タワーマンションの評価見直し決定!今後の相続対策への影響は?

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タワーマンションの評価見直し決定!今後の相続対策への影響は?写真

 

タワーマンション節税見直し

 
今やタワーマンション節税といえば、一度は相続対策を検討された方なら知らない人はいないだろう。タワーマンションの時価と評価の乖離を利用した節税スキームだ。他の不動産と比べ節税効果が高いため、相続税対策したい富裕層の間で需要が高い。実際に都心部のタワーマンションでは、価格高騰も背景に相続税評価額が時価の5分の1ほどになることも珍しくない。同じ不動産でも、戸建てや1棟の不動産ではここまで評価が下がることはほとんどないため、タワーマンションだけの特権と言えるだろう。
 
この特権に対して報道にもあるように、政府は20階建以上のタワーマンションについて、階層の違いによる固定資産税評価の見直し(高層階の固定資産税評価引き上げ、低層階は引き下げ)の検討に入った。どうやら今年の税制改正大綱に盛り込むことを目指しているようだ。

 
<今後改正予定の内容>
■2018年以降引渡し予定の20階建以上の新築タワーマンションが対象
■固定資産税評価について高層階は増額、中層階は変わらず、下層階は減額とする
 
※具体的な階層別の評価按分割合は検討中とのこと
※2018年までに引き渡しされる物件に対しては、これまで通りの評価方法
 

タワーマンション節税とは?

そもそもなぜ、このような見直しがされるほど、タワーマンション節税が問題視されているのだろうか?それは、時価(販売価格)と相続税評価の差が高層階部分になればなるほど大きいということだ。
 

区分マンションは、建物の専有部分の持ち分に応じて土地の持ち分(敷地権)が割り当てられるため、タワーマンションのように戸数が多くなればなるほど、各人の土地持ち分は少なくなる(ほんの数㎡程度)。そのため戸建や一棟の不動産と比べて土地の評価が低くなる。
 

建物は固定資産税評価額で評価されるのだが、タワーマンションの高層階と低層階においてでも、『評価方法は同じ』であるが、眺望などにより時価は高層階の方が高くなるため、その分時価と評価の差が生まれ、節税効果は高くなる仕組みだ。
 
資産評価システム研究センターが全国の新築高層マンションの分譲価格を調べたところ、最上階の床面積あたりの単価は最下層階より平均46%高かったという。
 
<タワーマンション評価例>
■同マンション内の同じ専有面積で階数の違う部屋※金額はイメージ
image
このように同じ専有面積において、高層階の部屋を購入すると、時価が高い割に評価は変わらないため、固定資産税や相続税が安く抑えられるメリットを受けられる。
 
改正後のイメージは以下になる。※金額はイメージ

※時価を踏まえた固定資産税の按分方法は現在検討中。

 
このため、タワーマンション(特に高層階)を利用した節税対策の需要が多い。
しかし、注意しなくてはならないことがある。実際の判例で、相続発生前に購入し相続後すぐに売却して、多額の税の支払いを逃れるなど、行き過ぎた相続対策に対し税務署がNOを出した例もあることだ。このように相続前に購入すれば評価を大幅に下げることができ、直ぐ売却すれば元の金額で売ることが可能であるということを政府は問題視している。

 

今回の改正の目的は?

では今回、政府の改正の根本にある目的は何だろうか。単純に高層階と低層階のバランスを取りたいだけだろうか。
 
そもそも今回は、高層階を増税しても下層階は減税するため、全体を見ると税収増加は望めないものだ。そのため根本の目的としては、タワーマンションに対し大きな節税ができないような課税方法(より販売価格へ近づける)への是正であると思う。しかし、いきなり大きな改革をしてしまうと、所有者の反発や市場の混乱を招く可能性があるため、段階的な改革が必要となる。そのため、まずは今回のような相続税評価への影響が少ない改正をすることで、国民に評価是正を進めるための理解を得る目的があったのだろう。
 

今後の展望は?

今回の改正は、あくまでも大きな改革への布石に過ぎないかもしれない。そのため今後も政府が問題視するようなら、段階的にこのような改正が続いていく可能性があるだろう。
 
例えば、非上場企業のように、相続発生前3年以内に取得した不動産は、時価評価とするといったことも想像できる。このように現状と同じような制度がすでにあるため、国民が受け入れやすいと考えるからだ。
 
また海外(アメリカやドイツ等)においては、日本と違い、土地よりも建物に重きを置いた評価方法や時価で相続税評価を算出する国もある。アメリカでは、主に土地建物の評価割合は1:3だ。このように時価を相続税評価方法に採用することにより、タワーマンションの価格是正を行うことも出来るため、可能性の一つとして抑えておきたい。

 

遺産相続コンシェルジュからのアドバイス

今回の改正では、固定資産税・相続税への影響は少ないため、直近の相続対策やマンション市場への影響は限定的と考えています。上層階においては多少評価額が上がりますが、引き続き相続税対策としては有効的な手段ですので、タワーマンション需要はまだ継続するでしょう。ただ、直近のマンション価格の過熱感と合わせ、2017年築の新築タワーマンションの高層階には、駆け込み需要が発生する可能性がありますので、一時的な価格上昇には注意が必要です。
今後も時間を掛けてタワーマンションの評価是正が行われる可能性は高いです。もし有効的な手法で無くなった場合でも問題ないよう、今のうちから専門家に相談し、バランスのよい相続対策が出来るように検討されてみては如何でしょうか。(記:友重孝一朗)

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