家族信託でアパート賃貸経営をする前に知っておきたい2つのポイント。

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家族信託でアパート賃貸経営をする前に知っておきたい2つのポイント。写真

2021.5.11

 
「相続対策のために家族信託を考えたいけど、子がしっかり財産管理できるか不安がある。」
 
家族信託の相談でよく聞く悩みです。
たしかに、自分(親)が築き上げてきた財産を子に任せることに不安を感じるのは当たり前かもしれません。
 
家族信託をせず自分で管理し続ける選択肢もあるでしょう。
しかし、認知症等で意思判断能力が喪失してしまうと、現預金が引き出せない、不動産を売却できなくなったり、アパート経営が立ち行かなくなったりと、財産管理を巡って配偶者や子が大変な思いをするかもしれません。
 
そこで本記事では、子に財産管理を任せることに不安がある場合の対策をお伝えします。
 
今回のポイントは以下の通りです。
 

・財産の管理に必要な情報をしっかりと子に伝えて引き継ぐことで、子は財産管理がしやすくなる。
 
・子の判断に不安がある場合は、信託監督人やセカンドオピニオンをつけて財産を守る。
 
・親は子に適切な選択肢、情報が得られる環境を用意することが不安を取り除く方法となる。

 
 
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財産の情報を伝える

チェックリスト
 
家族信託で託す財産についての情報を余すことなく子に伝えておかなければ、資産継承はうまくいきません。
 
特に、実家とアパートを託す場合には次のような事項はきちんと整理して伝えましょう。
 

 売買契約関係の資料 

・購入時の売買契約書、建築時の請負契約書
・建物竣工図面
・建物の確認済み証、検査済み証
・土地測量図、隣地の方と締結する境界確認書
・近隣の方とのトラブルの有無(土地境界点を巡る紛争、ゴミ出し問題など)
・不動産の問題点(土壌汚染、アスベスト、塀や樹木の越境物の有無など)

 

 アパート管理関係の資料 

・賃貸レントロール(収支表)
・賃貸借契約書、賃貸申込書、入居者情報(身分証など)
・滞納やクレームの履歴
・過去の修繕履歴と、今後の修繕予定
・管理会社との管理契約、担当者 など

 
このような情報があることで不動産の状況がある程度わかりますから、子も管理や処分等の判断するときに迷わなくて済みます。しっかりとまとめて子に伝えるようにしましょう。
 
もし、これら情報が手元にない場合は、
(1)管理会社に請求する
(2)不動産会社等に情報収集と問題点の把握を依頼する
などで対応しましょう。手元にないからと言ってそのままにしておくと、いざ管理を託す時に子が困ってしまいます。
 
これら情報があるだけでも子はずいぶんと助かりますが、アパートであればクレーム対応の仕方など実務的な対応についても伝えられるようにしましょう。
 

 実務的な対応の例 

・雑草処理などのメンテナンス・・・依頼している会社名、担当者、連絡先、費用
 
・家賃滞納時の対応・・・管理会社へ連絡/分割払い応じるなど、過去どのような対応をしてきたか

 
親がこれまでどのような対応をしてきたのかを伝えると、子はそれを基準にしっかりと対応できるようになります。
 
 

専門家を頼る


 
財産の重要な判断を子に託すのは不安もあるし子も大変。
 
このような時は専門家に依頼しましょう。
家族信託契約に信託監督人として専門家をいれることや、家族信託には入れずセカンドオピニオン契約をするなどの対策があります。
 
どちらも、『財産のことを専門家に相談できる』環境がありますから、親としても安心材料ですし子も不安が減ることでしょう。実際に私たちも親や子の相談役として相談を受けアドバイスしています。
 
それでは、信託監督人(家族信託内)とセカンドオピニオン(家族信託外)のメリットと留意点をお伝えします。
 

 信託監督人

信託監督人は、受託者(子)が受益者(親)のためにしっかりと財産管理をしているかどうか監視し、受託者の行為を取り消したり、受託者から行為の承諾をしたりします。
 
信託監督人には親戚や専門家など誰でもできますが、例えば不動産の売却や購入などの専門的な判断をしなければならないため、専門家の方が良いかもしれません。
 

 メリット 

・家族信託契約で信託監督人の承諾を得ることを実行条件できる。つまり、専門家のチェックが入るので安心できる。
 
・子の勝手で専門家を排除できなくさせられるので、信託期間中のお目付け役ができる。

 

 留意点 

・子と信託監督人とが性格など合わない場合、子がやる気を失うことがある。家族信託の契約前に子と引き合わせておく。
 
・信託監督人もすべての財産に詳しいわけではない。信託監督人の専門家としての力量や専門家ネットワークを確認しておく。
 
・信託監督人の報酬がかかる。家族信託期間中かかるため費用の捻出を考えておく。

 

 セカンドオピニオン

家族信託の契約内容には登場しません。そのため、信託監督人のような取り消しなどの権限はありませんが、受託者(子)の判断や実行のサポートをする役割です。
 
セカンドオピニオンは、友人などではなく、その分野の専門家に依頼することが想定されます。例えば、不動産についての相談であれば家族信託に詳しい不動産会社、税金の相談であれば家族信託にも詳しい税理士などでしょう。
 

メリット

・子が自分に合った専門家を付けられる。
 
・財産ごと、相談したい内容ごとに専門家を選ぶことができる。
 
・セカンドオピニオン契約を続けるのも、やめるのも子が決められる。

 

留意点

・家族信託と信託財産に詳しく公平なアドバイスをしてくれる専門家かどうか。家族信託組成した司法書士などに紹介してもらうとよい。
 
・セカンドオピニオン報酬がかかる。相談内容などを吟味し余計な出費を抑える。親ができることはしっかりと準備し子に伝えておく(本記事の“財産の状況を伝える”を参照)

 
専門家を頼って得られる価値は、適切な選択肢・情報の提供があることだと考えています。
子の財産管理に不安があるときは、これらの提供がある環境を作っていくことが、不安を取り除く方法でしょう。

 
ここで紹介した信託監督人とセカンドオピニオンは、両方付けることも可能です。家族信託を検討している方は、家族信託契約を作成する司法書士などの資格者へ相談してみてはいかがでしょうか。
 
 

まとめ

 

・財産の管理に必要な情報をしっかりと子に伝えて引き継ぐことで、子は財産管理がしやすくなる。
 
・子の判断に不安がある場合は、信託監督人やセカンドオピニオンをつけて財産を守る。

 
・親は子に適切な選択肢、情報が得られる環境を用意することが不安を取り除く方法となる。

 
 

自分(親)が築き上げてきた財産を子に託すことは勇気や覚悟が必要でしょう。不安があるのも当然だと思います。
 
しかしそれは子にとっても同じかもしれません。しっかりと財産管理するためには、親が知っている財産関連情報をすべて子に伝えることや、専門家に相談できる環境を整えるなどが必要だと考えています。
 
このような不安がある方は、家族信託と信託する財産に詳しい専門家に相談することをお勧めします。
 
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もし本人(親)が認知症になってしまったら、現預金の引き出しや、実家を売却するなどの行為が自由にできなくなるのはご存知でしたか?
 
例えば、親の預金口座での生活費の管理ができない、老人ホームへの入所金を確保するため 不動産を売却しようと思ってもできないなど、計画していた今後の生活に支障がでてしまうのです。
 
しかし、認知症になっても計画したとおり安心して財産管理ができ、そして子どもに資金面や財産管理などでの負担を軽くできる対策があります。
 
それが、「家族信託」です。
 
家族で財産を管理する「家族信託」という対策方法をこの機会にぜひ知ってほしいと思います。
 

< お伝えする内容 >
・家族信託とは何か?制度と仕組みを丁寧に解説!
・後見制度との違い ~メリットや留意点~
・実家や空き家、アパートなどの実例から家族信託を知る
・家族信託で財産管理に成功する家族/失敗する家族 ・・・など
 
< ぜひ聞いていただきたい方 >
・本人(親)が70歳以上で、体調面に不安がある方
・自分や家族のために財産管理をしっかり行っていきたい方
・財産管理をそろそろ子どもに任せたい(任せて欲しい)と思っている方
・相続対策を安心して確実に進めたい方
 

 

この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

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