基準地価の上昇から見る今後の不動産市場の転換期

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基準地価の上昇から見る今後の不動産市場の転換期写真

2019年の基準地価は引き続き好調

先日、国土交通省より基準地価(正式:基準地標準価格)が発表されました。
 
3月に発表された公示地価がありますので、何が違うの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
基本的な考え方は同じですが、公示地価は【1月1日時点の価格/国土交通省】であり、基準地価は【7月1日時点の価格/都道府県】という違いがあります。直近の指標を知りたいときは基準地価のほうが、現状の不動産市場をより反映していると言えるでしょう。
 

※日本経済新聞(9月19日)参照
 
令和初の基準地価は、全国の全用途で0.4%の上昇となり、2年連続のプラスになりました。昨年は0.1%上昇でしたので、上昇率でみると好調をキープしています。
 
特に注目したいのは商業地です。
三大都市圏は5.2%上昇と、上昇率が顕著だった昨年よりもさらに勢いが増し、地方圏の商業地も0.3%上昇する(マイナス0.1%からプラスに転じる)など、地価回復の動きは都市部から地方圏へと広がってきたと言えます。
 
 
要因としては、外国人観光客数の増加があげられます。
政府の政策も相まって右肩上がりを続け、東日本大震災が発生した2011年から約5倍(2018年は3,200万人)になっています。
 

※日本観光庁データ参照
 
政府は2020年=4,000万人、2030年=6,000万人となる目標を掲げています。現在開催中のラグビーワールドカップを始めとして、来年には東京オリンピック、2025年には大阪万博など、今後も外国人観光客の増加は期待できるでしょう。
 

地価上昇の裏側(反転の兆候)

このように数字だけ見ると好調で、今後の地価上昇も期待出来ると思うかもしれませんが、いい事ばかりではありません。
上昇の動きが見られるのは再開発が進む都市部や利便性が高い地域、インバウンド需要が高い観光地などに限定されるため、地方でも大きな格差が出来ており、地価調査地点の半数では下落が続いています。
また都市部でも、商業地域以外では伸び率が鈍化してきており、上昇に翳りが見え始めていることは確かです。
 

※日本経済新聞(9月19日)参照
 
 
ここで、私も大好きな、観光地の代名詞である「京都」を例に見てみましょう。
京都・祇園の中心地(商業地)では、上昇率全国6位の41.9%を記録。観光需要が顕著で、ホテルの建設ラッシュや再開発が続いています。
国内外から京都を訪れる観光客は年々増加しているため、人やお金が多く集まる土地の値段が上がるのは必然です。
 
しかし、京都全体の商業地の地価平均の推移を見てみると、6年連続で上昇してはいるものの、右肩上がりだった上昇幅が今年になり縮小しています。
 

【京都府・商業地の地価平均変動率】
2015年 1.6%
2016年 3.3%
2017年 5.7%
2018年 7.5%
2019年 7.1%


※京都府HP「京都府地価調査結果の概要」参照
 
 
要因としては、宿泊施設の行き過ぎた建設ラッシュです。
不動産サービス大手のCBREが出した2021年のホテル市場の需給予測では、京都は1万2千室過剰になると予想されており、それだけ急ピッチでホテル開発が進んできたことが伺えます。その反動が今年、伸び率に影響したのでしょう。
 

 
京都の不動産会社は、「最近の建設ラッシュで宿泊施設がやや飽和状態になっているので、土地の取得も緩慢になってきた。そのため土地の売買価格も昨年より落ち着いてきている」と話しています。こうした人気の観光地でも、一部翳りが見え始めているようです。
 

相場のピークを過ぎている!?高価格を期待する売主と、価格下落を期待する買主

不動産の売買を検討されているお客様から、オリンピックが終わったら不動産価格は下がるのでは?とのご質問をいただくことが多々ありますが、実を言うとオリンピック後ではなく、もう既に不動産の相場は下がり始めています。
プロサーチ通信でもこれまでに何度も触れていますが、その要因は、みなさんご存知の通り金融機関の融資の引き締めです。不動産市場は金融の影響を大きく受けます。金融の蛇口がしまると(融資厳格化)、購入プレイヤーが減り(需要減)、結果として相場下落に繋がっていきます。
 
このような状況であっても、基準地価などの価格指数が上昇していることから、売りたい人は『高く売却できる最後のチャンス!』と考えています。ですので、価格は思った以上に値崩れしていません(特に都内)。
逆に、買いたい人は金融の引き締めによる価格下落を期待していますから、売主と買主の間で不動産市場におけるギャップが起こっています。
他の不動産業者の方に話を聞いてみても、皆さん「今、不動産はあまり動いていない」という答えが返ってくることから、不動産市場は停滞感に包まれていると言えるでしょう。
 

資金潤沢な方はチャンス!?

このような需給と供給のギャップは、市場の空気感からするとしばらく続くと思います。
 
では、『実際のところ不動産は売り時なのか!?買い時なのか!?』専門家の皆さんも、一度はお客様に聞かれたことがあるのではないでしょうか。
このような時によく使われているのが、「欲しい時や売りたい時がそのタイミングです」といった答えですね。間違いではないですし、私もそのように答える場面はあります。
 
<身近な不動産の取引現状>

※セミナーではマーケット天気予報図で説明していますが、一部割愛して表にしました。
 
住宅用では、デベロッパーの話を聞く限りマンションよりも戸建てに人気がシフトし始めています。これまでは高くて諦めていた戸建ても選択肢に入るようになったということでしょうか。
その結果、当社への相談内容から見ても『子どもに資産として残せるのは土地の方がいいだろう、だから戸建て』という方が実際に増えています。
 
投資用については、3億円以下の収益物件の売れ行きはかなり冷え込んでいます。この価格帯のマーケットには個人投資家が多く存在していますので、融資環境の影響をダイレクトに受けます。いかにして資金潤沢な購入者を見つけられるかがポイントです。資産家やその資産家を顧客に持つ専門家とのパイプが太く強い不動産会社との連携が、売却への近道でしょう。
 
購入に慎重な方も多いと思います。しかし専門家のアドバイスのもと、将来的にも需要や資産価値の落ちにくい不動産を購入しておけば、今後も相続対策として安心感をもって不動産投資を行うことが出来ます。
 
プロサーチでは相続対策・投資の両面においても、お客様の希望や解決したい問題に合わせた不動産売買のアドバイス・サポートをすることが可能です。
今後、不動産を売買するにはタイミングが非常に難しくなってまいります。お悩みの方は是非一度ご相談いただき、ご不安の解消に繋げていただけましたら幸いです。
 

遺産相続コンシェルジュより

最近の不動産データ(公示地価、路線価、基準地価)を見るとどれも堅調に見えますが、注意していただきたいのは、どれも3ヶ月~半年以上前の取引データをもとに算出されているものであるということです。
データだけを鵜呑みにせずに、日頃から取引の現場で対応している不動産の専門家の肌感覚的なものも含め、的確なアドバイスを求めたほうが良いと思います。
そして、『不動産を売買する理由』を明確にして、ブレないようにサポートすることも専門家としての重要な役目です。「高く売りたい!」は理由ではなく、ただの希望です。「なぜ高く売りたいの?なぜ今、売るの?」といった問いかけから導き出してみてください。(記:友重孝一朗)
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