借入完済しても大丈夫じゃない!?築30年以上のアパートで気を付けたいポイント

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借入完済しても大丈夫じゃない!?築30年以上のアパートで気を付けたいポイント写真

今月のメルマガは、『大規模修繕を行ったために、売る羽目になってしまった!』というお客様の事例をもとに、最近相談が増えている昭和時代に建築されたアパート問題についてお伝えいたします。
 
皆様のお客様の中に、築30年以上のアパートの
・オーナー
・最近相続で親から引き継いだ子
・管理会社に任せっぱなしで「アパートのことはよくわからない」が口ぐせ

…こういった方がいらっしゃいましたら、是非お読みいただき、お客様のサポートにお役立てください。
 

築古アパートのお悩みTOP5

当社に寄せられるご相談は、売却だけではなくどのようにアパートを承継していくべきか、リフォームはしたほうがいいのか、キャッシュフローを改善するにはどうしたらいいのか?と様々です。
 
築古アパートのご相談において、お客様が抱えるお悩みのTOP5をご紹介いたします。
 

1位 とにかく修繕が大変。収入も減る一方だし、何とかならないのか?
2位 自分も同じく高齢のため管理がだんだんと困難になってきた。入居者の対応も面倒だ。
3位 空室が増えたし入居者もすぐに決まらない。何か手段は無いのか?
4位 子どもにどう残せばいいのか?(そもそも残したほうがいいのか?)
5位 だいぶ古いし、建替えをするべきか?それともこのままにしたほうがいいのか?

 
上記のお悩みに至る、築30年以上のアパートオーナーが面倒と感じる主な要因は、『やらなきゃいけない修繕がたくさん出てくる(給水管腐食、水漏れ、建具や設備の刷新…)』『下がり続ける賃料と増え続ける空室(管理会社の対策提案の多くは賃貸条件の引き下げと、修繕や設備導入)』です。
(※売却への不安もあります)
 
せっかくアパート建築時の借入金を返済し終わったのに、やっと手取りが増えると期待していたのに、上記のような『お金の問題』がついて回り、思ったほどの収入が得られていない…と、なかなかうまくいきません。
 
TOP5のお悩みを抱えるご相談者様は、何か策を講じる前に当社にお越しになっているため、大きな問題が起こる前に良い対応、判断ができています。
しかし、誰かに任せっきりだったり、適切なアドバイスをしてくれる人が周りにいなかったりしたら…。どんなことが起きるのか、事例を見ていきたいと思います。
 

良かれと思ったリフォームが招いた落とし穴

3ヶ月ほど前に、知り合いの専門家から不動産を売却したいというお客様をご紹介いただきました。
不動産調査や査定、売却手法などを組み立てて、いざお話を聞くことに。
 

ご相談者のAさん
・一昨年、父からアパート(9戸)などの財産を相続により引き継いだ
・アパートは築31年(父60歳のとき竣工)
・Aさんは経営者でお忙しく、アパート管理は大手管理会社に任せっきり
・アパートに関する資料(竣工図や修繕履歴など)はほとんど残っていない など

 
当社が必ず聞く確認事項の一つとして「なぜ売却するのか?」とお伺いしたところ、Aさんは少し気まずそうに『実は、去年幾つかの部屋のリフォームをしたのですが、その借入金の返済が重くて、結局手放したほうがいいという結論に至ったんです』とのこと。

話を掘り下げていくと

・管理会社から空室5戸が早期に埋まるように居室内をリフォームしましょうと提案があった
・リフォーム費用は5戸総額で20,000,000円(なぜか担保は別の不動産に。金利も高い)
・投資による効果や返済/収支計画は無い。家賃の値上げもない⇒むしろ下がった
・返済期間の引き延ばしも検討したが、築年数やさらに改修も増えるからと断念

などの理由をお話しいただきました。
 
そして、さらに2戸解約が発生し、また費用が掛かるということから気が滅入ってしまい、ご自身の判断によって招いた結果に対して、アパート経営に向いていないから売却するしかないと決断されたとのことです。
 
「ちゃんと考えないからだよ、なんでそんなリフォームをしたんだ」などと言うことは簡単です。
しかし、子のために長い時間をかけて財産をつくり残したいという親の気持ちと、その親の気持ちを受け取って残してくれた財産をしっかり継いでいきたいという子(Aさん)の気持ち、親子の想いは一致していました。それなのに実現出来なかった…。
 
Aさんは築30年を越えたアパートについてどのように考えれば良かったのか、我々専門家はどのようなアドバイス等をするべきだったのでしょうか。
 

【アパート経営のポイント紹介】
 
・アパートを今後どのように保有するかなど、目的を明確にすること
(あと10年、20年後は売却?建替え?子どもにどのような状態で残すかなど)
・キャッシュフロー向上、改善の計画を常に立てること
(管理費等コストの見直し、マーケットで勝つために分析、その施策)
・管理運営体制の構築(PM会社、BM会社との連携など)をすること
・財産管理リスク対応。親から子へのバトンタッチ⇒管理運営のイロハを伴走で教えること
などです。
 
アパートは必ずどこかのタイミングで、大規模修繕や建替えをしたり、売却をしたりします。
今回のテーマである築古アパートであれば、「終わり(目的)を見据えた計画」を立てて実行していくことが大事です。(多くの物件オーナーは計画を立てていません)
 
【終わり(目的)】とは、保有し続けるにしても様々な課題に直面することは分かっていますから、修繕などに必要なお金の資金繰りなど予め準備さえできていれば、修繕は突発的費用でも問題でもなくなり、想定の範囲内として安定した経営を続けられます。
また、売却することが決まっているのであれば、
「収益物件として売却⇒CFを上げ資産価値を高める≒賃料を上げる、支出を抑える等」
「更地売却する⇒立退きのための予算確保や、入居者の入れ替えの度に定期借家契約にする」

という方法が思いつきます。
ただ、立地環境やタイミングによってもこれら売却の手段や方法は変わりますので、いざという時のために、数年単位での計画を立てて進めていくことが望ましいです。
 
さて、話を事例に戻しますが、Aさんが売却することを決めてしまう前に、もしくは生前ご両親にお話を聞けていたならば、『このアパートについて、どのような終わり方を考えていますか?』と確認することで直面しているアパートの日常問題(修繕や苦情の対応など)から先々のことに思考を向けてもらい、そこから将来の計画を作り始めることができたのではないかと思います。
Aさんにももっと早くお会いできていれば、アパート経営を続けることが出来ているなど、違った結果もあったのではないかと思います。
 

お客様の大切な資産を扱う意識


このアパートを子どものために残したい。そんな想いをお持ちの方はもちろん多くいらっしゃいます。
我々専門家は、Aさんのように想いを実現できない方々を少しでも減らし希望を叶えられるよう、目先の利益や問題に捉われず将来を見据えた提案をすること、またはその観点を持つコンサルタントとの協力体制を構築する必要があるのではないでしょうか。
 
お客様の大切な資産の一つであるアパートを守るには、「築古アパートは価値が低い」「今後どう持ち続ければ良いか分からない」などのマイナス思考にとらわれるのではなく、『資産価値が高い』『将来は○○することになっている』といったプラス思考に発想を転換し、お客様が目的を持って築古アパートを所有していると言えるようになるようサポートしていくのがプロではないでしょうか。
 

遺産相続コンシェルジュからのアドバイス

築30年以上経過すると、築10年、20年の時には発生しなかった様々な問題が起こります。
アパートやマンションをご所有されている地主様からは、「今までそのままにしておいたがこの古いアパートはいつまで持っていればいいのか」「どう管理していけばいいのか」などとご相談をいただきます。
何をどのような形で持ち続けていきたいのか、現在~将来のために何をするべきなのか、プロサーチではそのお客様にとって“本当に必要なこと”をアドバイスさせていただき、お客様の想いを大切にしながら資産を減らさないお手伝いを今後も行ってまいります。
 
また、プロサーチでは築古建物のオーナー様を顧客に持つ専門家の方に向けた『建物の固定資産税見直し』セミナーを近日開催いたします。
収益改善などの対策の一助としてご興味のある方は、是非ともお申し込みください!(記:山内綾子)
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