空き家になった実家を賃貸に出したいというお客様に、必ず検討していただくべき3つのポイント

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2021.7.15

 
「空き家となった実家を人に貸すときは、何に気を付けたらいいの?」
 
親が老人ホームに入所して空き家となった実家を、『誰も使う予定がないため、相続発生までの期間、賃貸に出して収入を得たい』というお客様からのご相談が増えてきました。
 
その理由は、親が施設に入所した後の生活費や施設費用の捻出のため…なのですが、実際に検討していくと次のような悩みが出てくるようです。
 

悩みの一例
・室内のリフォームはどの程度するべきか?
・貸し出す際に期限を設けたいとき、どのような貸し方をすればいいのか?
・空室や修繕など、貸している間のリスクをできるだけ軽減するにはどうすればいいのか?

 
専門家の皆様も実家を人に貸したいと考えたとき、同じような疑問が出てきませんか。
このときに適切なアドバイスがあるかどうかで、“実家を賃貸する”ことの成否が分かれます。
 
賃貸管理会社からアドバイスや提案があっても、もしかしたら“リフォーム内容が過剰”だったり、“相続のことまで考えていない”内容かもしれません。
 
本記事では、賃貸管理会社の提案を鵜呑みにしたお客様が「やっぱり最初にちゃんと考えて貸すべきだった!」とならないように、専門家の皆様がお客様に必ずご提案すべきポイントをお伝えいたします。
 
本記事のポイントはこちら。

・空き家のリフォームにコストを掛けすぎると、投資回収できず赤字になることも。賃貸収支シミュレーションを作成し、投資コストも考慮して室内リフォーム内容を慎重に検討する。
 
・貸したい期間や目的によって、賃貸借契約の種類を【普通賃貸借契約】と【定期借家契約】から選択する。
 
・空き家の賃貸方法は、リフォームコストがかかる“人に貸す”方法だけでなく、コストがかからない“場所を貸す”という方法もある。

 
 
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相続対策に成功する家族と失敗する家族の違いとは?ゼロからわかる相続対策の進め方
 
 

 空き家を一定期間だけ賃貸に出したい場合の
 3つの検討ポイント

賃貸
 
最初に確認するのは貸す目的です。この目的によって契約方法や貸し方などが変わります。
ここでは、例えば親の介護費用の捻出等のため一定期間だけ賃貸に出す場合に、検討すべき点についてお伝えします。
 
 

 1.空き家のリフォームは投資回収期間を考慮して内容を検討する

まず1つめは、投資回収期間を考慮してリフォーム内容を決めることです。
理由は、リフォーム費用(=投資)をかけすぎてしまうと、その投資回収に時間がかかってしまうからです。
 
「費用を掛けフルリフォームをすれば、その分高い賃料で貸せる」と考えているお客様は多いのですが、その地域の賃料相場上限を超えて貸すのは至難の業です。
※ただし、内装だけでなく、立地環境など“その物件でしか手に入らないもの”があれば相場より多少高めに貸せる可能性はあります。
 
リフォーム費用をかけすぎないように、賃貸収支シミュレーションを作りましょう。

①賃料相場を調べ、想定賃料を決める
②3年間、5年間など貸す期間を決める
③リフォーム費用を借りるのかどうかを決める

 
 
例:実家(一戸建て)を5年間賃貸したときの簡易収支シミュレーション
・築40年、3LDK、80㎡、固定資産税毎年10万円
・月額賃料15万円、管理会社へ管理委託(賃料の5%)
 
<賃貸シミュレーション>

※減価償却費考慮外、所得税30%とします。
※ずっと満室とし、入居者の入れ替えはないものとします。
 
 
シミュレーションの結果、5年間で得られる収入は、【約530万円】です。
 
次に、リフォーム内容と費用のイメージ(概算)を確認します。
 

プラン 内容 費用
フルリフォーム 風呂やトイレ、キッチン、壁クロス交換など一式 約450万円
簡易リフォーム 壁クロス交換、クリーニング、小修繕程度 約100万円

 
フルリフォームだと約450万円かかりますから、ほとんど手残りがありません。
空室期間や、賃料下落があると5年間では投資回収できなくなります。
 
シミュレーションした内容をもとに周辺の地域の相場並みの賃料を考慮して、リフォームにかけられる費用を掴んでその内容を検討していくことが重要です。
 
このときに留意したいことは、“リフォーム費用は可能な限り抑えればいいというわけではない”ことです。
極端に抑えることで賃貸物件としての魅力が落ちてしまい、室内がきれいな周辺地域の競合物件との比較で相場並みで貸せなくなることもあります。
 
 

 2.貸主都合で契約期間を定められる定期借家契約の利用を検討する

 
2つめは、『定期借家契約』を利用することです。
 
空き家を一定期間後に売却したり、建て替えて子が住んだりする可能性があるときは、賃借人(居住者)に立ち退いてもらう必要があります。
このときに、立ち退きを巡って争いや、立ち退き料の負担などが生じないようにしたいですよね。
 
このような場合は、『定期借家契約』での契約が有効です。
 
一般的にメジャーなのは『普通賃貸借契約』で、【更新型】と呼ばれます。
これは契約期間が満了しても、借主が住み続けたいという意思表示をすれば住み続けられるのが原則です。
 
貸主が立ち退いてほしいと言っても、借主は正当事由がなければ応じる必要がありません。
正当事由がない場合は “立ち退き料”を支払って退去していただくのですが、お金で解決できればまだいいほうで、感情的に揉めてしまうとそもそも立ち退きまでに年単位でかかってしまったり、立ち退き自体を断念せざるを得なかったりするケースもあります。
 
一方、『定期借家契約』は【再契約型】と呼ばれ、契約期間が満了するときに貸主が再契約を希望しなければ、借主が契約存続を希望しても契約は終了します。
この場合、正当事由も立ち退き料も不要です。(ただし、契約満了の半年から1年前までに借主へ契約終了や再契約の通知をする必要があります)
 
貸主にとってのメリットばかりがあるように見える『定期借家契約』ですが、もちろんデメリットもあります。
 

定期借家契約の留意点
・賃料が相場よりも安くなる可能性がある
 ⇒立ち退きのリスクが高い再契約型より、リスクの低い更新型の方が、借主に人気のため
 
・普通賃貸借からの切り替えは出来ない
 ⇒契約者が退去等して、新たな契約者と賃貸借契約を締結するときしかできない

 
留意点も考慮する必要はありますが、将来的に空き家を売却したり自ら住んだりする可能性がある場合には、普通賃貸借契約ではなく定期借家契約を利用することで、貸主側の都合で契約期間をコントロールすることができます。
 
 

 3.利用用途を検討する

 
3つめに、実家をどのように貸すかも重要ポイントです。
 
今回は居住用と倉庫用で、収入や運用面などを比較していきます。
 
<前提条件(都内)>
・築40年、3LDK(リビング10帖、居室6帖(畳)×3部屋)、80㎡
・居住用/月額賃料15万円 契約相手は1名
 倉庫用/月額賃料1帖5,000円 契約相手は複数人(1帖単位で貸せるため)
 

パターン 月額収入 メリット 留意点
居住用 15万円 倉庫より高く貸せる ・一人にしか貸せないので
空室リスクが倉庫と比べて
高くなる
・設備故障の修繕負担あり
倉庫用
 
(リビング6帖分
居室5帖分×3部屋
合計21帖分)
10.5万円 ・複数人と契約できるため
安定収入が得やすい
(0になりにくい)
・初期費用を抑えられる
・設備故障の負担が少ない
・柔軟性が高い
(1部屋のみ貸す等)
・居住用より収入低い
・倉庫需要がないと収入低い

※倉庫の1帖あたりの賃料は、モノオク株式会社のサービスのデータを参考としています。
※倉庫で貸せる部分は、人が荷物を置くために使うスペースを除いた部分のため、リビング10帖⇒6帖分、居室6帖⇒5帖分として計算しています。
 
 
居住用として貸す方が賃料収入は多くなりますが、設備修繕など突発的な費用負担があることも計算に入れておく必要があります。
 
倉庫には人が住みませんから、それらの設備修繕費用が掛かりません。
また、初期費用も居住用と比較するとドア交換(セキュリティのため)とクリーニングくらいなので、30万円程に抑えることができます。
 
居住用と倉庫用、貸すときのそれぞれのメリットとデメリットの一例をご紹介しました。
この他にも活用方法はありますが、お客様の意向(収入が欲しい、設備投資を抑えたいなど)を踏まえ、「人に住んでもらうのか」「倉庫などスペースとして貸すのか」の活用方法を選択してください。
 
 
その他に留意すべき点として、そもそも親が所有している実家を賃貸に出すためには、親が意志判断能力を喪失する前に、家族信託契約を締結しておかないと貸せなくなってしまう可能性があります。
家族信託をお客様へご提案する際のポイントについては、こちらの記事をご覧ください。
 
■関連記事
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 遺産相続コンシェルジュより

 
本記事のポイントはこちら。

・空き家のリフォームにコストを掛けすぎると、投資回収できず赤字になることも。賃貸収支シミュレーションを作成し、投資コストも考慮して室内リフォーム内容を慎重に検討する。
 
・貸したい期間や目的によって、賃貸借契約の種類を【普通賃貸借契約】と【定期借家契約】から選択する。
 
・空き家の賃貸方法は、リフォームコストがかかる“人に貸す”方法だけでなく、コストがかからない“場所を貸す”という方法もある。

 
実家を一定期間貸したいとご相談を受けたとき、本記事でご紹介した3つのポイントを、お客様にしっかり考えていただくことが必要です。
貸した後になって「もっとちゃんと検討しておけばよかった!」とお客様が後悔することにならないよう、専門家の皆様には事前の検証の十分なサポートが求められます。
 
お客様の相続財産額において、不動産が占める割合が高いケースは多いです。
占める割合が高い分、選択を誤ると大きな損失が出てしまいますから、お客様に『実家を貸すなら、先のことも考えて、収支シミュレーションや貸し方を検討しましょう』とお伝えしてみてください。
もちろん、プロサーチでも収支シミュレーションや貸し方のご提案など、いつでもアドバイスさせていただきます。お気軽にご相談ください。(記:松尾企晴)


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この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。
会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から信頼を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

 

 

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