これからの相続セミナーを考える

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参加型セミナー開催!参加者と主催者の反応の変化

今月、某証券会社の顧客向けに『自分でやってみる相続対策』と題し、参加者が主役で、自らが自分の相続相談環境や、何が問題なのか気づいてもらうことを主眼に置いた参加型セミナーを開催した。講師が一方的に話し、参加者は聞くだけという一般的なスタイルを脱してみたいと以前から構想していた。実際やってみて色々なことにお客様だけでなく主催者や我々も気づくことがあった。
 
最近「相続」というキーワードで雑誌やテレビで散々特集が組まれ、さらに毎日いたるところで相続に関連するセミナー行われ「相続バブル」が発生している。多くは富裕層や高齢者を囲い込みたい企業などが主催者となり、無料のセミナーや個別相談を突破口として自社サービスを提供する仕組みだ。当社も今年は講演が100回を超えそうな勢いで、主催者や協賛者、そして参加者の『相続』に対する『興味』『意識』が高いことを実感する。
 
しかし、ここにきて、ある変化が起きている。
それは集客鈍化現象である。
 
相続税改正の実施を来年に控える中、すでに「鈍化」ってどういうことだろう?
 
●お客様の声
『似たような内容だから、どこで聞いても同じでしょ』
『制度や税制の話が多くてつまらない。一度聞けばもう十分』
『主催者企業の商品を強引に勧められて嫌気がさした』
『世間一般的な話が多く、結局自分は具体的に何に取り組めばいいのかわからない』
『個別相談で詳細な個人情報を求められるのに抵抗がある』
 
●主催者の声
『広告を昨年の倍ぐらい出さないと昨年並みに人が集まらなくなった』
『既存顧客に相続セミナーのお誘いをしても、「よくわかっているからいいわ」と断られる』
『内容の差別化が難しくなっている』
(当社調べ)
 
どうやらお客様も企業も「相続対策」には興味があるが、そろそろ飽きはじめてきているのではないだろうか?
このような現状を踏まえ、相続に対して真剣に取り組みたい方10名限定の少人数制で“自分の相続について自分で考える”セミナーを開催した。
 

「自分でやってみる相続対策セミナー」の内容を一部ご紹介!

税制改正内容や不動産市況、細かい数字を用いた相続税対策の事例などは一切なし。相続の失敗事例を参考になぜ失敗したのか?などを参加者が直感的に感じたことを書いてもらったり、自分(親または子)の『資産の把握状況』『相談環境』『家族とのコミュニケーション』など冷静に自分で考え、答えを導き出す、ということを実践してもらった。当然普段では経験できないことに参加者は気づきの連続だった。
 
【セミナーの内容を一部抜粋】
 
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自分にかかる相続税額のみ気にしていたが、今回のお話の色々な問題があることに気づかせていただいた。有難うございました。
意外と相続人が誰か特定できない人もいる。本当に?と思ったあなた。あなたの兄弟は本当に他に居ないとなぜ言い切れるの?全戸籍見た?などと聞くと参加者は「あっそうか!」とはじめて気づく!
 
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相続のプロは身近にいない。いたとしても節税だけを指南する人は本当の相談相手と言える?
 

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大切な人のことをあまり知らない。自分のことも知ってもらえていないことに気づく。
 

参加者、主催の反応

【アンケート一部抜粋】
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自分でできる相続対策は、従来と違い自身で作成は自信を持った。
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自分にかかる相続税額のみ気にしていたが、今回のお話の色々な問題があることに気づかせていただいた。ありがとうございました。
 
セミナー中、真剣に黙々と考えペンを動かしている方、自分の資産書類を持参して悩みながら答えている方、会話しながら答えを探しているご夫婦、主催者證券会社の担当者も一緒になって参加者全員の真剣さがすごく伝わってきてきた。
 
■参加したお客様の声
『相続対策をやるにも、自分の資産や家族のことを正確に把握することが大事と分かった』
『自分できることできないことがわかった!出来ないことはプロが必要だと気づいた』
『やることが明確になった。今日から少しずつでもやってみます』
 
■主催の声
『今までセミナーに来ていただけないお客様に参加してもらえた』
『以前はセミナーどうでした?しか聞けませんでしたが、お客様のセミナー中の回答を基にいろいろ話題が広がりそうだ』
『商品をただ売り込むのではなく、まず私達がお客様を知ること、知る努力をしないといけないと気づけた』
『少数限定で呼びかけて、その人数を大きく超える反響があった。参加型セミナーは今後も取り組んでいきたい』
(上記はセミナー後のアンケート、当社ヒアリングに基づく)
 
講演後お客様の一人から、『相続対策って節税や分割のことばかり考えていたけど、肝心なことを抑えていなかったよ。自分と家族の想いを整理し、知ることがいかに大切かが分かったよ。ありがとう!早速家族と話してみるね』という声もいただいた。
 
我々は個別相談で「なぜ相続対策をするんですか?」と質問をすることがある。しかし、明確な答えが返ってくるケースは少ない。では「自分のありたい姿や望む結果はどんな感じですか?」と聞いても明確にイメージできている人はほとんどいない。「家族はどうおっしゃっていますか?」との問いには「子供に聞いたことがない」との答えも多い。実際それではどんな対策が必要なのかを導き出すことすら難しい。今回の自分でやるセミナーを通じて、お客様はもちろん主催者や我々も『多くの気づき』を得ることができたのではないか。
 
今後も相続ノウハウ等を提供するセミナーだけでなく、お客様に自ら気づき、行動する。キッカケを提供できる新たなスタイルのセミナーなども今後増やしていきたい。

遺産相続コンシェルジュからのアドバイス

相続は、資産や自分の想い、家族の想い、周辺環境など色々と複雑な問題を抱えたり、誰かの手を借りないと進められないこともあります。冒頭でお伝えした、一般論的な相続セミナーも実は必要であったり(相続の全体像を知るため)、不動産であれば、自宅やアパート、底地や借地、ロードサイドの店舗など色々な資産の具体的なセミナーも必要であったり…。税制が変われば、対象者や資産背景によっても求められるものも変わります。
常に『お客様』のことを考え、必要であれば新しい取り組みを提供していくことが、この相続分野では今後より一層求められていくではないでしょうか。(記:松尾企晴)

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