アパートの空室対策。お金をかけずにできる空室改善の5つのステップ
更新 2026.2.20
賃貸経営をしている方なら、「空室による収入減」に一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。
最近は新しいマンションやアパートが次々に建設され、築年数が経過した賃貸不動産は、何も対策をしなければ競合に埋もれてしまいがちです。
その結果、空室が埋まらないだけでなく、入居が決まっても短期間で退去される…という悪循環に陥ることもあります。
とはいえ、
・新しい設備の導入
・リフォーム、リノベーション
といった対策は、当然まとまった費用がかかります。
「本当にこれで入居者が増えるのだろうか…」
そう不安を抱えながら設備投資をしていませんか?
あるいは、管理会社に言われるがまま賃料を下げることを了承していませんか?
本記事では、賃料を下げたり費用をかけた設備投資をする前に試してほしい、
「お金をかけずにできる空室対策のチェックポイント」を、5つのステップにまとめてお伝えします。
今回のポイントは以下の通りです。
・空室に困ったときのチェックポイントは、(1)募集図面(2)入居者履歴(3)物件に合うライフスタイル訴求(4)オーナー自身の内見(5)募集条件の再設計、の5ステップ
・「住んで得られる価値」を伝えられていない、または「どんな入居者に選ばれる物件か」を把握できていない場合、闇雲に設備投資をしても的外れになる可能性がある
空室に悩むオーナーの特徴

これまで賃貸経営の空室相談を数多く受けてきましたが、空室に悩むオーナーには共通点があります。
1)賃貸募集の図面を見たことがない。
2)管理会社に任せっぱなし。
3)物件に1年以上行っていない。
4)空室対策の情報は豊富だが行動していない。
5)現在・過去の入居者の属性を知らない。
空室が続いて賃料収入が減り、借入金返済や生活費に困るようになってから相談に来られることも多いのですが、決まってこの5つのうちどれか(または複数)に該当します。
みなさんはいかがでしょうか。
設備投資にお金をかける前に確認したい
5つのチェックポイント

上記に当てはまる場合、よく起きているのは次の2点です。
・住んで得られる価値を伝えられていない
・どんな属性の方々に好まれるか分かっていない
この状態で設備投資をしてしまうと、市場の需要と供給が噛み合わず、結果的に「お金をかけたのに空室が埋まらない」事態にもなり得ます。
まずは、お金をかけずにできる範囲で、次の5ステップを順番に点検していきましょう。
掲載している募集図面を確認する
募集図面は、物件の情報と魅力を伝える重要なツールです。
不動産会社が作成した募集図面は、必ずオーナー自身の目で確認しましょう。
確認ポイントは、募集条件が正しいかだけではありません。
どんな表現で魅力を伝えているかも大切です。
例えば「閑静な住宅街」と書かれている図面はよく見かけますが、
「駅から近いのに車通りが少なく、夜は静かです」と書いた方が、読み手が生活をイメージしやすくなります。
また、図面に使う写真も非常に重要です。
暗い・不鮮明・情報量が少ない写真のままになっていないか、必ず見直しましょう。
過去の入居者の履歴からどのような人に選ばれたのかを調べる
性別や家族構成、年齢層など、これまでどのような人に住んでもらってきたかを確認しましょう。
契約者本人や同居人などの情報は賃貸借契約書をみて確認ができます。
この物件はこれまでどんな人に選ばれたのかをもとにターゲットを設定し、戦略を練りましょう。
物件に合うライフスタイル・趣味からアピールポイントを考える
次に考えたいのが、
この物件に住むことで、どんな生活が送れるのかです。
例えば、
「近くの大きな公園にランニングコースがある」
と書けば、健康志向の方やランニング好きの方が反応するかもしれません。
「飲食店が近くに多い」
なら、外食やグルメが好きな方に刺さりやすいでしょう。
このように、物件の価値は設備だけではなく、
住むことで得られる体験(暮らしの価値)にもあります。
募集図面や募集文の中で、入居者が生活をイメージできる言葉に変えていきましょう。
オーナー自ら内見し、入居者目線で改善点を探す
図面や条件で興味を持ってもらい内見に来てくれても、
部屋の印象が悪いと「ここはやめよう」となってしまいます。
内見時の改善例としては、
・窓を開けて換気をする
・魅力ポイントを書いたカードを掲示する
・スリッパやメジャーを用意する
・共用部の清掃状況を確認する
など、すぐできることが多くあります。
「管理会社任せ」ではなく、オーナー自身が定期的に物件に行き、
入居者目線でチェックすることが空室改善につながります。
募集条件を再検討する
敷金・礼金・更新料などは、周辺の類似物件と比較してどうでしょうか。
例えば礼金を0にすれば一時的な収入は減りますが、
空室期間が長引くよりも「入居者確保」を優先した方が収益が安定することもあります。
また、空室対策では「入居させる」だけでなく、
長く住んでもらうという視点も重要です。
例えば、長期入居者や滞納のない優良入居者に対して、
・更新料の免除
・エアコン交換などの優遇
といった施策を行うことで、更新のタイミングでの退去を防げる可能性があります。
ここからは、上記のポイントを実行して慢性的な空室を解消したオーナー様の実例です。
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空室コンサルティング実例
資 産:賃貸マンション兼自宅(10階建)
相 談:
・全26戸中、6戸が常時空室状態。
・借入金返済が重くのしかかり、今後の建物改修費などが捻出できるか不安。
・家賃を相場以下に値下げするほかないと管理会社から言われているが、これまでも試してきたが決まらず、自分たちでは何をどのようにしたらいいのかわからない。
マンション管理の現状:
・地元管理会社に入居者募集を委託、連絡窓口はお父様
・娘Aさんが帳簿をつけ、毎月収支のひっ迫に不安
対象不動産は東京都内にあり最寄駅から徒歩4分。JR線や他の私鉄も乗り入れしている何ら申し分のないアクセス、立地環境だったので、6戸も空室なのはちょっと多すぎるなという印象を受けました。
収支改善コンサルティングのご依頼をいただき、いくつか気になったことがあったのでご家族に聞いてみました。
『募集図面を見たことはありますか』
『物件の魅力だなと思うところを教えてください』
『これまでどのような人たちが住んできましたか』
『賃料を下げる以外の賃貸条件変更はしましたか』
『内見対応はどのようにしていますか』
募集図面は、新築の時以来見た記憶がなく、内見方法も知らない、賃料や敷金礼金の減額以外の条件変更の提案を受けたことがない、これまでの入居者は30代で小さなお子さんがいる家庭とのこと。
物件の魅力については、病院や商業施設がすべて徒歩10分以内にある、大きな公園が近くにあり池もあるのでランニングすると気持ちいいこと、バルコニー側が区立公園なので陽当たりが良い、など沢山ありました。
こちらが実際の募集図面です。

Aさんに見せてみたところ、『えっ!?女性限定じゃないよ!』『家賃保証に入ることが条件だなんて知らない…』など、かなり驚いた様子でした。
これまで管理会社に任せきりにしていて、募集条件を把握していなかったのです。
まず私が伝えたのは、「現状では部屋を探している人に対して物件を全くアピールできていない」ということです。物件をアピールし、興味を持たせ、見てもらわない限り空室が埋まるはずありません。
賃貸募集においてまず大切なことは、探している人の《選択肢》に残ることです。

募集図面を比較してみて、皆さんはどちらの図面の物件を内見したいと思いますか?
このように募集図面を『住むことで得られる価値をイメージさせる』ものに変えたことで、お客様も物件イメージを掴みやすくなったのでお問い合わせが増えました。
内見も「お客様を迎え入れる」考えを持ち、必要な内見グッズを揃えたりと環境を整え、できることはすぐ実行し、一歩一歩着実に進めることで成果を得ることができました。
結果は、約3ヶ月で空室6部屋すべて埋まりました。
『ただ募集するのではなく、アピールできているかなど意識を向けることが大切だと分かりました』
『誰か任せではダメですね。会社の経営と同じで、計画を立てて実行することが大事なんですね。これからは自分たちでも考える癖をつけていきます』
Aさん家族からはこのようなお言葉をいただきました。
収益を上げるための意識や行動の改善ができ、数年たった今でも順調に賃貸経営できています。
アパートの現状把握や収益改善方法について無料診断受付中
プロサーチ株式会社では、賃貸経営や空室対策等に関する無料診断が可能です。
空室が多い、賃料収入を増やしたい、対策提案を実行しても良いのかなどで悩んでいる方は、ぜひこちらから無料診断をお試しください。
まとめ
今回のポイント
・空室に困ったときのチェックポイントは(1)募集図面(2)入居者履歴(3)ライフスタイル訴求(4)オーナー内見(5)募集条件の再検討、の5ステップ
・住んで得られる価値を伝えられていない、または好まれる属性が分かっていない状態で設備投資をしても、的外れな対策になる可能性がある
空室問題を強く感じているのは、実は“子世代”であることも多いです。
親世代はいわゆる不労所得として賃料収入を得られた時代もありましたが、人口減少が進む現在の日本では、賃貸経営も「経営力」が求められています。
空室でお悩みの方は、空室対策に詳しい不動産コンサルタントや賃貸管理会社に相談しましょう。
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20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナー(年100回)などで情報を発信している。
・公社)全日本不動産協会東京都本部千代田支部教育研修等の副委員長
・国土交通省・公社)不動産流通推進センター 良質な不動産コンサルティングの普及・定着に向けた検討委員会(2025年~)実務委員着任
・不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士の資格講師等を歴任
・司法書士会、税理士事務所、不動産会社、相続診断士会各支部、金融機関等での講師等



