遺産分割のアプローチが変わる!『相続』の本当の意味とは!?~遺産分割問題からみえた兄弟の絆~

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みなさんは「相続」についてどのようなことに関心がありますか?
きっと、相続税や節税、兄弟との遺産分割のことなどではないでしょうか。


では、そもそも『相続』の意味に関心をもって調べたことはありますか?


「相続」とは、まず民法上では
●相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の「権利義務」を承継する(民法第896条)
とあります。


そして、広辞苑には
●家督・地位などを受け継ぐこと。跡目を継ぐこと。
●人が亡くなった場合に、その者と一定の親族関係にある者が「財産上の権利・義務」を承継する
と書かれています。


つまり、相続とは、亡くなった人に代わって、その人の行い(消費活動等含む)や財産関係のすべてを引き継ぐことであり、『〇〇を得る等の「権利」』だけではなく『●●を全うする等の「義務」』も発生することを意味しているのです。

このように、すべてを引き継ぐということは「うれしく、良い事」もあれば「楽しくない事」もあり、一人の人生を引き継ぐわけですから、様々なことを話し合い、相続しなければなりません。だから、「円満」「争族」というそれぞれの相続のカタチがあるのだと思います。


今回は「相続」の意味を考えるきっかけになった私の経験を、皆さんにお伝えしたいと思います。

ご相談者の内容と状況

【登場人物】
ご相談者:Aさん(68)
Aさんの弟:Bさん(65)


【状況と相談の概要】
・Aさん達のお母様が亡くなり相続が発生。当社に相談に来られた時には、相続発生からすでに3ヶ月が経過。
・代々続く土地を守ってきて、築40年以上のアパートや戸建て、権利関係が複雑な底地や借地を所有。
・遺産分割等について今まで具体的な話し合いをしたことはない。
・お母様の遺言書はない。
・お父様は数年前に他界。
・遺産は不動産の割合が非常多く、現預金が少ない。


この状況で、揉めないような遺産分割の方法と、相続税申告のことも含めて相談したいと、AさんBさん揃って来社されました。

争族になる予感?

プロサーチ 「遺言書は特にありませんので、遺産分割協議を行っていくことになりますが、お二人の遺産分割についてのお考えやご希望を聞かせていただけますか。」


Aさん 「私としては、母の生前から、母の代わりに地主として今まで不動産を守ってきたので、今後もそうしていきたい。だから、不動産は全て自分が引き継ぎ、現金等を弟に全て譲りたいと考えています。問題ないだろう?B。」


Bさん 「兄貴には今まで土地を守ってきたこと、母さんの面倒も見てくれたこと凄く感謝をしている。けれども、自分としては遺産の1/2を貰える「権利」があるのだから、きっちり半分貰うつもりでいるよ。」


Aさん 「・・・・・。そうか。遺産の大半が不動産で、現金が少ない。その中で半分を払うのは難しいと考えているのだが・・・」


Bさん 「それは分かっているよ。でも、1/2は権利として貰えるものだと法律で決まっているのだから、きっちりそこは分けて欲しい。不動産ではなく、できれば全て金融資産で貰いたい。」


Aさん 「・・・。プロサーチさん、Bがこう言っているが、遺産を上手く分ける方法はあるのでしょうか?」


事前にAさんからは、ご兄弟の関係性は悪くないとお伺いしていたものの、AさんとBさんの希望は大きく異なるものでした。


分割の方法について、不動産を売却するなどの様々なパターンがありそれぞれのメリットや留意点を伝えましたが、共通して持っている強い希望としては、“土地を守り続けること”でした。
ご希望を考慮し『AさんがBさんへ代償金を支払う』という方法を使えば、土地を守りながら、遺産を2分の1ずつ分けられるのでこの方向で考えてみることを提案しました。そしてお二人にも同意いただけたので、当社にて検証することになりました。

【Aさんご一家における代償金の支払い方法一例】
1)借入して一括で支払う
2)収益不動産等の収入から分割で支払う
3)不動産の一部を売却して支払う
4)自分の財産を処分等して支払う


【検証の結果、問題となったこと】
・分割払いだと40年ほどかかることが判明。Aさんは次世代に問題を残したくないと言っていたのと、所有物件の築年数も40年を超えているため収入減少の可能性もあり不安定。
・定年も近く、収入や貯蓄も少ないので自分の財産で支払えるものがない。
・借入は金利が高く月々の返済額も負担感が大きい。総支払額が1.5倍以上となり上記の収入減のことも考えると不安が残る。
・不動産を一部売却して一括や分割で支払う方法が最も楽で負担も少なく済む。しかしふたりの希望とは異なる。



本記事では数字は割愛していますが、借入や収入での返済又は自己財産で支払うパターンは、Aさん家族の収入や生活費等もすべて考慮し試算した今後の家計からみても、とても推奨できるものではありませんでした。


検証した結果を、再度当社までお越しいただきお二人へお伝えしました。


Aさん 「検証してくださってありがとうございます。賃料収入から返済することが良いのではないかと考えていましたが、40年ですか・・・。Bどう思う?」


Bさん 「40年はね・・・返済義務みたいなのをお互いの子供へ残したくないな。俺は収入もあるから借入も良いのかと思ったけど、築年数を考慮すると収入が減る方が考えやすいから返済リスク考えると難しいな」


この日は考えが纏まりませんでしたが、「代償金で支払うのは非常に大変だ」ということが分かったようです。

最終的にふたりが出した答えは・・・?

今回の事例の結論から申し上げると、Aさん・Bさんはそれぞれ不動産と現預金を全て2分の1ずつ共有で相続することにしたのです。


不動産を共有で相続した場合、将来的に権利者が増え意思決定で揉めてしまったり、例えば片方が認知症等で意思判断能力がないと不動産を動かせなくなるリスクがあります。


しかし、なぜおふたりはそのような選択をしたのでしょうか?


それは今回の相続でふたりが一番大切にしていた事として「先祖代々の土地をそのまま残していくこと」があったからです。


Aさんの希望と家族の生活を考えつつ、Bさんの希望も叶えるには、不動産を売却して現金を用意することが良いと検証でも明らかでしたが、それでも何度も打合せを重ねてきました。

その様な状況の中で私としては、「本当に何が一番大切で、何を捨てることが出来るか」と言うことに重点をあて、Aさん達の「権利(相続持分)」と「義務(代々の土地)」を誰がどのように引き継ぐのかを考えてもらうようにしました。
その結果として、不動産を共有で相続することにすると決断されたのです。


当初、Bさんは現金で貰いたいと言っていましたが、最後にはBさんはこう言いました。

「相続と聞くと親の遺産を貰える“権利だけ”が自分には有るように思っていた。今までは親や先祖から引き継いだ大切な遺産を守って行く義務について、背を向けていたが、今回のことで自分自身も兄と一緒に大切な遺産を守っていく覚悟が出来たよ。」


今回の場合、共有による将来的なリスクをお伝えしたうえで、納得して遺産分割協議を行うことになり、引き続きプロサーチではお客様の不動産や相続についてのサポートをさせて頂く事になりました。

遺産相続コンシェルジュより

世の中では「相続対策」をテーマに様々なセミナーやイベントが開催されていますが本当にお客様の希望を聞き、希望を叶えるお手伝いをしている会社、専門家、営業マンはどの位いるのでしょうか?
「代々の財産を多く残すためにとにかく節税する!」を相続対策だと考えている方も多くいらっしゃいます。それは引き継ぐ方が1人だけであれば問題はないかもしれません。
しかし、引き継ぐ人が2人、3人、4人・・・となることで、色々な考えや希望が出てきます。仲の良かった家族が相続によって揉めることは誰も望んではいないでしょう。
今回のお客様も、どう遺産を分けるかと言う「手法」にだけスポットを当てたら、最悪 「争族」に発展したかもしれません。

私は日々お客様とお会いする中で、本来「相続」が持つ意味と、世間が伝えている「相続」の意味は必ずしもリンクしていないと感じる時があります。その中で相続では「権利」と「義務」の両方を引き継ぐ、という考え方はとても大切なことではないかと今回の案件を通じて感じました。

プロサーチでは、お客様が自分自身と向き合い、周りの家族と向き合い、お客様自身が本当にありたい相続の形を“つむぐ”お手伝いをさせて頂いております。私自身も、これからも手法だけにとらわれないコンサルティングに努めて参りたいと思います。
(記:山内綾子)


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