どうなる土地問題?相続した土地を放棄できる制度が創設。不要な不動産の処分方法も解説!

Pocket



どうなる土地問題?相続した土地を放棄できる制度が創設。不要な不動産の処分方法も解説!写真

2021.7.13
更新 2022.6.7

 
 
「親から引き継いだ売れない・貸せない山林や別荘をもっているけど、将来相続する子に負担がかからないようにするにはどうすれば・・・」
 
このような『不要になった不動産』についてお悩みではありませんか?
 
なんとなく放置していると、固定資産税や維持管理費を払い続けることになったり、管理の負担も大きくなってしまいます。
 
そこで、皆さんに知ってほしい「相続土地の国庫帰属法」という法律を紹介します。
 
簡単に言うと、売れない・貸せない不要な不動産を国が引き受けるということです。
 
本記事では、相続土地の国庫帰属法の概要とその使い方、今から準備しておくことなどをお伝えします。相続する予定の不要な不動産について、処分方法の選択肢を増やし、いざという時に備えておきましょう。
 
 
今回のポイントは以下の通りです。
 

・現在日本には、およそ九州地方の土地面積分の所有者不明の土地があり、それを解決するために2021年4月「相続土地国庫帰属法」が公布され、令和5年4月27日に施行予定。
 
・「相続土地の国庫帰属法」を適用するには、「建物がないこと」や「担保権等がないこと」などのかなり厳しい条件がある。親が元気な今のうちから土地を整備することが重要。
 
・本制度以外に売れない貸せない不動産を処分するには「相続放棄」や「業者による引き取り」などの方法がある。

 
■関連記事
相続対策に成功する家族と失敗する家族の違いとは?ゼロからわかる相続対策の進め方

 

 相続土地国庫帰属法とは

土地
 

『相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(以下、「相続土地の国庫帰属法」といいます。)』が、令和3年4月28日に公布されました。
 
この法律は、所有者不明土地の問題を解決するため、相続で取得した土地を国が引き取るという目的で創設されました。
 
所有者不明土地の問題とは、例えば、固定資産税を請求するため現在の土地所有者を探すための費用がかさむことによる財政圧迫、土地を開発するときに所有者と連絡がとれない、などのことです。
 
相続土地の国庫帰属法は、すべての財産を放棄する相続放棄制度と異なり、土地だけを国に引き取ってもらえます。相続した他の資産まで手放す必要はありません。
 

 制度の概要

現在分かっている本制度の主な概要は次のとおりです。
 

いつ施工されるか
令和5年4月27日
どのような不動産が対象か
土地のみで建物等がある土地は引き取らない。
相続した土地のみが対象か
相続又は相続人が遺贈で受けた土地のみ
費用
審査手数料
土地管理費相当額の費用(10年分)
引き取れない土地はあるか
境界が不明な土地はNGなど条件がある。

※施行日は発表されましたが、審査手数料などまだまだ分かっていないことがあります。
 
審査手数料以外で国へ支払う土地の管理料相当額のイメージは
市街地にある宅地(200㎡):約80万円
管理の手間が少ない原野など:約20万円
です。
 
無料で引き取ってくれるわけではないんですね。
上記の費用の他にも加算があるかもしれませんから、本制度を使いたい方は今後も要チェックです。
 

 国が引き取れない土地

国が引き取らない土地として次の10条件を挙げています。
 

 
建物があったら解体して更地にする必要があること、境界が明らかではないときは土地境界確定測量をしなければなりません。
 
建物の解体費用は、建物の構造や面積などによって変わりますが目安は、木造2階建て建物だと1㎡当りの単価は2万円~、鉄骨系で1㎡5万円~です。
 
木造の一戸建て3LDK(90㎡)を解体するとなると、解体費は180万円くらいになるということです。
 
また、土地の境界確定測量は土地面積や土地の数、接している隣地の数などによって変わりますが、30万円~としている土地家屋調査士が多いです。
 
横浜市内の一般住宅地(土地90㎡、接している隣地の数が5宅地)の土地確定測量で、60万円くらいかかりました。
 
つまり、相続土地の国庫帰属法を申請するためには、家を解体して土地の境界確定測量をするだけで、180万円+60万円=240万円の負担がかかります。
 
240万円+一般住宅地200㎡以下80万円と仮定すると320万円ということになります。
※別途、相続土地の国庫帰属法の審査手数料
 
あくまで想定の費用ですが、土地を整備するだけでも費用が掛かりそうですね。
 
相続発生から何年以内とする申請期限はあるのか、過去の相続した土地は対象となるのかなど気になるところはいくつもあります。しかし本記事執筆時点ではまだそこまでの詳細はありませんでした。
 
参考:法務省HPより 相続土地の国庫帰属法の法律案
 
 

 相続土地国庫帰属法を利用するために


 
国が引き取る条件をみて、実際に引き取ってくれる土地なんてあるのか?と思うくらい相当厳しいというイメージを持ちました。
 
これまで数多の不動産取引などに携わり売買条件をみてきましたが、相続土地の国庫帰属法にある引き取り条件は日本一厳しいと言っても過言ではないでしょう。
 
引き取りできない条件の①~⑩に当てはまる方が多いのではないでしょうか。
 
将来的に相続土地の国庫帰属法を使うのであれば、引き取ってもらいたい土地を『相続土地の国庫帰属を申請できる状態』まで土地を整備しましょう。
 

 今から整備しておくこと

では、そのためには最低限どんなことをしなければならないのでしょうか。
 

1) 建物や構築物の解体(居宅や倉庫などすべての構築物)
2) 土地の境界確定測量
3) 賃貸を止める(資材置き場や駐車場など)
4) 土壌汚染や地中埋設物の有無を調査する(地歴などの情報収集)
5) 隣地とのもめ事を解決

 
この他にも、隣地との紛争がない状態ということから、樹木の枝葉やブロック塀などの(被)越境物の解消なども必要でしょう。
 
また、引き取りの条件には土地の境界を明らかにするという項目があります。宅地なら測りようがありますが、山林となると土地面積は広大ですし、その労力や費用は大変なものです。
 
まっさらで綺麗な土地にしなければ引き取ってくれません。
整備には相当な時間や労力を要しますから、今から準備を始めておく必要があります。
 
なお、仮に申請しなくなったとしてもかかった費用や時間が無駄になることは少ないでしょう。国が引き取れるような土地は、第三者から見たら『まったく問題のない土地』とみなされるからです。
 
このように整備したことによって買い手が現れるかもしれませんし、引き取り業者から引き取ってもらいやすくなるでしょう。

 

 不要な不動産の処分方法


 
自分も使わない、売れない・貸せないような土地を相続したくないという不要な不動産は、これまで説明してきた相続土地の国庫帰属法以外に主に次の2つの対応策があります。
 
地方自治体や財団などへの寄付という方法もありますが、とくに地方自治体が不動産の寄付を受け付けることが殆どないため本記事では割愛します。
 
 

 
期限
かかる費用
留意点
相続放棄
相続開始3ヶ月以内
印紙等3,000円
遺産すべて放棄
事業者による引取り
いつでも
引取料10万円~
事業者の信ぴょう性、有料

 
 

 相続放棄

親の遺産を相続したくないとき、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に裁判所に相続の放棄の申述をする必要があります。この手続きをしない限り、放棄することはできません。
 
※参考:裁判所HPより 相続の放棄の申述
 

主な留意点
・不要な不動産のみの相続放棄はできない
・相続放棄者は最初から相続人ではなかったとして、他の相続人間で遺産分割協議する
・相続放棄しても管理責任を負う

 
 

被相続人の財産を相続時に放棄できる制度ですが、不要な不動産を含む被相続人全ての財産を放棄することとなります。
 
不要な不動産以外にどのような財産があるのか調査したうえで、この制度を利用するのか慎重に判断しましょう。
 
 

 事業者による不要不動産の引き取り

所有者が、引き取り事業者に対し費用を支払うことで不動産を引き取ってもらうことができます。
 
相続放棄は他財産もすべて放棄しなくてはいけないため、不要な不動産だけを処分したい人には向きません。そこで注目なのがこの方法です。
 

引き取り料金
1筆15万円、地続きの場合は2筆以降5万円
建物が使える場合は50万円/棟
引き取れる不動産
全国の土地、建物、共有持分も可能
引き取れない不動産
農業のみの利用に制限された土地、抵当権付き
土地の測量
不要
報酬の支払い時期
所有権移転後

 
固定資産税や別荘管理費等がある場合は20年分超がかかるなど条件があります。
詳しく話が聞きたい、見積りが欲しいなどのご希望がありましたらプロサーチ株式会社までご連絡ください。
 
留意点は、売れない貸せないと悩んでいる高齢の不動産所有者を狙った詐欺です。
 
不動産ブローカーと名乗る者から「買い手がいるから調査料をください」、「測量をして欲しいと言っているので、測量費をください」と連絡がくることがあります。
 
先にお金を支払ったら最後、そのまま連絡が取れなくなることがあります。
売れなくて困っている方の弱みに付け込んだ詐欺である可能性が高く、先にお金を要求してくる場合は気を付けてください。
 
 

 無料相談受付中

 
本記事を読んでいただいた方へ、プロサーチ株式会社では、売れない・貸せないといった土地の調査、価格査定、売買、処分の方法の検討から実行までサポートをすることができます。
 
相続土地の国庫帰属法、引き取りサービス事業者の紹介などのご相談も承っていますので、無料相談をしたい方はぜひお問い合わせください。
 

 

 

 まとめ

 
今回のポイントは以下の通りです。
 

・現在日本には、およそ九州地方の土地面積分の所有者不明の土地があり、それを解決するために2021年4月「相続土地国庫帰属法」が公布され、令和5年4月27日に施行予定。
 
・「相続土地の国庫帰属法」を適用するには、「建物がないこと」や「担保権等がないこと」などのかなり厳しい条件がある。親が元気な今のうちから土地を整備することが重要。
 
・本制度以外に売れない貸せない不動産を処分するには「相続放棄」や「業者による引き取り」などの方法がある。

 
 
本記事では、相続土地の国庫帰属法や引き取りサービスなどのことをお伝えしました。
 
ご家族にとって一番良い選択肢を選べるように、たとえ不要な不動産であっても放置するのではなく、ちゃんと整備して処分の選択肢を増やしていきましょう。
 
そのために、不動産や相続に詳しい不動産の専門家に相談することをおすすめします。
 

 相続対策オンラインセミナー開催!


 
「そろそろ相続ことを考えたい。」
 
あなたがこのように考えはじめたとき、まずはインターネットで「相続」や「相続対策」と検索したのではないでしょうか。
 
昔と比べ、現在は誰でも相続に関係する情報をとても簡単に入手することができるようになりました。
 
簡単に情報を手に入れることができるようになった一方で
 
・似たような情報があるとき、どれが正しいのかどう判断できない。
・多くの情報を得たけど、結局自分たち家族にとって役立つのか分からない。
・相続対策と検索すると節税のことばかり。対策の進め方を教えてほしい。
・不動産会社や専門家などへの相談は、なにか売り込まれそうで躊躇してしまう。
・自分で出来ることと、専門家にお願いできることを知りたい。
 
このように思われた方も多くいらっしゃると思います。
私も実際にこのようなご相談を多く受けるようになりました。
 
成功する相続対策の秘訣は、まずは相続対策の基本を知り、最初に行うことを押さえて頭の中を整理すること、そのうえでご家族にとって何をすべきかを考えていくことです。
 
本セミナーは、これまでに5,000件もの不動産や相続の相談を受けてきた講師が、相続対策を考え始めた方に向けて、相続の基本と円満相続のための対策をお伝えするセミナーです。
 
90分のセミナーのあとには、相続対策への不安は消え、円満な相続を迎えるためにまずやるべきことが見えてくるでしょう。
 
本セミナーに参加すると、次のことがわかります!
・頭の中を整理でき、いま何をするべきか
・円満相続のための正しい相続対策の進め方
・失敗に直結する、やってはダメなこと
・相続の手続きなどどのような専門家に相談したらよいか
・あなたの家族に必要な相続対策
 

≪お伝えする内容≫
・相続対策の基本と重要な4つの柱
・判断チェックシートでわかる!自分でできる相続対策
・成功する相続対策と失敗する相続対策
・相続対策の進め方とまず初めに行うこと

 

≪ぜひ聞いていただきたい方≫
・相続を考えたいけど、何から手を付けたらいいのか分からない方
・相続対策を自分で考えてみたい方
・子が、遺産を巡って揉めず、相続税の支払いで困らないようにしたい方
・実はみんな間違っている!相続対策の進め方とまず初めに行うこと 
 

 
 
■関連記事
相続対策に成功する家族と失敗する家族の違いとは?ゼロからわかる相続対策の進め方

 
 

この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

Pocket

無料冊子ダウンロード
無料冊子ダウンロード