その不動産、子にとっては不要かも!?相続か処分かの判断方法と今からできる対策!

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その不動産、子にとっては不要かも!?相続か処分かの判断方法と今からできる対策!写真

2022.6.28

 
「親が山奥にある不動産を所有していますが、相続して困ることはありますか?」
 
「売れなさそうな不動産があるのですが、持ち続けるリスクはありますか?」
 
このような売れない貸せない不動産について相談を受けることがあります。
 
親は、自分で使っていた別荘地や山林、畑などの不動産について問題意識を持つ方は少ないです。親自身が困っていないから何もしないのです。
 
しかし、子世代は自分が使う予定がないので問題意識を持っています。
 
親の視点ではなく、子が要らないと思っている売れない貸せない『不要な不動産(以下、「不要不動産」という)』は、実は親が元気なうちに手放すなり解決しておくと、税金負担が減ることや様々なリスクの回避に繋がります。
 
本記事では、不要不動産を持ち続けるリスクと、親がいまのうちからしておくべき対策についてお伝えいたします。
 
本記事のポイントはこちら。
 

・子が要らないといっている売れない貸せない不動産は、親が元気なうちに対策を講じるべき。
 
・不要不動産の5つの問題点は、(1)手放すのが難しい (2)所有者の管理者責任 (3)相続税の負担が重い (4)詐欺の対象となりやすい (5)固定資産税や管理費などの負担
 
・親が元気なうちに、子がその不動産を要るのかどうか確認したり、不動産の時価や問題点などの調査、売却や賃貸ができるか検証などをして対策を実行する。
 
・売れないような不要不動産は、時価よりも相続税の負担の方が大きくなるケースもある。相続税を支払ってまで相続するのか、生前に処分したほうがいいのか、親が元気なうちに親子で一緒に判断することが重要。

 
■関連記事
相続対策に成功する家族と失敗する家族の違いとは?ゼロからわかる相続対策の進め方
 

 『不要不動産』とは

家の模型とベンチ

 
まず確認すべきことは、下のフローチャートのように、その不動産を子が必要としているのか、それとも不要なのかを確認することです。
 
親の想像や期待ではなく、実際に子がどう思っているのかを聞く必要があります。
 

 
そして、その不動産が売れるのか貸せるのかを調べ、「売れない貸せない不動産」であれば、子にとっては税負担や様々なリスクも相続することになってしまいます。
 
弊社では、このような不動産のことを不要不動産と呼んでいます。
 
さて、要らないと子が言いそうな不動産ってどのようなものでしょうか?これまでの相談例から、代表的なものを挙げてみます。
 

・周りは空き家や空き地が目立ち、急速な過疎化が進んでいる空き家状態の実家
・家がほとんど建っていない廃れた別荘地
・場所の特定すら難しい広大な山林
・耕作放棄されている畑
・更地状態の別荘地  ・・・など

 
皆さんがイメージするものはありましたか。
 
そもそも買ってくれる人がいるのかもわからない、維持管理が大変そうという印象を持ちますよね。ですので、手放したい!というご相談が後を絶ちません。
 
地方にある不要不動産は、都内などと比較すると固定資産税等は安いものの、税金以外にも様々な負担が生じたり、問題を抱えたりすることがあります。
 
これから、その起こり得る問題のうちの5つをお伝えします。
 

 不要不動産の5つの問題点

親が不要不動産を持っているときに起こり得る5つの問題点をお伝えします。
 
(1)手放すのが難しい
(2)所有者の管理者責任
(3)相続税の負担が重い
(4)詐欺の対象になりやすい
(5)固定資産税や管理費の負担
 
ではひとつずつ見てきましょう。
 

(1)手放すのが難しい

不要不動産はとにかく手放すのが難しいものばかりです。
 
・買い手が少なく、売り物件が多いエリアであること。
・売れる価格が相続税評価額よりも低いこと。
・価格が低いという理由で売却を手伝ってくれる不動産会社が少ない。
・売却代金よりも、測量費や建物解体、仲介手数料などの売却コストの方が高くつく。
 
このように、売却したくても直ぐには売れない、そもそも売れないなどの可能性があります。
 
しかも、売却するために売却代金では足りず自分のお金を持ち出さなければならないということが多分にあるのです。
 
売れない貸せない不要不動産を処分する方法を知りたい方は、以下の記事にて詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
 
■関連記事
どうなる土地問題?相続した土地を放棄できる制度が創設。不要な不動産の処分方法も解説!
 

(2)所有者の管理者責任

空き家や山林でも、所有者として管理義務や事故など有事の際の責任があります。
 
例えば空き家は、放火による延焼や外壁が倒れて通行人が怪我を負うなどすれば、例えその家を利用していなかったとしても責任を取らなければなりません。
 
お客様の中には、空き家が心配で定期的に見に行っている方もいらっしゃいますが、遠方の場合には直ぐに駆けつけられないこともあり、何か起こった際に迅速な対処ができずに被害が大きくなることもあるのです。
 
その他、山林でも山崩れがおきて人や家屋などの財産に損害を与えてしまうと管理者責任などを追及されることがあります。
 
空き家や山林などであっても、このように所有しているだけで責任が付いてまわるということを知っておきましょう。
 

(3)相続税の負担が重い

不要不動産は【相続税評価額>売れる金額】の関係になることが大半です。
 
もし相続税が課税される方であれば、売れない貸せない不要不動産であっても相続税を支払って相続しなければなりません。
 
売れる金額が0円だったり相当低くなるため、売れる金額よりも相続税の方が高くついてしまい、結果として納税資金が足りないなんてこともよくあります。
 
そうなると、相続人は自己資金から相続税を支払うお金を工面する必要がでてきます。
 
詳しくは後述の事例でお伝えします。
 

(4)詐欺の対象になりやすい

子に残したくないけど、売れないと悩んでいる高齢の不動産所有者を狙った詐欺があります。
 
簡単に説明すると、不動産ブローカーと名乗る者から「買い手がいるから調査料をください」、「測量をして欲しいと言っているので、測量費をください」と連絡がくることがあります。
 
30万とか、50万円とか現実的に支払えそうな金額を提示してきます。
 
そして、そのお金を支払ったら最後、そのまま連絡が取れなくなってしまいます。
 
売れなくて困っている方の弱みに付け込んだ詐欺である可能性が高く、先にお金を要求してくる場合は気を付けてください。
 
独立行政法人国民生活センターでも警笛を鳴らしています。
 
より深刻に!「原野商法の二次被害」トラブル-原野や山林などの買い取り話には耳を貸さない!契約しない!-
 

(5)固定資産税や管理費などの負担

不動産は持っているだけで様々な費用負担をしなくてはなりません。
 

・固定資産税、都市計画税
・維持管理の費用(別荘地の管理費や、植栽剪定など)
・火災保険料 など 

 

毎月や1年間にかかる費用を金額的にみると大したことはないと感じるかもしれません。
 
しかし、売れない貸せないまま放置していたとして、祖父母の代から孫の代まで相続するとなるとそうはいっていられなくなります。
 

例:子も孫も使う予定もなく売れない山林
 
【前提条件】
・相続税評価額100万円
・固定資産税1.4万円/年
・相続税率30%
・祖父母が現在70歳、子(40歳)や孫(10歳)がいる
(祖父母のこれまでの費用負担分は考慮しない)
 

1)祖父母の代:80歳で相続発生 10年間で固定資産税14万円
2)子の代:50歳で相続し80歳で相続発生 
  ・相続税30万円他
  ・祖父母の相続後30年間保有で固定資産税42万円
  計72万円
3)孫の代:子の代と同じ72万円

 
このご家族は祖父母の代から子の代まで税金を合計で158万円も負担することになります。
 
この他に司法書士の相続登記の手数料や登録免許税もかかりますし、その他維持管理にかかる費用があるとは更に負担が増えます。
 
祖父母の代だけでみれば大した負担ではないかもしれません。
 
しかし長い期間で考えてみると、不要不動産のために158万円を支払う必要があるということなのです。
 

 相続するか処分するかの判断方法

左右に矢印の書かれた木の道標
 
問題が山積みの不要不動産ですが、果たして皆さんが所有されている不動産は、相続させるべき不動産?それともさせないべき不動産なのでしょうか?
 

 不動産の現状分析

相続させるか(相続するか)どうかを判断するためにしてほしいことがあります。
 
(1)不動産調査をして問題点を把握する
(2)相続税評価額と時価を求める
(3)親と子の意識を確認する
 

(1)不動産調査をして問題点を把握する

不動産の場合、詳細調査をせずに机上で時価を出したとしても、実際に現地に行ってみると土地の高低差があったり、細かく確認しないと分からない越境があったり、価格に直接影響する問題が見つかるケースが多くあります。
 
そのため、売却・賃貸に関わらず、不動産の現状を正しく把握するためには、現地や役所等での調査が重要です。
 
調査はこのような観点から行います。
 

・現地や管轄の役所で不動産調査を行い、問題があるかを確認する。
・売却や賃貸等ができるマーケットがあるか調べる。(売買・賃貸両方の可能性を見ることが大切)
・不動産がいくらで売れるのか、きちんと貸せるのか価格査定する。
・その他の活用方法も含め、収益改善出来る点が無いかマーケット調査を行う。

 
不動産を詳しく調査することで問題が抽出され、どのような対策が必要なのかのステップを踏むことが出来ます。
 

(2)相続税評価額と時価を求める

不動産の相続対策をするためには、不動産の時価以外に相続税評価額も計算する必要があります。
 
前述の通り、不要不動産では【相続税評価額>時価(売れる金額)】という関係になりやすく、相続税を支払うために不動産を売ろうとしても想定していた金額で売れないことがあるため、相続評価額と時価を把握しましょう。
 
売れる金額よりも相続税の負担の方が高くなる場合は、生前に売るべきか否かの判断材料になります。
 

(3)親と子の意識を確認する

その不動産、親にとって必要?子どもにとっては必要?
 
話し合いをしてみると、親は「動産」だと思っていたが、子どもは「動産」だと感じていたなど、親子間の考えが異なっていることがあります。
 
親は子のために残したいと考えている、そして子もそれを望むだろうと思い込んでいる、しかし子は親の気持ちとは逆に要らないと思っている。
 
このようなミスマッチをなくすため、親と子それぞれの意識を確認することが対策へと進むための大切なステップとなるのです。
 

 事例:売却価格より相続税のほうが高い土地を相続した。

男性に相談する高齢者夫婦
 
相続した不動産(熊本県、相続税評価額3,000万円)の売却相談をしたいとのことでお越しになったお客様Aさん。
 
Aさんは、これまで親から不動産について詳しく話を聞いたことがなく、相続した後も詳細についてはよく分かっていません。
 
相続の手続きを進めていくと、空き家、底地、貸家、畑、山林等、土地面積5,000㎡にも及ぶ複数の不動産が有ることが分かりました。
 
Aさんのご希望は「今後住む予定もなく管理も大変なので、不動産は早めに処分していきたい。売却の手伝いをして欲しい。」とのことで、ご依頼いただきました。
 
まずは、現状把握も含め不動産調査をスタート。
 
実際に現地まで行ってみると、貸家のはずが空き家になって荒れ果てていたり、借地人が住んでいるはずが建物はそのままでこちらも人気が無い状態になっていたりとかなり管理状況が良くないことが分かりました。
 
その他、不動産マーケットを調べていると、周辺地の過疎化が進んでいたり、再建築ができない、測量を行いたくても隣地と連絡が取れないなど問題をいくつも抱えていました。
 
Aさんに報告のうえ売却活動をスタートしました。
 
しかし、問題山済みの不動産には購入見送りが相次ぎました。
 
Aさんはこの5,000㎡の土地を売ってその代金を相続税(この不動産にかかる相続税が200万円)の支払いに充てる予定でしたが、最終的に見つかった購入希望者の価格は、なんと50万円だったのです。
 
相続税200万円を支払って取得(相続)した不動産が50万円でしか売れないのです。
 
Aさんは落胆し、これでは税金を納めるために相続したようなものだと仰っていました。
結果、Aさんは自身のお子さんに残さないよう50万円で売ることにしました。
 
今回の事例では、生前に親子間で話し合い売却していれば、このようなことにはなりませんでしたよね。
 
 
本記事を読んでいただいた方へ、プロサーチ株式会社では、売れない・貸せないといった土地の調査、価格査定、売買、処分の方法の検討から実行までサポートをすることができます。
 
相続土地の国庫帰属法、引き取りサービス事業者の紹介などのご相談も承っていますので、無料相談をしたい方はぜひお問い合わせください。
 

 

 

 まとめ

 
本記事のポイントはこちら。
 

・子が要らないといっている売れない貸せない不動産は、親が元気なうちに対策を講じるべき。
 
・不要不動産の5つの問題点は、(1)手放すのが難しい (2)所有者の管理者責任 (3)相続税の負担が重い (4)詐欺の対象となりやすい (5)固定資産税や管理費などの負担
 
・親が元気なうちに、子がその不動産を要るのかどうか確認したり、不動産の時価や問題点などの調査、売却や賃貸ができるか検証などをして対策を実行する。
 
・売れないような不要不動産は、時価よりも相続税の負担の方が大きくなるケースもある。相続税を支払ってまで相続するのか、生前に処分したほうがいいのか、親が元気なうちに親子で一緒に判断することが重要。

 
子が要らないと言っている売れない不動産によって困ることをお伝えしてきました。
まずは家族で話し合いができる土俵作りとして、不動産調査を行うことを推奨します。そのうえで、子がその不動産を欲しいというのであれば維持管理しながら残しましょう。
 
ただし、相続したくないということであれば早々に売却したほうがいいです。
 
不要不動産の相談は、不動産と相続に強い不動産会社や税理士などの専門家に相談しましょう。
 
 

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この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

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