【2021年】相続した土地を放棄できる制度が創設。どうなる土地問題?

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【2021年】相続した土地を放棄できる制度が創設。どうなる土地問題?写真

2021.7.13

 
 
親から不動産を相続、自分では使わないし、売却や賃貸しようとしても買い手や借り手がつきそうにもないとお困りではありませんか?
 
このようなお悩みをお持ちの方からのご相談はよくあります。特に、山林、耕作放棄された畑、沼地や地方の実家、別荘地がその代表例です。
 
代々相続していく方もいますが、管理が大変等の理由から、名義変更もなくそのまま放棄されてしまった結果、所有者不明の土地が増え続けています。
 
所有者不明な土地が増え続けてしまうと、行政が土地所有者を探す費用が莫大になり財政圧迫されたり、その土地を開発するときに所有者と連絡がとれず困るなど、何かと不都合が生じ、地域活性すらままならなくなります。
 
現在、所有者不明の土地は九州地方の土地面積程度もあるようですから、驚きです。
 
このような理由から、新しい法制度ができました。
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(以下、「相続土地国庫帰属法」といいます。)』というものです。簡単に言うと、皆さんが持っている不要な不動産を国が引き受けるということです。
 
 
本記事では、相続土地国庫帰属法の概要とその使い方、今から準備しておくことなどをお伝えします。親から相続する予定の不要な不動産について、処分方法の選択肢を増やし、いざという時に備えておきましょう。
 
 
今回のポイントは以下の通りです。
 

・現在日本には、およそ九州地方の土地面積分の所有者不明の土地があり、それを解決するために2021年4月「相続土地国庫帰属法」が公布され、2年以内に施行される。
 
・「相続土地国庫帰属法」が適応されるには、「建物がないこと」や「担保権等がないこと」などの条件がある。 今から準備して、不要不動産の処分方法の選択肢を増やすことが重要。
 
・2021年7月現在では、不要な不動産を処分するには「相続放棄」または「業者による引き取り」という方法があるが、それぞれに留意点がある。

 
 

相続土地国庫帰属法とは

土地
 
相続土地の国庫帰属に関する法律が、令和3年4月28日に公布されました。(施工は公布日から2年以内)
 
この法律は、冒頭にお伝えした所有者不明土地による問題を解決するため、相続で取得した不要な土地を国が引き取るために制定されました。全財産を放棄する相続放棄とは異なり、不要な土地のみで、他の資産まで手放す必要はありません。
 
概要は以下のとおりです。
 

いつから適用されるか
令和5年までに施行予定
引きとってもらえる不動産の種類
土地のみ
引き取ってもらえない土地
①建物がある
②担保権等の設定がある
③通路、他人通行がある
④土壌汚染がある
⑤土地境界が明らかでない
⑥崖
⑦車両や樹木、工作物がある
⑧地中埋設物がある
⑨隣地と争いがある
⑩上記以外で管理に多分な費用や労力がかかる土地
費用
申請に係る費用や、負担金10年分

 

 
相続発生から何年以内とする申請期限、負担金の目安など気になるところですが、本記事執筆時点ではまだそこまでの詳細はありませんでした。
 
参考:法務省HPより 法律案・理由
 
 

相続土地国庫帰属法を利用するために


 
発表された要件からは引き取ってもらうには相当厳しいというイメージを持ちました。
日本一条件の厳しい買主(引き取り手)と言っても過言ではないでしょう。
 

皆さんがお持ちの不動産も、引き取り不可の不動産①~⑩に当てはまる方が多いのではないでしょうか。
 
もし当てはまっていれば、『相続土地の国庫帰属を申請できる状態』まで土地整備してみましょう。申請ができる土地とは、国が引き取れる完璧な土地とも言い換えられます。このように整備したことによって、買い手が現れるかもしれませんし、引き取り業者から引き取ってもらいやすくなるでしょう。
 
では、そのためには最低限どんなことをしなければならないのでしょうか。
 

1) 建物や構築物の解体(実家建物や倉庫など全て)
2) 土地の境界確定測量
3) 収益を目的とした使用などを止める(資材置き場や駐車場など)
4) 土壌汚染や地中埋設物の有無を調査する(地歴などの情報収集)
5) 隣地とのもめ事を解決

 

この他にも、隣地との紛争がない状態ということから、樹木の枝葉やブロック塀などの(被)越境物の解消なども必要でしょう。
 

また、引き取りの条件には土地の境界を明らかにするという項目があります。宅地なら測りようがありますが、山林となると土地面積は広大ですし、その労力や費用は大変なものです。
 
つまり、労力と費用を掛けて、まっさらで綺麗な土地にしなければ引き取ってくれません。
整備には相当な時間や労力を要します。この制度を利用するには今から準備を始め、かつ慎重に検討するべきでしょう。
 

不要な不動産の処分方法


 
自分も使わない、売却も賃貸も買い手や借り手がつかないような不要な不動産を相続したくない、次世代に引き継ぎさせたくないから処分したいなどというとき、これまで説明してきた土地所有権放棄制度以外に現時点で主に次の2つの対応策があります。なお、行政等への寄付という方法もありますが、行政が寄付を受け付けることが殆どないため割愛します。
 
 

 
期限
かかる費用
留意点
相続放棄
相続開始3ヶ月以内
印紙等3,000円
遺産全て放棄することになる
事業者による引取り
いつでも
引取料10万円~
事業者の信ぴょう性

 
では詳しく見ていきましょう。
 
 

 1.相続放棄

親の遺産を相続したくないとき、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に裁判所に相続の放棄の申述をする必要があります。この手続きをしない限り、放棄することはできません。
 
※参考:裁判所HPより 相続の放棄の申述
 

主な留意点
・不要な不動産のみの相続放棄はできない
・相続放棄者は最初から相続人ではなかったとして、他の相続人間で遺産分割協議する
・相続放棄しても管理責任を負う

 
 

被相続人の財産を相続時に放棄できる制度ですが、不要な不動産を含む被相続人全ての財産を放棄することとなります。不要な不動産以外にどのような財産があるのか調査したうえで、当該制度を利用するのか慎重に判断しましょう。
 
 

 2.事業者による不要不動産の引き取り

所有者が、引き取り事業者に対し費用を支払うことで不動産を引き取ってもらうことができます。
 
相続放棄は他財産もすべて放棄しなくてはいけないため、不要な不動産だけを処分したい人には向きません。そこで注目なのがこの方法です。
 

金額
1筆あたり10万円~
引き取れる不動産
畑、沼地、山林、宅地、別荘地、私道など
引き取れない不動産
建物、崖地、抵当権付き土地など

 

詳しくは、引き取り事業者へのインタビュー記事(動画あり!)をご覧ください。
 
 
留意点は、調査や測量費名目で先にお金を要求してくる場合は詐欺の可能性があることです。
 
弊社では信用できる事業者をご紹介できますので、お気軽にお問合せください。

 
 

まとめ

 

・現在日本には、およそ九州地方の土地面積分の所有者不明の土地があり、それを解決するために2021年4月「相続土地国庫帰属法」が公布され、2年以内に施行される。
 
・「相続土地国庫帰属法」が適応されるには、「建物がないこと」や「担保権等がないこと」などの条件がある。 今から準備して、不要不動産の処分方法の選択肢を増やすことが重要。
 
・2021年7月現在では、不要な不動産を処分するには「相続放棄」または「業者による引き取り」という方法があるが、それぞれに留意点がある。

 
 
 
本記事では、不要な不動産の処分方法をお伝えしました。
 
相続放棄と相続土地の国庫帰属は相続後の手続きのため、不要な不動産が相続税の対象となります。
 
これに対し、事業者の引き取りは相続前でも可能なため、生前に処分することで不要な不動産を相続税の対象から外すことが出来ます。
 
ご家族にとって一番良い選択肢を選べるように、たとえ不要な不動産であっても放置するのではなく、整備して処分の選択肢を増やしていきましょう。
そのために、不動産や相続に詳しい、弊社や専門家に相談することをおすすめします。

 

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この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

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