相続した別荘を手放したい!というお客様に伝える3つの売却ポイント
更新 2026.01.31
親から別荘を相続したものの、使う予定がなく、管理費や固定費の負担が重く感じられ、売却を検討する方は少なくありません。
専門家の皆さんも一度はご相談を受けたことがあるのではないでしょうか。
1990年代のバブル期、全国各地で別荘地の開発が進みました。「成功者の証」「将来の値上がり期待」といった時代背景のもと、親世代が購入・投資した別荘も多く存在します。
当時、親世代にとって別荘は“富動産”でした。しかし、バブル崩壊後は値上がりが見込めず、維持管理の負担だけが残り、子世代から見ると“負動産”として捉えられるケースが増えています。
実際、別荘の売却活動を始めても、1年以上買い手がつかない、最終的に売却を断念する、といった相談も珍しくありません。
ただし、事前にポイントを押さえて準備しておくことで、こうした状況を回避できる可能性は十分にあります。
本記事では、「親が別荘を持っているが、自分は使う予定がない」「すでに相続した別荘を手放したい」という方の相談を受ける専門家に向けて、できるだけスムーズに別荘を売却するための考え方と準備をお伝えします。
本記事のポイントは以下の通りです。
・登記簿謄本や管理規約などの資料を整理してから不動産会社に相談すると話が進みやすい
・別荘は「建物」ではなく「ライフスタイル」を売るもの。清掃や資料作成で“暮らしのイメージ”を伝えることが重要
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別荘を相続した人の声

親から別荘を相続した、あるいは相続予定の子世代は、なぜ売却を考えるのでしょうか。実際に寄せられた声をご紹介します。
別荘を持っているというだけで羨ましがられることもありますが、「使わない別荘を維持する大変さ」は、実際に所有してみないと分からないものです。
このように、利用予定がないにもかかわらず維持管理費がかかることを、子や家族が大きな負担と感じ、手放したいと考えるのです。
売却が難しい別荘の特徴
別荘売却は、一般住宅地の家を売るのとは異なり、購入ターゲットが限定的(別荘が欲しくて、買える資金力等がある人)であり、別荘地内の管理状況が悪いと売れにくくなります。
近隣に商業施設やゴルフ場があり、観光資源が豊富な軽井沢や草津のような別荘地はまだまだ人気があり、すぐに買い手がつくような物件もあります。
しかし、それ以外の特筆すべきものがない別荘などは買い手がつかず苦戦しています。
⇒道路も亀裂や陥没などデコボコ、落ち葉も放置、建物も少なく放棄地が目立つ別荘地。
・建築に相当な費用がかかる
⇒別荘地が、土地が傾斜/高低差があり擁壁などの造成費がかかる、樹木が多く伐採伐根が必要、既存家屋が古く解体が必要など、買主にとって建築コストが余計にかかる。
寂れたイメージがある別荘は買いたいとはならないでしょう。
また、買主にとってはもちろんコスト面も気になるところです。
例えば、別荘地+建築で3,000万円(土地1,000万円+家2,000万円)かかったとし、それを全額借入したとしたら毎月ローン支払いが10万円程度。ほかに別荘地管理費と固定資産税で毎月5万円とすると、別荘を所有するのに毎月15万円払うことになります。
別荘を所有している満足感は代えがたいものがあるかもしれませんが、15万円あれば毎月2・3回は“いいホテル”に宿泊できます。
最近では、ホテルが10万円~30万円で30日間連泊できるプランを出していますし、別荘を所有しなくても民泊やレンタルを活用すれば別荘に泊まることができます。
それ以上の期待値があなたの所有する別荘になければ、売却するのは大変でしょう。
この他にも、別荘地までのアクセスが悪い、インターネット環境が整っていないとそもそも検討候補にも上がらないこともあります。
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別荘の売却を検討する際に事前に確認しておくこと

スムーズに別荘を売却するために、以下の7つの項目を確認しておきましょう。
1)土地建物の登記簿謄本、公図、建物図面、測量図
物件の場所や規模などを知るための書類。
法務局出張所で取得可能。
しかし、建物図面や測量図が法務局に保管がない場合は取得できない。
2)固定資産税課税明細書
土地や建物の固定資産税評価額、固定資産税額を把握するための書類。
毎年別荘所有者の自宅に届く。
3)別荘地の管理規約、支出明細
建築物の制限やゴミ出しなどの約束事、管理会社の役割や、毎月の管理費、温泉の利用料など支出を把握するための情報。
4)土地の現況
傾斜地、崖地、平地かどうか、樹木や塀、前面道路との高低差などの状態、下水道管、ガス(プロパンガスが多い)、電気などのライフラインの状態。
5)建物の現況
床材や柱などの状態、住設備の不具合の有り無しなど、建物を現況のまま利用可能かどうかや、増改築やリフォームの情報。
6)購入時の別荘地パンフレット
別荘地全体の把握、当時のセールスポイント、販売状態や価格が分かる資料。
7)現地や周辺の写真
土地建物、家屋内、別荘地内、管理棟、近隣施設などの別荘等の状態を視覚的に掴むための写真。
不動産会社に売却相談するときに、これら資料があると話がスムーズです。もし手元にない場合は、不動産会社にこれら①~⑦の調査を依頼しましょう。有料となる場合がありますから、調査内容と料金をよく確認して依頼するようにしてください。
別荘を1円でも高く売却するために行うプロの秘訣
次に、売却手段についてです。
まずは別荘を取り扱える不動産会社に不動産査定をしてもらいましょう。
もし不動産会社とお付き合いがない場合は、知人や顧問税理士などから紹介してもらうと不動産会社も親身に聞いてくれやすくなるので良いかもしれません。
もちろん、インターネット検索で『○○県 別荘 売却 不動産会社』と探して連絡したり、同じ別荘地にある売り別荘検索をして、その売却不動産を取り扱っている不動産会社に連絡するのも良いでしょう。そのうえで、売却活動を始めるようにしてください。
以下は弊社がいつも行っている売却ステップです。
なお、売却情報をインターネット掲載するのはステップ4からです。
ステップ1.隣地の方へ手紙を出し、購入意思確認する
「自分の別荘の隣地に子ども用として欲しい」「庭として使いたい」などのニーズを掘り起こします。
ステップ2.隣地の方と一緒に売却する
土地面積が大きくなり、より大きな建物を建てることができます。福利厚生施設として法人が購入するケースもあり売却対象が広がります。
隣地には家が建っていて自分は更地の場合なら、更地を庭や露天風呂施設などに利用できるなどポイントを付けて活動できます。
ステップ3.不動産事業者への売却
不動産業者の買取は利益などを控除されるので、個人が購入する価格より低くなるデメリットがあります。こちらから不動産会社へ買いませんか?と直接聞けるので、買い手を見つけやすいメリットがあります。
不動産会社の買取価格をまず先に確認し、「その価格で売却して手放す」か「買取価格や意見(販売価格)を参考に売却価格を決め個人へ売却する」かを選択します。
ステップ4.個人への売却活動
・インターネット(ポータルサイト、リゾート専門不動産サイト)へ情報掲載
・地元やリゾート物件を扱う不動産会社への情報提供
・富裕層を顧客にもつ税理士等の専門家への情報提供
・別荘エリアの地域紙への掲載 ・・・など一人でも多くの人の目に触れるようにします。
別荘の売却チャンスを逃さないための3つのポイント
これをしないとチャンスを逃すかもしれませんので、必ず取り組んでください。
1)物件の調査資料や関係書類は漏れなく用意すること
不動産情報が少なく不明点ばかりだと、リスクがあるとして購入断念される可能性があります。調査はしっかり行い、不明点があったとしても「どこまで調べたか」を伝えるようにしましょう。
2)土地や建物を綺麗に清掃しておく
雑草が生い茂り、ごみを捨てられ、足の踏み場もないような見た目が悪い物件は誰も欲しがりません。売却活動をスタートする前に清掃して綺麗な不動産に仕上げ、月に1度以上は見回りし、必要に応じて清掃するようにしましょう。
3)分譲マンションのようなパンフレット
「見てみたい!」と興味を持ってもらうような物件情報資料を作成することが何よりも重要です。別荘を購入する人は、単純に家が欲しいのではなく『希望のライフスタイル』を叶えたいのです。物件概要と地図と家の写真1枚だけの情報が載っているA4一枚の募集図面でそれが伝わりますか?
新築の分譲マンションのパンフレットのように、住むことで得られるライフスタイルを伝えるように、募集図面も工夫しましょう。
同じ別荘地で売りたい人がたくさんいるようであれば、管理会社とも協力しお金を出し合い、独自のホームページを作成し、魅力を伝えるのもいいかもしれません。
注意事項
「購入するから契約前に手付金として50万円ほしい」「測量しないと売却活動できないから、50万円先払いでほしい」などと契約や作業する前から費用請求してくる業者には要注意です。詐欺の可能性もあります。
このような話があれば、家族や友人、地元の不動産会社に相談してください。
どうしても売却できない場合の奥の手
お金を事業者に支払うことで不動産を手放せる、これまでになかったサービスが登場しています。一般的には、買主がお金を支払うのですが、このサービスは売主が買主に支払うというお金の流れが逆です。
国の制度 相続土地の国庫帰属制度(管理費の負担がある場合は使えない)
民間業者 管理費がかかっていても引取料金を支払うことで処分ができる
参考メルマガ
https://www.pro-search.jp/blog/disposal_of_negativeproperty/
プロサーチグループの引取・再生会社(LandIssues株式会社)
https://www.pro-search.jp/blog/disposal_of_negativeproperty/
どうしても売れないときの最終手段としてお客様にお伝えしてください。
まとめ
今回のポイントは以下の通りです。
・登記簿謄本や管理規約などの資料を整理してから不動産会社に相談すると話が進みやすい
・別荘は「建物」ではなく「ライフスタイル」を売るもの。清掃や資料作成で“暮らしのイメージ”を伝えることが重要
別荘の購入者を探すのは容易ではありません。しっかりと調査したうえで、別荘の魅力を一人でも多くの方に届き感じてもらえるようにお客様をサポートし、売却活動していきましょう。(記:松尾企晴)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナー(年100回)などで情報を発信している。
・公社)全日本不動産協会東京都本部千代田支部教育研修等の副委員長
・国土交通省・公社)不動産流通推進センター 良質な不動産コンサルティングの普及・定着に向けた検討委員会(2025年~)実務委員着任
・不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士の資格講師等を歴任
・司法書士会、税理士事務所、不動産会社、相続診断士会各支部、金融機関等での講師等






