞きすることがあります。『投資する目的は何か?』『投資して何を得たいのか?』『投資しても、他の相続対策等は大丈夫か?』などです。これに対し大概の方が明確に答えられません。(良くあるのは収入を増やしたい。でも増やして何したいの?があまり明確ではない)このような不動産を取り巻く環境(金融や市場など)でも右往左往せず、本来の目的を達成するために、まずはご自身の資産の棚卸し、必要な対策何か、それを行う目的も今一度、明確にしましょう。そのうえで、今後の不動産マーケットを見据えた不動産対策を作り上げていくことが、皆様が叶えたい、ありたい姿へ近づく一歩だと思います。(記:松尾企晴)

Pocket

無料冊子ダウンロード
無料冊子ダウンロード