【令和3年 相続土地国庫帰属法が公布】相続の専門家なら知っておくべき、不要不動産を処分したいときの3つの方法

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【令和3年 相続土地国庫帰属法が公布】相続の専門家なら知っておくべき、不要不動産を処分したいときの3つの方法写真
2021.9.15

 
すでにご存じの方も多いことと思いますが、令和3年4月28日に『相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(以下、「相続土地国庫帰属法」という)』が公布されました。
簡単に言いますと、相続した不要な不動産を国が引き取りますよ、という新しい法制度です。
 
「相続したものの使う予定がなく管理も大変な山林を処分したいのですが、どうしたらいいですか?」
「田舎に住んでいた親から荒れた畑を相続しましたが、要りません。お金を払ってでも手放す方法はありますか?」

 
子世代からの“不要な不動産の処分”のご相談、専門家の皆様なら一度は受けたことがあるのではないでしょうか。
買い手や借り手がつきそうな不動産ならまだしも、ご相談にいらした時点で“処分に困っている”状態ですから、売却等ができる期待は薄いですよね。
 
そんななか新たに創設された『相続土地国庫帰属法』。お客様のお悩みを解決してくれる万能策のように感じますが、どうやら制度を利用するためには、非常に厳しい条件があるようです。
 
そこで今回は、相続土地国庫帰属法の概要とあわせて、専門家の皆様が知っておくべき不要な不動産の処分方法、そして今からできる準備についてお伝えいたします。
 
本記事のポイントはこちら。

・現在日本には、九州地方の土地面積を超える所有者不明の土地があり、それを解決するために令和3年4月『相続土地国庫帰属法』が公布された。施行は2年以内。
 
・『相続土地国庫帰属法』が適応されるには、「建物がないこと」や「担保権等がないこと」など厳しい条件がある。今から準備して、不要不動産の処分方法の選択肢を増やすことが重要。
 
・令和3年9月現在では、不要な不動産を処分するには「相続放棄」または「業者による引き取り」という方法があるが、それぞれに留意点がある。

 
 

 相続土地国庫帰属法とは

土地
 
親から相続した、山林・耕作放棄された畑・沼地・地方の実家・別荘地などの不要な不動産。
代々相続していく方もいますが、管理が大変といった等の理由から、名義変更もされずそのまま放棄されてしまった結果、所有者が不明になる土地が増え続けています。
 
現在、日本国内における所有者不明土地の総面積は、九州全土の土地面積より広いといいますから、驚きです。
所有者不明の土地が増え続けてしまうと、行政が土地所有者を探す費用が莫大になり財政が圧迫されたり、所有者と連絡が取れないために土地の開発が困難になったりするなど、何かと不都合が生じ、地域活性すらままならなくなります。
 
このような理由から、相続土地の国庫帰属に関する法律が、令和3年4月28日に公布されました。(施工は公布日から2年以内)
 
この法律は、所有者不明土地による問題を解決するため、相続で取得した不要な土地を国が引き取るために制定されました。
全財産を放棄する相続放棄とは異なり、対象となるのは不要な土地のみで、他の資産まで手放す必要はありません。
 
概要は以下の通りです。
 

いつから適用されるか 令和5年までに施行予定
引きとってもらえる不動産の種類 土地のみ
引き取ってもらえない土地 ①建物がある
②担保権等の設定がある
③通路、他人通行がある
④土壌汚染がある
⑤土地境界が明らかでない
⑥崖がある
⑦工作物や車両、樹木がある
⑧地中埋設物がある
⑨隣地と争いがある
⑩上記以外で管理に多分な費用や労力がかかる土地
費用 申請に係る費用や、負担金10年分

 
 

 
 
申請期限は相続発生から何年以内までとなるのか、負担金の目安はどのくらいか、などが気になるところですが、本記事執筆時点ではまだそこまでの詳細はありませんでした。
 
参考:法律案・理由(法務省HPより)
 
 

 相続土地国庫帰属法を利用するために

チェック
 
引き取り不可となる不動産の条件①~⑩のうち、どれかひとつでも該当していたら国に引き取ってもらうことができません。
 
率直に申し上げて、発表された要件からは、引き取ってもらうのは相当厳しいというイメージを持ちました。
日本一条件の厳しい買主(引き取り手)と言っても過言ではないでしょう。
 
皆様のお客様がお持ちの不要不動産も、引き取り不可の条件①~⑩のいずれかに当てはまるというケースがほとんどなのではないでしょうか。
 
もし当てはまっていれば、『相続土地の国庫帰属を申請できる状態』まで土地を整備する必要があります。申請ができる土地とは、国が引き取れる完璧な土地とも言い換えられます。
このように整備することによって、国庫に帰属しなくても買い手が現れたり、引き取り業者から引き取ってもらいやすくなったりするかもしれません。
 
では、そのためには最低限どんなことをしなければならないのでしょうか。
 

1) 建物や構築物の解体(実家建物や倉庫など全て)
2) 土地の境界確定測量
3) 収益を目的とした使用を止める(資材置き場や駐車場など)
4) 土壌汚染や地中埋設物の有無を調査する(地歴などの情報収集)
5) 隣地との揉め事を解決

 
この他にも、隣地との紛争がない状態にする必要があることから、樹木の枝葉やブロック塀などの(被)越境物の解消も必要でしょう。
 
また、国の引き取りの条件には、『土地の境界を明らかにする』という項目があります。宅地なら測りようがありますが、山林となると土地面積は広大ですし、その労力や費用は大変なものです。
 
国は、労力と費用を掛けて、まっさらで綺麗な土地にしなければ引き取ってくれません。整備には相当な時間や労力を要します。取りかかるのであれば、少しでも早く始める必要があります。
この制度を利用するためにはどのくらいの費用や労力、時間がかかるかを専門家である皆様がお客様に情報提供し、慎重に検討していただくよう促すべきでしょう。
 
 

 不要な不動産の処分方法

渡す
 
では、相続人も使わない、売却も買い手がつかない、賃貸も借り手がつかないような不要な不動産を、相続したくない、次世代に引き継ぎさせたくないから処分したいとお客様からご相談があったときに、できる対策にはどのようなものがあるでしょうか?
 
ここまでお話した土地所有権の放棄制度以外に、現時点で主に次の2つの対応策があります。
※なお、行政等への寄付という方法もありますが、行政が寄付を受け付けることがほとんどないため割愛します。
 

方法 期限 かかる費用 留意点
相続放棄 相続開始3ヶ月以内 印紙等3,000円 遺産全て放棄することになる
事業者による引き取り いつでも 引取料10万円~ 事業者の信ぴょう性

 
 
それでは詳しく見ていきましょう。

 1.相続放棄

相続の専門家である皆様はご存じだと思いますが、相続人が遺産を相続したくないときは、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に裁判所に相続の放棄の申述をする必要があります。
この手続きをしない限り、放棄することはできません。
 
参考:相続放棄の申述(裁判所HPより)
 
 

主な留意点
・不要な不動産のみの相続放棄はできない
・相続放棄者は最初から相続人ではなかったとして、他の相続人間で遺産分割協議する
・相続放棄しても管理責任を負う

 
被相続人の財産を相続時に放棄できる制度ですが、不要な不動産を含む被相続人全ての財産を放棄することとなります。
不要な不動産以外にどのような財産があるのか調査したうえで、当該制度を利用するのか、お客様に慎重にご判断いただくべきでしょう。
 

 2.事業者による不要不動産の引き取り

所有者が、引き取り事業者に対し費用を支払うことで、不動産を引き取ってもらうことができるというものです。
 
相続放棄は他財産もすべて放棄しなくてはいけないため、不要な不動産だけを処分したい人には向きません。そこで注目すべきがこの方法です。
 

金額 1筆あたり10万円~
引き取れる不動産 畑、沼地、山林、宅地、別荘地、私道など
引き取れない不動産 建物、崖地、抵当権付き土地など

 
※詳しくは、こちらから引き取り事業者へのインタビュー記事(動画あり!)をご覧ください。
 
 

主な留意点
・調査や測量費の名目で、先にお金を要求してくる事業者の場合は、詐欺の可能性がある

 
もし事業者選びにお困りのお客様がいらっしゃいましたら、プロサーチでは信用できる事業者をご紹介できますので、お気軽にお問い合せください。
 
 

 遺産相続コンシェルジュより

 
本記事のポイントはこちら。

・現在日本には、九州地方の土地面積を超える所有者不明の土地があり、それを解決するために令和3年4月「相続土地国庫帰属法」が公布された。施行は2年以内。
 
・「相続土地国庫帰属法」が適応されるには、「建物がないこと」や「担保権等がないこと」など厳しい条件がある。今から準備して、不要不動産の処分方法の選択肢を増やすことが重要。
 
・令和3年9月現在では、不要な不動産を処分するには「相続放棄」または「業者による引き取り」という方法があるが、それぞれに留意点がある。

 
今回は、相続土地国庫帰属法と不要な不動産の処分方法についてお伝えしました。
 
相続放棄と相続土地の国庫帰属は相続後の手続きのため、不要な不動産が相続税の対象となります。
これに対し、事業者の引き取りは相続前でも可能なため、生前に処分することで不要な不動産を相続税の対象から外すことが出来ます。
 
お客様にとって、不要な不動産をどうしたらいいのかというお悩みは深いものです。
売却だけでなく、不動産引き取りや、今後施行される相続土地国庫帰属法などの選択肢を提供することが、お悩みの解決へと繋がるでしょう。(記:松尾企晴)
 

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プロサーチが専門家の皆様のお悩みを解決するためにつくったコミュニティ『プロサーチ遺産相続実務倶楽部』が2021年9月29日に行う勉強会では、不要不動産の処分方法について、さらに掘り下げてお話をいたします。
(『プロサーチ遺産相続実務倶楽部』の詳細・お申込みはこちらから)
 
勉強会ではワークを交えて、より理解を深めていただくことができる内容となっておりますので、ぜひご参加ください。
『プロサーチ遺産相続実務倶楽部』会員の方は勉強会に無料でご参加いただけますので、ご興味のある方はこの機会にぜひご入会をご検討いただければ幸いです。
 

<プロサーチ遺産相続実務俱楽部 9月勉強会>
『不要不動産の処分 ~専門家が押さえておくべき3つの処分方法とは~』
お申し込みはこちらのページから

 
 

この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。
会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から信頼を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

 

 

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