【2022年最新】公示地価発表!不動産市況への影響と、専門家が押さえるべきポイント

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【2022年最新】公示地価発表!不動産市況への影響と、専門家が押さえるべきポイント写真
2022.4.15

 
国土交通省が、2022年3月22日に最新の公示地価を発表しました。
 
公示地価とは、全国各地に基準地を設定し、昨年1年間の不動産取引データを基に、2022年1月1日時点の基準地の土地価格を算出したものです。
 
基準地に建物が建っていたとしても、『更地として』評価されます。
毎年同じ基準地を鑑定するため、その地域の地価変動を把握しやすいのが特徴です。
 
昨年(令和3年度)の公示地価は、初めて新型コロナウイルス感染症の影響を織り込んだものとなり、商業地を中心に6年ぶりの下落となりました。
 
今年(令和4年度)の結果も、デルタ株などの新型コロナウイルス感染症変異株が猛威を振るっていた昨年の取引データが基になるため、今後の不動産市況を考える上でも、気になる方が多いのではないでしょうか。
 
本記事は、令和4年度の公示地価の結果をもとに、現在の最新の不動産市況を知りたい、これからの不動産市況に不安がある、とお考えの不動産相続の専門家の皆様に、是非ともお読みいただきたい内容になっております。
 
本記事のポイントはこちら。

・令和4年度の公示地価は、全用途の全国平均が2年ぶりに上昇。用途別でも、住宅地・商業地いずれもプラスに転じた。
 
・全国的に見て、インパウンド需要の強い商業地は引き続き弱含み傾向にある。
 
・今後の不動産市況のポイントは、①都心の不動産価格は頭打ち、下落に注意 ②不動産売却は今がチャンス!?

 
 

 令和4年度の公示地価

2022
それでは早速、令和4年度の最新公示地価を見ていきましょう。
 

 
全国の公示地価は、全用途平均で前年比0.6%の上昇となり、昨年の下落から上昇に転じました(昨年は0.5%下落)。
 
用途別では、住宅地は前年比で0.5%上昇(昨年は0.4%下落)、商業地は0.4%上昇(昨年は0.8%下落)となり、いずれもプラスに転じています。
 
全国の地価動向は、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の影響などにより下落した昨年(2021年度の公示地価には、2020年の取引の影響が反映されます)と比較すると、経済活動の持ち直しの動きが現れたように見えます。
 

※参考:毎日新聞
 

 公示価格ランキング

続いては、東京都単体と、全国で見たときの公示価格変動率をランキング形式でご紹介いたします。
 

東京都の公示価格

●商業地ランキング

 
商業地では、上昇率トップ3は中野区です。
中野サンプラザを中心とした中野駅周辺の再開発が進行している影響で、対象地を含め、周辺で価格が上昇しています。
 
一方で、これまでインバウンド需要が特に強かった中央区銀座は、下落幅が縮小しているものの、落ち込みは継続しています。
テレワークの影響が出ているオフィス立地では空室率が上昇し、地価が下落している地域があります。
 
●住宅地ランキング

 
住宅地では、昨年から引き続き店舗やホテル需要が減っている一方で、マンション用地の需要は増えているため、マンション開発が活発な地域の上昇が目立ちます。
 

全国の公示価格

●商業地ランキング

 
●住宅地ランキング

 
商業地、住宅地上昇ランキングともにトップの北広島市は、日本ハム球場や商業施設開発の影響で住宅開発や投資が進み、昨年に引き続いて高い伸び率となっています。
 
一方で商業地の下落が目立つ大阪市は、新型コロナの影響により中心部の店舗需要の低迷が続いているため、道頓堀は2年連続で下落率1位となっています(昨年は28%下落)。
 
 

 今後の不動産市況のポイント

不動産市況
今回の結果を見ると、昨年と比べて上昇しており、新型コロナの影響はやや落ち着いてきたかのように思えます。
ただ、ここで注意したいのは、新型コロナの影響をさほど受けず、不動産価格がかなり上がった地域、不動産の種類があったということです。
 
ここからは不動産の現場で情報交換してきたことを踏まえたプロサーチの予測、私見をお話しいたしますので、「なるほど、現場の声はそんな感じなのか」とリラックスしてご覧ください。
 

 東京の不動産価格は頭打ち!?郊外不動産の見直し

①東京の不動産価格がバブル期並み
東京23区の新築マンションは、2021年1~11月の平均価格が8,327万円となり、バブル期を超えるような高水準になっています。
 
以前の記事でもお伝えいたしましたが、弊社で港区の中古分譲マンション売却のお手伝いをした際、売却価格が購入時(15年前)の実に2倍になったケースがありました。しかも購入者は一般のお客様ではなく、不動産事業者です。
一般的に不動産事業者が購入する価格目線は、エンドユーザーの80%程度と言われていますので、今の不動産マーケットの上昇ぶりがわかりますよね。
 
しかし、不動産事業者もバブル期やリーマンショックによって倒産した仲間を見てきたり、高騰時に購入した在庫物件を赤字覚悟で処分したりと痛い目を見てきていますから、同じ轍を踏まないように慎重な姿勢を示してきています。
 
不動産会社の担当者に話を聞くと、声を揃えてこのように言っています。
 
「ちょっと価格が高すぎる。利益も取りにくくなってきたから、購入目線を下げなければならない」
「高く売れる今のうちに、在庫物件をほぼすべて処分することにした」

 
これは、不動産価格が下がっていくきっかけとなるかもしれません。
なぜなら、売却物件が市場に多くなると、需要と供給のバランスから考えて価格が下がるからです。
野菜と同じ考え方で、豊作のときはスーパーに並ぶ野菜の値段は安くなりますが、不作のときは値段が高くなりますよね。
 
こういったことが首都圏では起き始めていますので、今年は不動産の売買を考えている方は特に動きを注視しなければなりません。
 
②郊外の不動産の売れ行きが好調
都心部の不動産価格が高騰したことや、テレワーク化が進んだことで、通勤時間1時間ほどの郊外の不動産が売れています。
東京よりも手の届きやすい、千葉や埼玉、神奈川の住宅需要が増え、実際に千葉や埼玉の駅徒歩15分ほどの立地でマンション開発が盛んに行われているのです。
同じようなグレードの建物でも都心の半値ほどの価格で購入できるため、完売が続いているようです。
 
未だ新型コロナの終息が見えないことを考えると、この動きは今後もしばらく続きそうですね。
 
ただし、注意したいことは、郊外の不動産すべてが売れるわけではないということです。
東京都内で物件を買おうとしていた人たちが郊外に流れているのですから、それに見合う物件を欲しがるのです。
 
例えば、庭付き一戸建てに住みたい、東京都内だと50㎡で築25年だったから、都内じゃないならせめて70㎡以上で築15年以内の物件が欲しい…といった感じでしょう。
 
「郊外の不動産が人気らしいです!今なら高く売れますよ!」と、『郊外物件』をひとくくりにこのようなアドバイスをしても的を射ていない可能性がありますから、お客様が所有する物件についてはマーケットなどの観点からよく見定めなければなりません。
 
③コロナ融資の返済がスタート
新型コロナが蔓延し始めた2019年以降、飲食店などでは経営が厳しい状況が続いていますが、倒産件数だけを見ると、新型コロナ発生前と比較するとむしろ減少しているようです。
その大きな理由としては、日本政策金融公庫が実施した新型コロナウイルス感染症特別貸付(以下、「コロナ融資」という)です。
 
そのコロナ融資の返済が今年からスタートするため、まだまだ苦境に立たされている企業にとっては、その返済が相当な重荷になるでしょう。
そして、返済資金を確保するために、資産(不動産)の売却が増えることにより、不動産市況に影響を及ぼす可能性があります。
 
④生産緑地の指定解除による宅地供給増
今年2022年は、一定の生産緑地については指定解除ができるようになり、指定解除した土地は自由に土地活用ができるようになります。
生産緑地の指定が解除されると、それまで優遇されてきた固定資産税が【数千円/10h⇒数十万円/10h】と課税されることになります。
 
そのため、指定解除する農家の方は、

・土地活用する
・土地売却して他資産に組み換える

ということが予想されるのです。
 
この流れが、『生産緑地の指定解除により土地供給が増える』ということに繋がります。
 
なお、実際に解除されて供給されるのは全体の5%ほどだと言われていますので、予想よりは少ない量と言えそうですが、これは地域によっても変わります。
お客様のお住まいの地域ごとに確認することが大切ですね。
 

 都心の不動産売却は今がチャンス!?

上記のことから、都心の不動産価格は今が一番高い時期であると予測できるが価格下落要因も多くあるということをまず押さえていただきたいです。
 
皆様のお客様で、もし不動産の売却を検討されている方がいらっしゃいましたら、出来るだけ早めに着手した方がいいとアドバイスされてみてはいかがでしょうか。
 
不動産の種類ごとのマーケット予測を知りたい方は、下記リンク先の弊社記事にて詳しく解説しておりますので、是非ご覧ください。
 
■関連記事
2021年不動産市況の振り返りと、2022年の【不動産天気予報】

 
 
現在のロシアとウクライナの戦争が続いている状況下では、株式市場から不動産市場へお金が流れているという話も聞くようになりました。
ある程度の平常を取り戻した後は状況がまた変わってくると思いますが、直ぐに動けるよう、今のうちから備えておくことが大切です。
 
 

<今から出来る備え>
・不動産の正確な売却価格の把握(査定や入札による時価把握)
・現状の相続税評価額の確認(公示価格により評価額も上昇)
 ※特に5年以上、相続対策をしていない人は要注意!
・収益不動産のキャッシュフローの確認、改善(資産価値上昇や企業の倒産防止など)

 
 
プロサーチでは、これらをサポートできるツールや、不動産や相続について学べる勉強会を【プロサーチ遺産相続実務倶楽部】にて提供しておりますので、是非ともご活用いただけましたら幸いです。
 
 

 遺産相続コンシェルジュより

 
本記事のポイントはこちら。

・令和4年度の公示地価は、全用途の全国平均が2年ぶりに上昇。用途別でも、住宅地・商業地いずれもプラスに転じた。
 
・全国的に見て、インパウンド需要の強い商業地は引き続き弱含み傾向にある。
 
・今後の不動産市況のポイントは、①都心の不動産価格は頭打ち、下落に注意 ②不動産売却は今がチャンス!?

 


今回発表された令和4年度の公示地価は全体的に上昇していましたが、そのデータにはタイムラグがあります。
公示地価を鵜呑みにするのではなく、他の経済指標や不動産の現場に近い人の話を聞くなど、常に新しい情報のキャッチアップが必要となります。
 
不動産は一物五価と言われるほど、価格の見方や考え方は複雑です。
プロサーチでは常に最新の不動産情報をお伝えすることができますので、皆様の大切なお客様の不動産に関する時価を知りたい等のご要望がありましたら、いつでもご用命ください。(記:友重孝一朗)
 
 

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