相続が発生しても対策はできる!

相続が発生しても対策はできる!

相続が発生しても対策はできる!写真
被相続予定者
佐藤和夫さん(長男・61歳)
相続予定者
父(88歳)
ご相談者
母(90歳)、長女(62歳)、長男(61歳)、次男(58歳)
対象不動産
自宅、賃貸マンション、畑(生産緑地)、生命保険、現金

ご相談内容

和夫さんの父親が亡くなり、担当の税理士さんからほぼ全ての不動産を相続人全員で共有相続し、相続税の納税は一家にある現金と保険金で行っては?との提案がなされたようだ。しかし、和夫さんはお金を一家に残し、自宅から遠い生産緑地だった畑(土地)の一部を物納したいと考えていた。相続発生から3ヶ月後、証券会社主催で当社が講演を行った「物納セミナー」に和夫さんは参加した。その後、当社に直接電話で連絡を取り、お会いすることになった。

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当事務所の提案と解決策

畑は物納できるの?

話を聴くと、生前お父さんが従事者として生産緑地の登録がされていたが、今後佐藤家では誰も畑を継ぐ人がいないこと。兄弟で共有で不動産を相続したくないことや家督相続的な考えが一家にはあることなどを聴くことができ、最後に「生産緑地が解除できれば畑も物納できますか?」との質問があったので、「要件は色々ありますがクリアできれば可能です。しかしそれより有利な方法も…」と回答した。

畑は物納できるの?

物納とは、金銭でも延納によっても納めることのできない場合に限り、相続した財産で納めることができる制度である。だから相続財産や相続人固有に現預金や収入がある場合は物納が難しい。
だが、「金銭納付困難」の判定は相続人ごとにすることになる。よって佐藤家の場合、預貯金や保険金、収益が得られる不動産をお母さんが相続し、その他の不動産を上手に子供たちが相続することで、「金銭納付困難」状態となるように遺産分割を工夫することで、畑の一部が物納できる可能性が出てくる。

残す不動産の勝ちが下がらないような工夫を!

納税額はおよそ2億円。納税対象地は畑で評価は4億円(宅地並み評価)。建築などに詳しくない人は、土地を縦に真半分に割って片方を物納しようとする。しかし、残った土地は確実に使いづらい土地となる。そこで図のように分筆することを提案した。多少、納税する土地の面積は増えるが(分割後の評価となるため)残された土地は間口も広く、整形で使いやすい。どの土地を物納するかは納税者が選択できるので、相続税を納めることも重要だが、残った土地の利用と価値が下がらない工夫はもっと大切である。

物納と売却の両建てで納税資金の準備!

相続発生後10ヶ月で相続申告と物納申請をする。物納整備に費やせる時間は最大でも申請から1年の猶予しかない。生産緑地の解除や測量作業など考えると佐藤家の場合時間がない。また、物納価格より有利に売却できるのであれば売却の実行も並行して検討しなければならない。物納整備を進めながら、資金力と信用力のある不動産会社4社に絞り畑(土地)の処分のための入札を行った。納税用として、半分だけの土地と敷地全部を処分した場合の価格を各社から提示してもらった。最終的には、相続財産評価額の1.5倍以上の価格を示したA社に土地全部を売り、相続税は現金で納付することになった。予想より高く売れたことで、多くの資産が残せ、現金が増えたことで分割もスムーズに行える結果となった。

相続診断士からのアドバイス!

芳屋昌治
納税は「物納・売却」どちらでも有利な方を選択できるように両建てで準備を進めるべきです。また複数の不動産業者に売却(仲介)を依頼すると情報が混迷し良い結果が出ないことがしばしば見受けられるので、誰に依頼するのかを慎重に選ぶことが大切です。また売却した時は、手数料などの諸経費や譲渡税の有無も考慮した上で、納税が可能かどうかの検証が欠かせません。今回の佐藤さんの場合、納税スケジュールを作成して関係者で共有・管理し、生産緑地の解除がスムーズにできたこと、資金力があり信頼性の高い買主を見つけられたこと(安心して決済できる先だから納税確実)、税理士と協力して物納・売却を並行して検討できたことなどが成功のポイントとなりました。(芳屋昌治)

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