【VOL.1】こんな不動産売却には気を付けろ!再建築不可の物件を売却する際に考えるべきポイント

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【VOL.1】こんな不動産売却には気を付けろ!再建築不可の物件を売却する際に考えるべきポイント写真
2023.3.31

 
不動産ポータルサイトをみると数多くの不動産が売りに出されており、土地だけの取り引き件数をみても年間133万件になるようです。
※参照:公益財団法人不動産流通推進センター 2022年度不動産業統計集よりhttps://www.retpc.jp/wp-content/uploads/toukei/202209/202209_1gaikyo.pdf
 
このすべてが順調に売れているわけではなく、売却が困難な物件も数多く存在しています。
 
立地条件、土地建物の形状、築年数なども売却を難しくする要因の一つですが、
弊社のご相談で特に多いお困り事は、『再建築不可の物件』です。
 
建物を再建築できない土地ですので、買い手は購入後に建て替えなどができません。
そのため、資産価値はとても低くなり、周辺相場よりも価格が下がってしまいます。
 
ですが、分かっていても少しでも価値を高めて売却をしたいと思う方がほとんどでしょう。
 
今回は、再建築不可物件を売却するとき、少しでも高く売れるための考え方をお伝えします。
 
 
【本記事のポイント】

・再建築できない土地は、建築基準法上の接道義務を満たしていない
 
・再建築不可の物件を保有していると、保有時や売却時に問題が発生する
 
・再建築不可の物件を売却する際は、選択肢を知ったうえで売却を進める

 
 

 そもそもなぜ再建築できない土地があるのか?


再建築不可とは、建物を取り壊して新たに建て替えができない土地のことをいいます。
その理由は、建築基準法上における接道義務を満たしていないことによって再建築できないということです。
 
『建築基準法』とは、建物を建てる際に建築物の敷地、建物の構造、設備、用途などのルールを細かく決めたもので、再建築不可に大きく関わってくるのが、建築基準法第43条です。
 
建築基準法第43条では、建物を建築する際に《幅員4m道路に2m以上接しなければいけない》という接道義務が定められています。
 

 
この建築基準法の接道義務が改正されたことにより、「改正前(建築当時)は再建築できたが、改正後(現在)は再建築不可の土地となってしまった」というケースもあります。
 
特に昭和54年の改正が大きく関わっています。
この改正は消防車の基準変更により、それまで1.82m以上とされていた接道(間口)要件が「2m以上」となり、3.64m以上とされていた幅員(道幅)要件が「4m以上」とするように改正されました。
 
 

 再建築できない場合の問題点


もし再建築不可物件を所有していた場合、どんな問題が生じる可能性があるのでしょうか。
 

 保有時の問題

①時価よりも相続税評価が高くなりやすい

再建築できる一般的な土地の場合、相続税評価額(路線価)は時価(公示価)の8割ほどに設定されているため、時価よりも相続税評価額の方が低くなることが一般的です。
 
しかし、再建築不可の物件の場合、時価は大幅に減額(相場価格▲5割以上)になりますが、
相続税評価は時価ほど大幅に下がることはありません。(再建築可能評価額の▲4割前後)
※参照:国税庁HPhttps://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/03/19.htm
 
そのため、建築不可物件を売却して相続税納税を考えた場合、相続税評価額程度でも売却できず、
「納税資金が足りない」などの問題が生じる可能性があり、注意が必要です。
 

②袋地の場合の通行権に注意

再建築不可の物件の中で、道路に全く接道していない土地を「袋地(未接道地)」と言います。
 
袋地の土地に入るために、隣地を通行して出入りしているケースがあります。
この隣地を通行できる権利を『囲繞地通行権』といい、
民法210条1項(公道に至るための他の土地の通行権)でもその権利が認められています。
 
その際に注意が必要なのが、囲繞地通行権を使う場合、通行することで隣地に与えた損害に対し、
『相当な償金を支払わなければならない(民法212条)』ことです。
 
ただ、あくまでも補償金のようなもので、通行に対する対価ではないため、
たとえ支払わなかったとしても囲繞地通行権が失われるものではありません。
しかし、今後の隣地の方との信頼関係に影響するため、話し合いのうえ費用や約束事など取り決めることをお勧めします。
 

 

 売却時の問題

再建築不可の土地を売却する場合、再建築もできず利用用途が限られる土地のため、
周辺の土地相場より3~5割ほど価格が大きく下がってしまいます。
 
また、購入者も限られるため、売却まで時間がかかることがあります。
 
 

 売却の4つの手段


 
再建築不可の物件を売却するときの手段についてご紹介します。
 
インターネットに掲載して売却する方法もありますが、先に述べたように再建築不可物件は一般個人の方が買う可能性は低いため、その手段については割愛します。
 

 ①現状のまま不動産会社等のプロに売却

プロに売却するため、一番手間が掛からず早く売却できる手法です。
 
<メリット>
プロが買うので、現状の再建築不可のまま売却できる
 
<デメリット>
再建築不可のままなので価格は低くなってしまう
 
価格はともかく、すぐにでも売却したい方にお勧めです。
買主候補は、不動産投資のセミプロオーナーや不動産買取業者です。
 

 ②隣地に売却する

隣地の方は自分の敷地を広げられるなど購入メリットもあるので、一度声をかけてみましょう。
(メリットを説明できるように、準備しておくことが大切です!)
 
<メリット>
不動産業者などのプロより高く買ってもらえる可能性が高い
 
<デメリット>
声をかけたけど隣地の方からの提示購入価格が低く、売主判断で見送る場合、
「声をかけてきたのはそちら(売主)なのに断るのか」と隣地の方と関係が悪くなる可能性があります。
 
その後、土地境界の立会いなどに応じてもらえないなど悪影響も考えられるため、
声をかける場合は、「○○万円以上でどうですか?」など具体的に条件提示をしてみましょう。
 
こちらの提示価格に対して「YESかNOか」で隣地の方に判断していただくと、関係悪化する可能性が低くなるでしょう。
 

 ③隣地の一部を購入して、接道2mを確保する

接道要件(道路に2m接する)を満たすため、不足分を隣地から購入し、接道要件をクリアしてから売却する方法です。
 
<メリット>
接道要件が満たされ再建築可能となるため、周辺相場と同等価格で売却できる
 
<デメリット>
・購入資金を用意しておく必要がある
・購入する面積が数㎡と小さくても周辺相場の平米単価になることがある
 (面積が小さいからといって、安い価格で買えるわけではない)
・購入部分に境界塀があると、解体する必要がある
 
特に袋地の場合は2m分の土地を購入しないといけないため、隣地から購入する部分が大きく、
購入のハードル(承諾を得られる可能性、購入代金など)は高くなります。
 
購入前と購入後の不動産価格査定をしておき、隣地購入した方が金額的メリットを享受できるのか確認しておくことが大切です。
 

 

 ④隣地と一緒に売却する

隣地も売却意思があるとき、一緒に売却することで、接道要件が満たされるので再建築できる土地として売却できます。
 
<メリット>
・再建築不可の問題が解消される
・スケールメリットが発生し、売買単価が上がる可能性がある
 (戸建て分譲の際に区割りが多く取れるようになる。アパートが建てられるようになるなど)
 
<デメリット>
隣地と売買代金の取得割合について話し合いが必要。(揉めやすいポイント)
 

 
 
再建築不可物件の売却には、幾つか選択肢があります。
 
選択肢があることを知った上で、いつまでに売却するのか隣地との関係金銭的メリットを確認するなど、現状把握をしておくことからはじめましょう。
 
 

 遺産相続コンシェルジュより

 
【今回のポイント】

・再建築できない土地は、建築基準法上の接道義務を満たしていない
 
・再建築不可の物件を保有していると、保有時や売却時に問題が発生する
 
・再建築不可の物件を売却する際は、選択肢を知ったうえで売却を進める

 
お客様から再建築不可物件の売却相談を受けるとき、お客様は売却価格が一般の土地より下がることや、
直ぐ売れないなどの問題に気付かないことがあります。
 
選択肢があることや、現状把握や戦略を立てて進めることが大切であるとお伝えください。
 


<現状把握と提案>
・所有物件の問題点の抽出
・再建築不可物件の売却時の選択肢と必要な作業
・売却パターンと進め方のご提案
・価格査定 など
 
不動産問題の解決に精通した不動産会社等に相談することをご推奨します。
(記:友重孝一朗)

 
 

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