相続発生後、不動産を売却して相続税を納めるためにまず知っておきたいスケジュールの話

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2021.6.29

 
親から資産を相続するとき、相続税が課税される場合は納税しなくてはいけません。この相続税の納税は、現金一括納付が原則で、相続発生の翌日から起算し10ヶ月以内という期限があります。
 
不動産を売ったお金で相続税を納税しようとする場合、この納税期限10ヶ月ってずいぶん時間があるようにも思えますが、皆さんどのように思いますか?
 
これまでお会いしてきたお客様の反応は、
・時間たっぷりあるから、色々と手続きを済ませてから進めよう
・不動産の売却はプロに任せれば直ぐ売れるでしょう
・まだよくわからない。今まで気にしたことがない など
「期限まで時間はあるから大丈夫でしょう」と不動産売却の期限のことはあまり気にしていない方が大勢いました。
 
しかし、本当に「時間があるから大丈夫」と考えてよいのでしょうか。
 
例えば、「相続発生後、具体的にどのくらい売却活動に費やせる時間がありますか?」と聞くと、「8ヶ月、10ヶ月くらいかな?」と大半の方が回答されます。
 
不動産売却や相続について、相続発生時点で80~100%の準備が整っているご家族であればすぐに開始できるので8ヶ月や10ヶ月ということは合っています。ですが、準備できていないご家族ですと8ヶ月も時間はありません。
 
本記事では、相続税を不動産の売却代金で納税する場合のやるべきことと、不動産売買スケジュールをお伝えします。これを読むことで、相続発生から申告期限までのスケジュールや親が元気な今のうちから準備しておくことがわかります。
 
今回のポイントは以下の通りです。
 

・相続発生日から申告期限は10ヶ月。不動産売却の活動期間は約4カ月半しかない。
 
・財産調査、遺産分割協議などの相続作業の一つでも滞りがあると申告期限までの不動産売却は間に合わない可能性が高い。
 
・確実に納税するには、生前に財産目録や相続税概算、不動産の問題点解消などが必要。

 
 

相続での不動産売買スケジュール

カレンダー
 
相続の申告期限は、相続発生日の翌日又は相続があることを知ってから10ヶ月です。
 
これまで相続手続きを経験したことがない方にとっては、10ヶ月以内あれば十分という認識だと思います。
  
まず、相続の準備をしてきていないご家族の相続発生から申告期限までのスケジュールを確認してみましょう。
 
 
(例)
1月1日相続発生
相続人2名以上
不動産(土地)を売却して納税予定
 


 
※相続発生からの不動産売却のための一般的なスケジュールです。この他に、準確定申告等の手続きが必要です。
 
この表の通り、不動産売却に使える時間は6月1日から9月15日までのおよそ4カ月半です。
 
相続発生した日からすぐ着手できるわけではなく、相続で不動産を売却するためには大きく分けると(1)財産調査・相続税計算、(2)遺産分割協議・相続登記、(3)不動産調査・売却活動、(4)不動産の売買契約・決済の4つのパートがあり、それぞれの検討事項や諸々手続きがあるのです。
 
以下ではパートごとに行うことをお伝えします。
 
まず、大切な方が亡くなると、考え方などにもよりますが、お葬式や四十九日(仏教)などで一定期間、故人を思い喪に服す時間があろうかと思います。
ですので、実際に活動を開始できるのはそのあとになると仮定しています。
 
 

 パート1:財産調査、相続税計算

〔必要期間〕少なくとも2ヶ月以上
 
被相続人名義の財産について調査します。不動産、通帳(現預金)、有価証券、家財、生前贈与、生命保険金などあらゆる財産を調査し目録を作成します。遺言があれば検認等の作業も必要です。そして、不動産など全資産の相続税評価算出し、相続税が課税されるか確認します。税理士に依頼するのであれば、税理士から相見積もり取得し、依頼先の検討・決定に要する時間も加えます。
 

 パート2:遺産分割協議を終え相続登記

〔必要期間〕 遺産分割で揉めずに進められて、遺産分割協議書の締結と相続登記完了まで最短2ヶ月半
 
相続で不動産を売却するときは、遺産分割協議を完了させ『相続登記(※)』をする必要があります。遺産分割協議は個人でも用意できますが、”決められた書き方“がありますし、被相続人の戸籍謄本などの収集も必要ですから、司法書士等の専門家に依頼したほうが確実でしょう。
※『相続登記』は法務局管轄出張所に相続関連書類を提出して手続きしてもらうのですが、その提出書類に遺言または遺産分割協議書が必要なのです。
 
パート1とパート2で、順調に進められて4カ月程度かかります。
 
 

 パート3:不動産調査と売却活動

〔必要期間〕不動産調査/価格査定から買主を決定するまで、最短で2ヶ月
 
・価格査定:1週間
・売却のための詳細調査、各種準備(入札、測量など):1週間
・不動産売却活動:1ヶ月半
  
インターネットに掲載して買主を探していては間に合うか不確実です。確実に売却するための不動産会社との媒介契約の選び方や、売却方法についてはこちらの記事をご覧ください。
 
不動産調査の際に必ず聞かれることがあります。これら資料は不動産売却に必要な物ですので、事前に準備をしておきましょう。
 

1.土地測量図
2.隣地や道路との土地境界確定書
3.樹木やブロック塀などの越境物の有無
4.(前面道路が私道の場合)私道の通行や掘削の承諾書面
5.建物の図面

 
※アパートなどの収益不動産は、上記の他に収支が分かる書類(賃貸借契約書や管理委託契約書、修繕履歴など)を求められます。
 
これらが不明、資料がないという場合は、追加調査や土地測量などの作業が必要です。
 
 

 パート4:不動産の売買契約、決済

〔必要期間〕一定条件が整っていれば、契約から決済まで1ヶ月程度
 
重要事項説明書や売買契約書などの書面に署名押印し、決済時に売買代金を受領します。
ここまでくればあと一息ですが、売買代金を受領するまでは安心できません。
 
まず大切なポイントとして、『契約条件』をしっかりと理解することです。分からないことは分かるまで何度も不動産会社に説明を求めましょう。必要に応じて条件交渉も必要です。
 
しかし、不動産売却になれていないと、売買条件が自分に不利なのか、そもそも正しいのかさえ分からない、判断も難しいのではと思います。そのときは、税理士や司法書士、不動産コンサルタントに確認するようにしましょう。
 
 
さて、一定条件が整っていれば、契約から決済まで1ヶ月程度必要、と先ほどお伝えしました。
その一定条件とは、以下のようなことです。
 

・土地境界確定(通常、着手から3カ月かかる)
・越境物の解消(軽微なものでも1ヶ月以上かかる)
・私道の通行掘削承諾書の取得(1.5ヶ月以上かかる)など

 
 
これらは売買の引渡し条件になる項目になることが多いです。
遅くとも売買活動を始めるころ(パート3)にはこれらの項目に着手していて、売買契約時点からあと1ヶ月以内に作業が終わる目途がついていなければなりません。
 
パート3とパート4の売却活動で最短でも4ヶ月半かかります。
ひとつでも時間がかかるものがあり完了がずれ込んだ場合は、相続税の申告期限に間に合わないこともあるので要注意です。
 
 

売却活動中に起こる思いがけないトラブル

リスク・トラブル
 
相続発生日から申告期限までの不動産売買スケジュールをお伝えしました。しかしこれは『すべてが順調に進んだ理想のスケジュール』です。
 
相続や不動産の現場では次のような思いがけないことが起こります。
 
 

「財産調査にかなり時間がかかりそう」
 
⇒相続税や資産状況が分からず、そもそも不動産を売却する必要があるのか、現預金で足りるのか、など納税財源の判断ができません。

 

「相続人間の遺産分割協議がまとまらない」
 
⇒相続登記ができませんから、そもそも不動産を売却することができなくなります。

 

「土地の境界確定測量が終わらない」
 
⇒不動産の売買条件が成就せず決済できません。(引渡し日の延長又は契約解除)

 
ひとつでも問題が起きてしまうと、間に合わない可能性がグッと高まります。
 
もし、相続税納税が申告期日までに間に合わないと延滞税がかかります。
 
令和3年分の延滞税は、期限後2ヶ月以内は2.5%、それ以降は8.8%です。
 
参考:国税庁HP

 
定められた期限までにきっちり納付して、延滞税は払わないようにしたいですね。
 
いざ、親の相続が発生したときに不動産の売却手続きで困らないために、問題が起きそうなポイントを親御さんがお元気なうちに準備・解消して、期限までに相続税を納めることができるようにしましょう。
 
 

まとめ

・相続発生日から申告期限は10ヶ月。不動産売却の活動期間は約4カ月半しかない。
 
・財産調査、遺産分割協議などの相続作業の一つでも滞りがあると申告期限までの不動産売却は間に合わない可能性が高い。
 
・確実に納税するには、生前に財産目録や相続税概算、不動産の問題点解消などが必要。

 
私は不動産相続の現場に17年携わっていますが、相続発生時に、財産調査や相続税試算、遺産分割協議、不動産の問題点と解消などが100%出来ている方に出会ったことはほんの数名で、みなさん何かしら未着手であることがほとんどです。
 
何を準備したらよいのか分からないという方は、まずはパート1の財産目録を作ってみましょう。ノートでも良いので、とにかく書き出してみる、はじめてみることが重要です。
 
相続税納税を不動産売却代金で納税したいと考えている方は、相続のスケジュールや段取りを熟知し、売却に向け確実に進めてくれる相続に強い不動産会社に相談してみましょう。

 
 

 

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この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

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