相続問題の本質はどこにあるのか?

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自分にとっての理想の相続とは何か?

最近、開催している相続セミナーでは、お客様に対して、まず最初にこのような問いかけをすることがあります。

イメージしてみてください

自分に相続が起きるということは、すなわち自分が「死ぬ」ということです。つまり自分が死んだ時に、家族にどう思ってもらいたいかを具体的にイメージしてもらうのです。そうすると多くの人は、「最後は家族に感謝されたい。」「家族にありがとうと言ってもらいたい。」というような内容のことを答えます。

もしも自分に明日相続が発生したとしたら・・・

そして次に、もしも自分に明日相続が発生したとしたら、「最後は家族に感謝されたい。」「ありがとうと言ってもらいたい。」という、今自分がイメージした理想の相続が叶うのかどうかということを考えてもらいます。

この時点で、理想の相続が叶うとイメージができる人は、既にある程度の相続対策は出来ているのかもしれません。
しかし、そのイメージができない人は、なぜイメージできないのかをもう少し掘り下げて考えてもらいます。

・財産の分け方もちゃんと伝えてないし、子供たちが財産のことで揉めるかもしれない。
・相続税の納税資金が足りなくて、子供たちが苦労するかもしれない。
・管理が大変な不動産を今のまま残したら、子供たちが大変な思いをするかかもしれない。
・もしも何の準備もしていない今、相続が発生したら結果的に子供たちに迷惑をかけることになり、中途半端に財産を残したとしても子供たちには感謝されないかもしれない。

これはあくまで一つの例ですが、このように具体的にイメージをすることで初めて、自分の「相続」のどの部分に本当の問題があるかということに気が付きます。

こうした質問を通じて、まずは自分自身で相続の問題がどこにあるのかを気が付いてもらうことが、相続対策を始めるための大きな一歩となるのです。

相続問題は誰にとっての問題か?

そしてこの質問の中でもう一つ気が付いてほしいことは、相続の問題は、子供(相続人)にとっての問題であるということです。
意外とこのことに気が付いていない人が多いのも事実です。

・相続税を支払うのは・・・もちろん子供たちです。
・借入金を引き継ぐのは・・・もちろん子供たちです。
・遺言書がなければ分割方法を決める方法は・・・残された子供たち同士の話合いです。

つまり相続が起きたときに、本当に問題となり、困るのは誰なのかというと、それは子供(相続人)たちなのです。

もしも、このことに気が付かないままに相続対策を行うと、自分が良いと思って行った相続対策が、最終的には自分の思いとは全く別の結果を引き起こしてしまうこともあります。

例えば、相続税対策の一つとして建築会社や金融機関に勧められるままに、子供たちと何の相談もすることもなく、大きな借入をしてアパートを建築したとします。長い期間でローンを組んでいるので、自分が死んだときにはまだ多くの借入金が残っていますが、もちろんそれを引き継ぐのは相続人である子供になります。

もしも、その時に子供たちが「こんな駅から遠い場所に借入がたくさん残ったアパートを残してくれて、どうしてくれるんだ!」「アパートを建てたせいで、兄弟で平等に分割することができない!」と大変な思いをすることになり、結果的には子供たち同士で分割の話をきっかけにトラブルになってしまった場合、その対策は本当に意味のある対策だったと言えるのでしょうか?

要するに相続の問題は「親」だけの問題ではないのです。
しかしながら、実際のところ「相続」は自分自身だけの問題であると考え、子供に相談をすることなく、自分だけの思いや考えで対策を進めている「親」を見かけることもよくあります。これでは相続問題の本当の解決にはつながりません。

つまり、相続問題は「親」と「子」のどちらの問題かというと「子」の問題だということが言えると思います。
「親」は「子」が相続で困らないために相続対策を行う、ということが本来の相続対策のあるべき姿なのではないのでしょうか。

遺産相続コンシェルジュからのアドバイス

私の今までの経験上、相続対策が成功している家族のほぼ全てが「親」と「子」で一緒になって相続対策に取り組んでいます。そして、その中で私たちプロサーチは、ただ単純に専門的な知識を使ってコンサルティングするのではなく、「親」と「子」のコミュニケーションを繋ぐ架け橋のような役割を果たしています。具体的には、「親」と「子」で話し合いのきっかけとなるツール(現状把握シート)を提供したり、「不動産・相続対策提案レポート」をただ作成して終わるのではなく、出来上がったレポートを使って、親子間での話し合いの場をセッティングするなど、家族コミュニケーションを促進しながら、相続対策のお手伝いをしています。親子で相続問題に取り組むことが相続対策成功への一番の近道なのです。(記:髙橋大樹)

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