相続した物件をすぐには資金化できない!?私が経験した思わぬ隣地トラブルとは!!

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核家族が増えている昨今、実家を相続したけれども、既に持ち家がある、勤務地から遠く今後も実家に住む予定がないなど、親から相続した実家を使う予定がなく売却等したいというご相談が年々増えています。 
 
今回は、相続した実家を売却して納税資金確保したいとあるお客様の話を紹介します。いくつか問題が起きましたが、その中でも特に大変だった『お隣との土地の境界線を決めること(=境界確定といいます)』についてフォーカスします。 
 

【お客様概要】 
◆家族背景:長男様(相談者/63歳)、次男様(60歳) 
◆母親が亡くなり相続が発生(父親は5年前に他界) 
◆母親の主な資産:ご自宅(土地・建物)、現金300万円 
◆相談者の希望:相続した実家を売却し、相続税の納税資金を確保したい。 
        また将来の老後の貯えとしたい。

 
 
長男様も次男様もそれぞれ持ち家を所有されているため、相続した時点で実家を売却したいとのお話でした。 
 
ご実家の土地の大きさが、流通帯よりかなり大きく、一個人への売却はマーケットから見てもかなり難しい土地でした。そこで、北・南の二面道路で土地の分割も可能なことから、相続税の申告期限も考慮し、納税計画の立てやすい不動産業者への売却を進めていくことになりました。(当社推奨の数社限定の入札活動により、希望以上の価格が出た)
 
土地を不動産事業者へ売却するには、 

①隣地の方との土地境界を明らかにすること(確定測量) 
②北側道路が私道のため通行掘削承諾書を取得すること

この2点が必須条件でした。 
 

  
   
   
   
 
 
 
 
 
 
 
売却対象地は1番 
2・3・4・5番は隣地の方 
6・7・8番は私道部分 
 
 

境界確認書への署名押印を断り続ける隣接の住民・・・

 
近隣の方と立ち会いを行い、順調に境界確認書(隣接する土地の確定書が全て揃わないと分筆は原則できない)に署名と押印を頂いていたのですが、ある日、担当測量士から『3番の方が境界確認書に署名と押印をしたくないと言っている』との連絡がありました。 
 
理由は、【法務局の方に署名と押印は必要ないと言われたから】とのことです。法務局の方がそのようなことを言った言わないは置いておいて、聴き取りなどをしているうちに、どうやら3番の方は『境界確認書に署名すると、すぐにセットバックによって土地が減ってしまう』と思っていたようです。 
実際には再建築するときなどにセットバックするのですが、そのことを3番の方へ説明しましたが、お考えは変わりませんでした。 
 
このままだと境界確認書が揃わなくなり土地分筆が出来ません。 
分筆のできない面積過大な土地のままとなりマーケット価格が下がる可能性が出てきてしまいます。 
 
そこで法務局の担当官とも協議を繰り返し、『土地境界の位置について紛争がないことを法務局が直接本人に確認でき、所定の手続きを踏めば分筆可能』として対応してもらえるようになりました。 
所定の手続き(地積更正登記という、測量後の正しい面積に直すこと)とこの交渉に時間が掛かってしまいましたが、何とか隣地や道路との境界を確定することが出来ました。 
当初、測量から境界確定までの予定作業日数は2か月でしたが、その倍の4か月近くかかりました。 
 
しかし、まだまだ予期せぬ出来事が・・・
 
 

私道の通行掘削承諾書がとれない?!

 
皆さん、「私道の通行掘削承諾書」をご存知でしょうか。道路に名前が彫ってあるわけではないので一般公道との違いは分かりにくいのですが、個人が所有している道路が意外と身近に多く存在しています。 
 
この私道に接し、私道持分のない住宅に住む場合は、原則、通行や掘削(水道管工事など)しても良いという承諾書をその所有者もらわなければなりません。これが無いと水道会社等も工事を請けてくれないでしょう。(水道工事や建設工事が出来なくなる、これが問題です) 
 
4か月近くかかった境界確認が落ち着いてきた頃、私道の通行掘削承諾書の件でも問題が出てきたのです。 
 
<主な問題> 
(1)私道所有者が10名おり、そのうち法人倒産などで連絡が取れない方が3名もいた 
(2)金銭を要求してきた(昔からの遺恨があった方) 
(3)通行や掘削しても良いが、書面に残したくない
 
 
たった1人からでも取得できないと、買主さんは工事ができず売買価格が大きく減額されてしまいます。 
スムーズに行けば2週間で終わるものですが、このような問題が起こるとそうはいきません。
 
(2)の金銭要求は珍しいものではないのでご相談者にはご理解いただき対応できました。 
(1)(2)は書面取得ができない状態ですから、あとは買主さんとの交渉です。 
(3)は買主さんに直接聞いてもらい、ICリコーダーで録音。 
 
(1)については弁護士や買主様の役員会議、工事会社への確認を経て、取得せずとも対応することで話が落ち着きました。
 
結局、この作業も2か月を要しましたが、もちろん価格は下がらずに希望額とおりで無事にお引き渡しすることが出来ました。 
 
ご相談者様からは 

『不動産の売却でこんなにも苦労するとは思いもしませんでした。本当に楽に考えていましたね。プロサーチの山田さんから、「納税期限のこともあるので、境界と私道のことは早めに進めておいた方が良い」と最初にアドバイスを受けていました。そのアドバイスを基に直ぐに動き始めたことで、今回のこのような大きな問題を納税期限までに解決できたのだと思います。本当にありがとうございました』

とのありがたいお言葉を頂戴することができました。
 

不動産の売却は準備が全て

 
何の問題もなく取引できたケースの方が少ないので、将来的に売却を考えている方は、早いうちから問題を明らかにし解消に向けた動きをしたほうが良いと我々は考えます。 
 
当社のお客様にはそのようにアドバイスさせていただき、殆どが希望期限内で取引が完了し、取引中止や価格減額などの大きな問題に至ったことはありません。 
 
いざという時に困らないように、いまから不動産の現状把握(問題点、価格目線、売り方など)することをおすすめします。 
 
 

遺産相続コンシェルジュからのアドバイス

 

今回の話の様に、相続をしたからと言って、不動産をすぐに売却(換金)できるとは限りません。しかし、被相続人が亡くなってから相続税申告は10か月以内に行わなければなりません。納税財源として不動産の資金化を考えている場合、段取りが遅れてしまうと良い条件での買主を見つけることができなくなり、売却金額が大幅に減額されてしまうケースもあります。 
相続対策では、相続税の「節税」対策のみならず、いざというときに次世代に負担がかからないよう、親の世代でできることを今のうちからやっておくことも大切な対策の一つです。
そのためには、親が所有している実家(不動産)の問題点や将来起こり得るリスクを子世代が正確に把握しておくことが非常に重要なのです。プロサーチでは、現在親の所有している不動産(実家だけではなく、賃貸アパートやマンション、底地なども含めた全て)にどんな問題点があるのかを調査することも行っております。専門家の皆様、まずはお客様の相続対策の一歩として親の所有する不動産の現状把握の提案からされてみてはいかがでしょうか?
(記:山田大地)
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