早めの相続対策で相続税節税!不動産売却に使える2つの特例をわかりやすく解説

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早めの相続対策で相続税節税!不動産売却に使える2つの特例をわかりやすく解説写真

2021.11.2

 
 
「相続税の納税を実家や駐車場などの不動産を売った代金で納めたい。」
 
このように考えている方からのご相談がよくあります。
 
そして、ご相談者様のお話を聞くと
 
・今のままでは相続税の納税期限までに売却できない可能性が高い
・売却時の税優遇の特例を使うには売却期限がギリギリで間に合わないかもしれない
・実家を売却する予定があるのに、貸してしまったがために特例がつかえない
・遺産分割がまとまっていないため不動産を売却できない
 
このような状態であることが多いです。
 
 
こうなるとせっかく不動産を売っても、手元に残るお金が想定より少なくなってしまう可能性があります。このようなことが起こらないためには、今のうちから準備をすることが重要です。
 
そこで本記事では、相続後に不動産を売却する場合に少しでも手取りを増やすためのポイントをお伝えします。
 
 
今回のポイントは以下の通りです。
 

・相続した不動産を売却したときの税金を安くするためにも、早めに相続対策を進めるべき。
 
・不動産売却時の手取りを増やすためには「相続空き家の3,000万円特別控除」と「取得費加算の特例」が有効。
 
・遺産分割で揉めてしまうと、相続税を計算するときなどに適用できるはずの特例が使えない、不動産を売却できないなどの問題が生じる。
 
・相続発生から不動産売却完了まではおよそ6か月はかかる。相続税の申告期限は10か月あるが、予期せぬトラブルが起こる可能性もあるので、期限を意識した事前の売却準備が肝要。

 
 

 相続後、不動産売却するときに使える特例

不動産 売却
 
生前に相続対策を進めるべき理由の一つは、「相続後に不動産を売却するとき、売った時の税金が安くなる税優遇の特例をしっかり使えるようにしておくため」ということです。
 
不動産を売却したあとの手元の財産をできるだけ減らさないために押さえて欲しい2つの特例があります。
 
相続空き家の3,000万円特別控除と、取得費加算の特例の2つです。
 

 相続空き家の3,000万円特別控除

相続した空き家状態の実家を売却するときに使えるもので、売却した価格のうち3,000万円までは利益がなかったものとして税金が安くなります。
 
簡易計算ですが、最大で3,000万円×譲渡所得の税率20%=600万円も安くできます。
どのような不動産、状態でも良いわけではなく、一定の要件があります。
 

・相続発生日から起算し、3年を経過する日が属する年末までに売却すること。
 
・昭和56年5月31日以前に建築した戸建てであること。区分マンションには使えません。
 
・相続時から売却時まで空き家状態であること。賃貸や事業、居住に使っていないこと。
 
・売却価格が1億円以下であること。(共有で売却するときも合計1億円以下)
 
・老人ホーム等へ入所したときは、要介護認定等を受けている、その時から空き家状態であるなど条件があること。

 
この特例、現時点では令和5年12月31日までの売却に使えるとしています。
 
つまり、令和3年11月1日に相続発生した場合は、3年後の年末である令和6年12月31日までの売却ではなく、令和5年12月31日までの約2年の間に売却する必要があります。
 
知っていれば実家を貸さなかった!という方もいます。
親が住まなくなったから一定期間だけ賃貸して、相続したあとに売却しようとするときは、この特例は使えませんから要注意です。あくまでも『空き家』であることがポイントです。
 
 
関連記事
早くしないと損するかも?相続空き家の3000万円特別控除をつかって空き家の実家を賢く売却する方法
 
 

 取得費加算の特例

取得費加算の特例とは、相続税を支払ったその人が、相続した土地や建物等を売却した時に使える特例です。
納めた相続税のうち一定額を、取得費にプラスして譲渡所得税を計算できます。
 

【通常の譲渡所得の計算方法】
売却価格−(取得費+譲渡費)=譲渡所得 

 
譲渡所得とはつまり利益のことです。
 

【取得費加算の特例を使った譲渡所得計算方法】
売却価格−(取得費+取得費加算+譲渡費)=譲渡所得

 
この譲渡所得の金額に税率を乗じて、納める税金を計算します。このように取得加算の特例を適用し、取得費をプラスすることで、譲渡所得の金額が減りますから納める税金が減ります。
 

取得費加算とは?

取得費とは、売却対象の土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費、測量費などを指します。これらは不動産に関する諸費用として売却価格から差し引くことができる経費です。
 
この不動産に関する経費(取得費)に加えて、相続時に支払った相続税の一部を加算することができるのが「取得費加算の特例」です。この特例をうまく活用することにより、相続不動産売却時の税額を軽減できます。
 

取得費加算を活用する、しないで税額がどれくらい変わる?

取得費加算を活用する、しないとではどれくらいの税額の差があるのか、一般的な例をあげて説明します。
なお簡易計算ですから実際に計算するときは税理士へ相談してください。
 
 
≪例≫
相続人Aさんが、相続税を納めて、相続した不動産を売却しました。
・相続で取得した課税価格の合計 1億円
・納めた相続税 1,000万円
・売却資産(不動産)の相続税課税価格 5,000万円
・取得費 不明(概算取得費として売却価格の5%⇒250万円)
・譲渡費 300万円
 
 

【通常の譲渡所得税の計算】
売却した不動産の相続税課税価格5,000万円 −(取得費250万円+譲渡費300万円)=譲渡所得4,450万円
 
譲渡所得4,450万円 × 税率20.315%=譲渡所得税 約900万円

 

通常の計算では、譲渡所得税は約900万円となります。
 
次に、取得費加算の特例を利用した場合を試算します。
 

取得費加算できる金額の計算式
納めた相続税 × 売却資産の相続税課税価格 ÷ 相続で取得した課税価格の合計

 

取得費加算額の計算式:1,000万円×5,000万円÷1億円=500万円
  
よって500万円を取得費に加算することができます。
 

【取得費加算の特例を使った譲渡所得税の計算】
売却した不動産の相続税課税価格5,000万円−(取得費250万円+取得費加算500万円+譲渡費300万円)=譲渡所得3,950万円
 
譲渡所得3,950万円 × 税率20.315%=譲渡所得税 約800万円

 
特例を使わない場合(通常)と比較すると、特例を使うことで売却代金の手取りが100万円も増えることになります。
 
 

取得費加算の特例の適用要件
・相続税を支払っていて、相続や遺贈で受けた資産を売却すること
・相続発生日の翌日から起算して3年10ヶ月以内に売却すること

 
この特例は、一つ目の相続空き家の3,000万円特別控除と比べて適用要件の項目は少ないですね。共通するのは、相続発生後3年というルールがあることです。
 
なお、実家を売却するとき、この2つの特例は、どちらも使えるわけではなく選択制です。
納めた相続税の額などを考慮しより効果がある特例を税理士と一緒に計算し選びましょう。
 
 

 遺産分割が終わらないと税負担増!?不動産を売却できない?

税金負担
 
遺言が残されていればその内容に従って資産を分けますよね。
 
遺言がないなどのときは、だれがどの資産を相続するかを相続人同士の話し合いで決める必要があります。これを遺産分割協議といいます。
 
もし、遺産分割協議がずっとまとまらなかったらどうなるのでしょうか?
 

 相続税の申告期限内に遺産分割協議が終わらなかったとき

相続税を計算するときなどに適用できるはずの特例が使えません。
 
代表的な特例はこちら。
 

・小規模宅地の特例(土地の評価額を50%や80%も下げられるもの)
・配偶者の税額軽減の特例(法定相続分又は1億6千万円まで相続税負担なし)

 
申告期限は、相続発生日の翌日から起算して10ヶ月です。この間に遺産分割協議を終わらせる必要があります。未分割のままですと、この特例を使うことができません。
 
ただし、申告期限後3年以内に分割するという書類を税務署にだして、ちゃんと3年以内に終われば、適用することができます。
 
延長できるからと安心しないでください。
 
相続税は、未分割のままでも申告期限内に一旦納める必要があります。
 
その時の相続税は、小規模宅地の特例や配偶者の税額軽減の特例を使わずに計算したものとなりますから、税負担が大きくなります。
 
そうなると、遺産分割協議が終わらなかったがために、本来売却しなくてもよかった資産を、相続税納税の納税資金として手放すといった事態も考えられます。
 
 

 相続発生後、3年以上経ってもまとまらないとき

いよいよ危険信号です。
 
小規模宅地の特例や配偶者の税額軽減の特例が受けられなくなる上に、さらなるリスクがあります。それは、不動産を売却できない事態を引き起こすということです。
 

相続した不動産を売却するときは、売主を特定して相続登記をする必要があります。相続登記とは、相続で誰が取得したか分かるようにするため、法務局に届け出る名義変更手続きのことです。
 
遺産分割協議が整っていないと相続登記ができないので、結果、売却できません。
 
そして、相続発生から3年以上を経過しても売却できないと、取得費加算の特例や相続空き家の3,000万円特別控除が使えなくなってしまいます。
 
遺産分割が整わないと、不動産を売却ができず、そして税負担が増えるということですね。親から相続した資産が一気に目減りすることになり、こんなはずじゃなかったと思うかもしれません。
 
遺産分割がスムーズに終えられるようにするには、遺言書を残すことや、遺産分割の方針を家族みんなで生前に決めておくことが必要でしょう。
 
関連記事
遺言書の作成を検討している方へ。失敗しない遺言書の書き方と進め方

 

 不動産の売却スケジュールを把握する

スケジュール
 

遺言書等で対策したから遺産分割協議もスムーズに終るだろう。
あとは不動産を売却するだけだし、相続税の申告期限は10か月あるから十分間に合う大丈夫だろう。

 
このように考えていませんか?
しかし、みなさんが想像している以上に相続発生から不動産売却完了までは時間がかかります。
 
 
■一般個人へ土地を売買するときのタイムスケジュール■
 

(1)売却価格の査定 10日間(資料やマーケット調査など)
(2)不動産仲介会社の選定 7日間(各社面談したり、相続人の間で決める)
(3)売却活動の準備 7日間(不動産現地や役所への詳細調査、間取り図等の作成)
(4)活動開始~買主決定 60日間(開始から2か月で買主が見つかったと想定)
(5)契約締結 14日間(契約内容を決める)
(6)測量などの作業 60日間(測量がスムーズに進んで2か月)
(7)引渡し 30日間(測量がある場合は契約締結から3か月後)

       
     
         
 
全行程(1)から(7)で約6か月間です。
これを聞いても10か月あるから間に合う!と思われるかもしれません。しかし、ご相続が起きてからすぐに売却に着手できるでしょうか?
 
49日の法要の後から始める財産の確認や遺産分割協議、相続登記の手続きなどをしていると、あっという間に4カ月以上経ちます。つまり、売却活動をスタートするときは、相続税の申告期限まで残り5ヶ月を切っていることが大半なのです。
 
もしも買主が3か月、4か月と決まらなかったら?
もしもお隣さんと土地境界のことで揉めて測量が長引いたり、終わらなかったりしたら?
 
不動産の売却は、皆さんが思っている以上にイレギュラーなことがおきます。つまり、相続税の納税期限までに売却できないこともあり得るのです。
 
相続後に不動産を売却する場合は、遺産分割協議をスムーズに終わらせることの他に、『生前に、不動産の問題点を見つけ解決すること。売却の査定を取っておくこと』なども必要でしょう。
 
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 まとめ

 

・相続した不動産を売却したときの税金を安くするためにも、早めに相続対策を進めるべき。
 
・不動産売却時の手取りを増やすためには「相続空き家の3,000万円特別控除」と「取得費加算の特例」が有効。
 
・遺産分割で揉めてしまうと、相続税を計算するときなどに適用できるはずの特例が使えない、不動産を売却できないなどの問題が生じる。
 
・相続発生から不動産売却完了まではおよそ6か月はかかる。相続税の申告期限は10か月あるが、予期せぬトラブルが起こる可能性もあるので、期限を意識した事前の売却準備が肝要。

 
 

相続した後の税優遇の特例を使うためには、生前の遺産分割や売却準備が大切であることをお伝えしました。
 
これらには1年以上かかることもあります。不動産と相続、税金にも詳しい専門家に相談し、少しでも多くの資産を残せるように生前に対策を練っていきましょう。
 
 
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この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

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