『相続に絡む不動産』についてお客様から相談を受けたときに、信頼できる不動産会社の見分け方

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『相続に絡む不動産』についてお客様から相談を受けたときに、信頼できる不動産会社の見分け方写真
2022.6.30
更新2024.11.30

 
相続に関する専門家の皆様は、お客様から「相続した不動産について相談に乗ってくれませんか?」と、このようなご相談を受けたことはありませんか?
 
「売りたい」「貸したい」などやりたい事がハッキリしているご相談であれば、その分野の不動産会社に相談してみては?とアドバイスできますし、皆様にすでにお付き合いがある不動産会社がいるようでしたら、お繋ぎするといった対応もできそうです。
 
しかし、「売りたい」とも「貸したい」ともハッキリしておらず、お客様自身もどうしたらいいのか分からない…このようなご相談も多くあります。
 
『不動産に関する相談⇒不動産会社に相談』というのは分かっていても、お客様が売買なのか賃貸なのか有効活用なのか悩まれているとしたら、専門家の皆様はどのような不動産会社に相談しますか?
 
本記事では、不動産業者ではない専門家の皆様が、お客様から相続に絡む不動産相談をされたときに取るべき対応、さらには信頼して任せることのできる不動産会社の見分け方についてお伝えいたします。
相続に不動産が関わってくるケースは多く、いざご相談があった際にすぐにお役立ていただける内容となっておりますので、不動産相談対応や不動産会社探しにお悩みの方はぜひご覧ください。
 
本記事のポイントはこちら。

・一口に不動産会社と言っても、仲介や管理、建築、買取、コンサルティングなど様々である。
 
・相続に詳しいというだけでなく、お客様の意向を汲み取り公平な立場からアドバイスしてくれる不動産会社なのかを見極める必要がある。
 
・「お客様が相続で不動産を売るので、価格査定してくれませんか?」と質問した時の回答によって、相続にも詳しくお客様のためを想って提案してくれる不動産会社かどうか判断することができる。

 
 

 不動産相談を受けたときの相談先

相談先
一口に不動産に関するご相談と言っても、「売りたい」「貸したい」「建て替えたい」「どのように不動産を分けたらいいか」など様々です。
 
例えば、
「遺産の中に不動産がひとつしかなく、それを巡って兄弟で揉めないように分けるには、土地を分割するのか、共有するのか、それとも売却したほうがいいのか?」
と悩むお客様がいたとします。
 
このようなご相談があったときは、どのような不動産会社に相談すべきでしょうか?
 
 
不動産会社と言っても一括りにはできず、売買や賃貸など、それぞれ専門とする分野があります。
つまり売るのか貸すのかなど、何をするのかによって相談先が異なるのです。
 
そこで、まず各分野の不動産会社の特徴を見ていきましょう。
 

 売買や賃貸のときは不動産仲介会社

不動産を売却や賃貸したいときは、不動産仲介会社に相談しましょう。
 
いくらで売れるのか、貸せるのかを知りたいときの相談ができます。
机上調査や価格査定は無料でやってくれるところがほとんどですが、査定などに費用がかかるかどうかは事前に確認した上で相談しましょう。
 
注意点は、売買か賃貸かで、相談する不動産仲介会社が異なることです。
 
同じ仲介業務ですが、物件の調査方法ひとつからやる事が違うため、売買か賃貸どちらなのかを決めないと、相談する不動産会社が決まりません。
また、売買と賃貸どちらがいいのか?など両方を相談したいこともありますよね。
 
一つの不動産会社で両方とも対応してくれるところは少ないので、相談するときに「売買と賃貸で迷っているお客様がいまして、公平なアドバイスいただくことはできますか?」と確認しましょう。
 
相続が絡む相談であれば、相続の面からもアドバイスが可能か聞いてみましょう。
 

売買の仲介会社

売買のことなら売買仲介会社に相談するのですが、不動産の種類などによって得手不得手が更に分かれます。
 
住宅(戸建てやマンション)の売買が得意な会社もあれば、アパートやビルなどの収益不動産、別荘地などと得意分野が変わります。
 
この他にも、工場、山林、底地(人に貸している土地)など、不動産の種類によって相談先を変える必要があります。
その理由は、例えば住宅の場合とアパートの場合でも、関係する法律や税制、調査方法はもちろん、価格の算定方法、売却活動方法も変わるからです。
 

 
その不動産会社が得意とするのはどのような不動産なのか、取引実績などを聞いてみるといいでしょう。
 

賃貸の仲介会社

売買仲介会社と同じく賃貸仲介会社も、住宅、店舗、事務所、工場や倉庫など不動産の種類ごとに得手不得手が変わります。
 
こちらも売買仲介会社同様に、取引実績などを聞いた上で相談するようにしたいですね。
 

 賃貸の管理については管理会社

賃貸不動産の管理方法や、入居者対応、空き家対策などについて相談したいときは、賃貸管理会社に相談しましょう。
上記の仲介会社が管理部門を持っている場合もあるので管理しているか聞きましょう。
 
ただ、賃貸管理会社にも住宅系を得意とする会社の他に、オフィスや店舗系が得意な会社などがあり、相談する先が変わりますので、不動産の種類に合わせて選択しましょう。
 

 建物の建築、建て替えのときは建築会社

古い家を建て替えたい、畑や遊休地にアパートなどを建てたいと決めているときは、建築会社に相談します。
 
お客様自身が住む家ならハウスメーカー、アパートを建てたいならアパートメーカー、もしくはビルや工場を建てたいのかなど、建てたい建物の種類によって相談先は変わります、
 
さらに重要なのは、その建物の構造です。
木造系、鉄骨系などの部材によって得手不得手が分かれ、取り扱いができるかどうかも変わります。
相談に行く前に、その建築会社の特徴などを調べておきましょう。
 
それ以前に、どのような建物を建築したらよいか迷っているときは、いきなり建築会社に行くのではなく、設計会社に相談してみるのもいいでしょう。
 
お客様のご要望をヒアリングして土地活用プランニングも一緒に考えてくれますし、プランニングに沿った建築会社の紹介もしてくれます。
 

 不動産を直接買い取ってほしいときは買い取り会社

不動産を売買したいときに、仲介ではなく、直接買い取ってほしいというときは不動産買い取り事業者へ相談します。
 
ただし、この事業者にも次のような不動産の種類によって得手不得手があります。
 

・戸建て分譲会社
・アパートメーカー
・分譲マンション会社
・底地を購入する底地会社
・借地を購入する借地会社
・空き家を購入する会社
・不動産なら何でも買う会社

 
買い取ってもらいたい不動産が住宅エリアなのか、オフィスなどの商業エリアなのかによって、買い取り事業者が異なってくるのです。
当然ながらその土地のポテンシャルを高く評価してくれる事業者の方が価格は高くなるので、慎重に相談したいですね。
 
例えば、お客様ご自身が「売却したい土地はアパート用地に最適!」と分かっていれば、アパート買い取り業者に相談すればいいと判断できますよね。
しかし、それを正確に把握しているお客様は多くありませんので、まずは不動産調査をしてから相談先を選びましょう。
 

 不動産の活用方法について悩んでいるときは不動産コンサルティング会社

そもそも不動産を売却、賃貸、有効活用したほうがいいのかという段階で悩んでいるとき、それぞれの分野の不動産会社に相談して回るのはちょっと大変…ですよね。
 
そういうときは、不動産コンサルティング会社がいいでしょう。
不動産相談の窓口を一つに絞ることができますので、お客様はもちろん、専門家も時間や労力を減らすことができます。
 
相続に精通した不動産コンサルティング会社もあるので、そういった会社の場合は、不動産が遺産に含まれるときの遺産分割や納税資金などの相続対策提案、そしてその実行サポートもしてくれます。
 
 

 相続に絡む不動産相談を受けたときに必要な対応

不動産
お客様から不動産の相談を受けた際に気を付けたいことは、相続が絡むときです。
 
まず、不動産が遺産に含まれる割合がどのくらいあるのかを見てみましょう。
 
下の表の通り、相続税申告のあった相続財産のうち、およそ40%が不動産という統計があります。
あくまで平均値ですから、地主さんや家主さんの割合はもっと高いでしょう。
 

 
※令和4年分相続税の申告事績の概要(国税庁ホームページ)より一部抜粋
 
この統計からも、不動産と相続は切っても切り離せない関係ということがよく分かります。
 
そして、不動産の難しいところは、相続税評価額と実際に売却できる時価が異なること、有価証券とは異なり換金化が難しいこと、共有にするといわゆる共有問題が起きやすくなることなどが挙げられます。
 
例えば…。
 
「相続税節税のためにと親が土地活用で新築アパートを建てたものの、年々サブリース賃料(家賃保証)も下がり賃貸収支が当初の計画通りいかず、負担ばかりのアパートになってしまっている」
 
ただ不動産を売ったり建てたりすればいいだけではなく、相続対策もしっかり検討した上で実行しないと、上記のようなことが起こり得ます。
 

 相談先の商品は何かを把握した上で相談する

不動産相続対策の相談は、売買、賃貸、建築や有効活用など多岐に渡ります。
 
まず確認したいことは、相談先の不動産会社の商品が何か?ということです。
例えば、アパートメーカーに相談したら、売却の提案をしてくれるでしょうか。
売買仲介会社に相談したら、「この土地は相続のときまで売らない方がいい」と提案してくれるでしょうか。
 
お客様から下記のようなご相談を受けたとき、皆様はどのように対応されていますか?
 

「アパートを建てようと思っています。キャッシュフローの数字は合っていますか?」
「空き家状態の実家を貸そうか売ろうか迷っています」
「不動産を共有して相続しようと思いますが、何か問題はありませんか?」
「子どもたちへの不動産の分け方に悩んでいます」
「相続税の節税対策で不動産購入を勧められたが、このまま買っていいのでしょうか?」

 
餅は餅屋という言葉があるように、このようなご相談には、その分野の不動産や相続に精通した然るべきプロに相談しなければなりません。
 

 相続にも対応できる不動産会社の見分け方

皆様の大切なお客様の財産を取り扱うわけですから、不動産相続のアドバイスを求めたときに、ちゃんと回答してくれる不動産会社を選びたいですよね。
 
そこで、その会社や担当者が相続のこともしっかり考えてくれるプロなのかが分かる質問がありますので、今後の参考にしてみてください。
 
質問① 「お客様が相続で不動産を売るので、価格査定してくれませんか?」
 

一般回答
さっそく査定しますね。
いつまでに返答しますか?

 

プロ回答
相続税納税のためですか?
査定とあわせて、期限内に確実に売却できる方法や、相続に絡んだ不動産売却のときに受けられる税優遇の特例があるか確認しますね。

 
 
質問② 「相続対策で物件を購入したいが、どのようなことを確認すればいいですか?」
 

一般回答
希望価格はいくらですか?
あとエリアは…。(購入物件の条件の確認)

 

プロ回答
お客様の年齢的に多額の借入金をお子さんが相続することになりますが、それは問題ありませんか?
引き継いだお子さんは、相続後も持ち続けますか?
それとも手放しますか?

 
 
質問③ 「相続対策で土地活用をするのですが、何かいい提案はありますか?」
 

一般回答
ここは単身者用マンションの建築がいいと思います。
数社見積もり出しますね。

 

プロ回答
相続対策の目的は節税だけでしょうか?
遺産分けのバランスは大丈夫ですか?
敷地全体に1棟ではなく、お子さんへの遺産分けも考えてプランを提案します。

 
 
例えば上記のような質問をされたときに相談先の不動産会社がどのような回答をするかによって、相続に詳しいのか、相続のことも踏まえて提案をしてくれる会社なのかが分かります。
 

<その他の見分け方>
 
・セミナーや書籍などから、その会社の相続対策へのスタンス、実績を確認する。
・「売買と賃貸、どちらがいいか分析や提案をしてもらえませんか」と直球で聞いてみる。

 
もし見分ける自信がない、探すのもちょっと面倒だなというときは、お知り合いから相続にも詳しい不動産会社を紹介してもらうのもいいと思います。
 
多くの不動産会社が相続の相談に注力しています。
お客様のためを一番に考えて動いてくれるといいのですが、自社商品が売れるのかどうかで判断してしまう会社もまだまだあります。
 
もちろんこれは不動産会社に限ったことではなく、弁護士や税理士、司法書士、生命保険代理店など、不動産相続分野に参入している専門家にも同じことが言えます。
 
公平にアドバイスしてくれる不動産相続のプロを見つけて、大切なお客様のためによりよい不動産相続のアドバイスができるようにしたいですね。
 
 

 遺産相続コンシェルジュより

 
本記事のポイントはこちら。

・一口に不動産会社と言っても、仲介や管理、建築、買取、コンサルティングなど様々である。
 
・相続に詳しいというだけでなく、お客様の意向を汲み取り公平な立場からアドバイスしてくれる不動産会社なのかを見極める必要がある。
 
・「お客様が相続で不動産を売るので、価格査定してくれませんか?」と質問した時の回答によって、相続にも詳しくお客様のためを想って提案してくれる不動産会社かどうか判断することができる。

 


私たちは常日頃から、お客様とそのご家族に納得していただいた上で対策を進めることを大切にしています。
相続に絡んだお客様やご家族の関係性、それぞれのお気持ち、そして財産の全体像を確認しながら、真に寄り添った不動産相続対策を考えてくれる会社はまだまだ少ないのが現状です。
 
「知り合いの不動産会社だからとりあえず紹介してみようかな…」ではなく、本当にお客様のご希望を叶え、お悩みの解決をしてくれる不動産会社と付き合っていかないと、いつしかお客様の信用を失ってしまうかもしれません。
 
弊社もお客様にご紹介する専門家の方がどのようなことを得意としているのか、相続対策として公平に検討してくれるのか、などを確認した上でお繋ぎするようにしています。
 
本記事でお伝えした見分け方などを、これからお客様に不動産会社をご紹介されるときの参考にしてみてください。
 
不動産は遺産に占める割合が高いものですから、苦手だからと遠ざけるのではなく、専門家である皆様ご自身がちゃんと対応できるようになったり、不動産会社と連携するときにも「本当にこの提案でいいのか?」と疑問を持てるようにしたりしていくことが大切です。
 
そのためには不動産相続のことを多少なり学んでいく、知っていく必要があります。
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