激動だった2020年。変わっていく不動産業界と、2021年の不動産マーケット

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激動だった2020年。変わっていく不動産業界と、2021年の不動産マーケット写真
2020.12.28

不動産業界(首都圏)は活況!?

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)感染拡大以降の不動産関連のニュースでは、『郊外が見直され、郊外の家が売れている』とか、『価格が暴落している』など価格が上がったとか下がったとか、私どもから見ても一体どれが本当なの?と思うくらい論調がバラバラでした。
 
2020年、不動産業界(賃貸/売買に絞る)の大手や中小の営業の方からお聞きしたことも併せて簡潔にお伝えしたいと思います。
 
【賃貸 都内】

オフィス テレワーク化等で移転需要が多く、毎日のように案内して忙しかった
店舗 10~40坪程度の小規模な店舗は成約できている
住居 部屋数を増やすお客様が多かった。とにかく案内続きで忙しかった

 
【売買 都内】

投資用 住居やオフィス系の投資用物件は“安定資産”としてとにかく売れた
飲食がテナントの店舗系投資用物件は売れ残っているものが多く、厳しい
住宅 新築も中古も戸建てが相当売れた。販売用土地の仕入れも激化している
中古マンションのうちリノベーション済みの物件は飛ぶように売れた

 
新型コロナ発生前からお客様を抱えていた不動産会社は、コロナ禍でも例年通りしっかりと取引をしていて、“大変だ”という声はあまり聞きませんでした。
もちろんこれは不動産会社の声であり、売主や買主の声ではありません。
 

不動産の二極化 “8人が欲しいと思う”かどうか


コロナ禍の前と後で『土地の買取価格が半減した』という事例があります。
 
物件は神奈川県横浜市の海側の戸建て(最寄駅から徒歩13分、土地30坪、建物築34年、流通する一般的な戸建て)でしたが、2月時点の価格より4月時点の価格が50%下がりました。
 
この理由は何だったのかを、不動産買取事業者に聞きました。
 

「コロナ禍において、不動産市況も先行きがどうなるか分からない。これまでの安ければとにかく購入するという戦略は捨て、“必ず儲かる”ところに投資するようにしました」
「例えば、○○駅で物件を探している人が10人いたとして、そのうち8人が購入したいという不動産です」


“必ず儲かる”というのは、単に安ければいいわけではなく、『事業採算の合う価格で、買い手がすぐ決まる』ことを指します。
つまり、厳しい目で慎重に精査する必要があるのです。安く購入できても買い手がいなければ意味はありません。
 
新型コロナをキッカケに、“高値が付く不動産”“価格が下がる不動産”がハッキリしてしまったということです。
 
ニュースで『郊外の不動産価格が上がっている』というのは、間違いではないかもしれませんが、郊外にあるすべての不動産と捉えるのは危険で、あくまでも“8人が欲しいと思う不動産”かどうかがポイントなのでしょう。
ですから、自分では良い不動産を持っていると思っていても、もしかしたら実際には10人中2人にしか興味を持たれない不動産かもしれません。
 
投資用不動産でも同じことが言えます。コロナ禍で、投資家の多くはチャンスと捉えて積極的に買いにきていますが、物件は相当吟味しています。
“8人が欲しいと思う不動産”はインターネットで募集することなく、水面下で成約しています。この動きはコロナ禍においてかなり顕著になったと感じます。
 

2021年の不動産マーケットで負けないために 

統計からの推測については、インターネット検索をすれば不動産評論家の方々が書かれた記事がたくさん出てくると思いますので、そちらをご覧ください。
本メルマガでは、現在不動産売却を考えている人が、今後どのように進めていけばいいかについてお話いたします。
 
 

ポイント
①不動産の価格査定が難しくなっている
②住宅地などを売るなら、2021年中に売り切ること

 
 
<ポイント①>
まず、不動産の価格査定が非常に難しくなっています。
査定価格は過去の事例や現在売りに出されている情報を基に算出するのですが、前述した通り、売りたい土地が“8人が欲しいと思う不動産”であると査定価格を大きく上回る結果もあり得ます。もちろんその逆も。
これは過去の統計等からでは読み取りにくいのです。
 
お客様から、渋谷区の中古マンションを売りたいというご相談を受けました。
他社の査定では個人が買う価格として4,000万円と言われたようですが、弊社がある手法で確認したところ、不動産買取業者の価格で4,000万円と出ました。(同条件です)
通常は、業者の買取価格よりも個人が買う価格の方が高いはずなのです。つまり、この中古マンションは“8人が欲しいと思う不動産”だったのです。
 
私どもが行った手法とは、「査定は当てにならないから、実際に売ってみましょう」というものです。
もちろん、インターネットには載せず、水面下で数社の不動産買取事業者に本当に買いたい価格を打診してもらうのです。(『限定入札』と言います)
打診してもらった価格はまさに実勢価格。そして、この価格にある数値を乗じると、個人が買う価格に近付くのです。
 
不動産仲介会社の多くは、こういった手間はかけないと思います。面倒ですから。
しかし、お客様はできれば1円でも高く売りたいはずですから、この検証はプロサーチではほとんどの場合で行っています。お客様で売りたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひこの話をご提案してみてください。
 

<ポイント②>
次に、住宅地を売るなら2021年のうちがいいということです。
理由を先にお伝えすると、“2022年に生産緑地(畑)の解除による土地大量供給が起こる”と言われているからです。
 
なぜか?
不動産の価格は“需要と供給”で決まるからです。
 
供給の方が多ければ価格は上がらず、需要の方が多ければ価格は上がりやすくなるのです。
野菜もそうですよね?豊作のときは店頭にたくさん並んで“安く買える”。(これは、今現在まさに起こっていますね)
逆に、雨が降らないとか不作のときは店頭に並ぶ野菜が減るが、買いたい人は沢山いるから“価格が上がる”。この構造と一緒です。
(※「生産緑地による解除で、土地がどのくらい供給されるのか知りたい」「生産緑地がどこにあるのか」「制度的なことをもっと知りたい」という方はプロサーチまで!)
 
畑や住宅地などを売ろうと考えている、決めている方は、今のうちから売却してしまったほうがいいでしょう。
理由は前述した通りですが、とくに世田谷区や練馬区、都内西側のエリアは生産緑地が多いので要注意です。『売りたいのに価格がつかない』『相当安くなってしまった』という事態に陥ってしまうことも十分考えられます。
 
 
先程、『不動産マーケットで“負けない”』という表現を使いました。
“勝ちたい(儲けたい)”のはもちろん分かりますが、勝ちたいのはみんな一緒です。先行きに不安が多いこのマーケットでは、まずは負けない状態を作り、そのうえで勝つための準備も進めることが大切です。
“負けない(損をしない)”ようにするには、最低限、不動産調査など現状分析(正確な売却価格の把握)と、これから確実に起こること(生産緑地の解除)をキャッチアップし、負ける要素を少しでも排除する必要があります。
 

遺産相続コンシェルジュより

今回は、今後の不動産市況等についてお伝えいたしました。
不動産を所有されている方にとって、自分の資産価値は現状どうなのか、今後どう変化していくのか、は最大の関心事だと思います。
売却や賃貸、有効活用や保有継続するにしても、不動産に詳しくて的確なアドバイスが出来るプロの役割はますます重要になるでしょう。
 
プロサーチの強みは、≪売却や賃貸などの特定の手段に誘導せず、お客様や専門家の方へ公平なアドバイスができること≫です。
このスタンスは変えず、2021年もお役に立てるように、不動産相続のプロサーチ通信(メルマガ)の定期配信や、毎月のセミナーを通じて有益な情報を提供してまいりたいと考えています。
(メルマガは月2回配信にする予定です!)
 
来年も皆様とお会いできますことを楽しみにしております!
良いお年をお迎えください。(記:山内綾子)
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