相続に関わる人たち全員の想いを知ることの大切さ

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相続の悩み…自分一人でどうしたら良いのか分からない

当社が不動産相続の顧問をしているAさんから『最近相続のことを考え始めている元同僚で数十年来の親友がいるんだけど、話を聞いてもらえないか?相続と不動産のプロといえばプロサーチさんと思ってね。』と連絡があり、後日、Aさんも同席のもと、今回の相談者のBさん(75歳 世田谷区在住)とお会いすることになった。
 

Bさんは、初めて相続について相談をするとのことで、何から話せば良いのかわからない様子だった。我々はまずご家族や資産背景のことを伺い、話題を変えながら話していると、Bさんが、『遺産分割でもめないようにしてあげたい』『相続税をちゃんと納められるのか』『大阪にある不動産は、東京に住む息子たちは要らないだろうな』と取り留めなくポツリポツリと話し始めた。

 
どうやら悩みはあるが、それをどうしたらいいのか自分一人では分からないようだった。また、財産評価や相続税がかかるか調べたこともなく、子供たちに資産のことを詳しく話したことがないとのことだ。

 
我々はBさんに、家族と一緒に相続を考えていくことが大事であり、それにはまずは資産の棚卸をして、相続税概算、課題点抽出など、現状を把握することが肝心であることを伝えた。Bさんは、一人で考えていても今のまま結局変わらないだろうと、一歩踏み出すつもりでまずは資産分析レポートをお願いするとのことだった。

対策実行に至った父子それぞれの想い

相続に関わる人たち全員の想いを知ることの大切さ

大阪への出張を前に、Bさんから大きな段ボール3箱にぎっしり詰まった資料を預かった。中には50年以上前の資料もあって整理・解読するだけでも大分時間を要したが、ある程度現状資産を把握できたところで、Bさんも一緒に、いざ一泊二日の大阪の調査へ。

 
初日はBさんと、Bさんが所有している不動産の視察ツアーとなった。底地や古アパート、古い貸家などを1日かけて周辺環境も含めて、資料と見比べながらじっくり調査。夜は、Bさんと一緒に夕食へ。ここでは趣味や仕事、家族のことなど様々な話題が飛び交って、笑いが絶えない時間となった。そして話が大阪の不動産の話題になるとBさんは急にしんみりした表情となって、こんな話をしてくれた。『実は大阪には2か月に1度来ているんです。亡くなった妻と出会ったのも大阪、二人でよく遊んだのも大阪で…。だから大阪に行く理由はなくしたくないんです。大阪に不動産がある限り、行き続けたいと思っています。』
ここで私は初めて奥様との思い出の多くが大阪にあるということを知ることができた。

 
2日目は、私だけで役所を回って不動産調査と再度現地確認をした。
一通り調査が終わったところでその日の夕方頃に再度Bさんと会うことに。調査の結果を踏まえ、私はBさんのお子様達の気持ちや希望も聞いた上で、提案内容を固めたいとBさんに要望した。するとBさんは『自分から息子達に相続のことを話すのは何かちょっと…私の代わりに松尾さんが息子達に想いを聞いてもらえませんか?』と。どうやら、自分からではなんと切り出したら良いか分からないし、冷静に聞けるかどうかわからないとのこと。

 
専門家であり、かつ公平な立場の人から話をしてほしいとのことだったので、大阪から帰京して1週間後に都内に住んでいる2人の息子さん達を集めてヒアリングを行った。

 
息子さん達から話を聞くと、それぞれからこんな意見が出てきた。
『将来の相続では兄弟では揉めたくない』『僕たちは大阪に行くこともないし、大阪にある底地や古いアパート・貸家は管理できない。大阪の不動産は親父の代で何とかしてほしい。』『もし不動産で相続するなら、自分たちが住んでいる東京の不動産に組み換えておいてほしい。』

 
そこで、私は大阪でBさんと過ごした夜に聞いた、大阪に不動産を持ち続けている本当の理由を息子さん達にお伝えした。息子さんたちは皆、Bさんのその思いには気付いていなかったようで、それを聞くと口を揃えて『親父の財産だから最後は親父に決めてほしい。できれば親父が大阪に通う理由は無くさないでほしい。』とのことだった。

 
それから1か月後、Bさん、2人の息子さん達とその家族にも同席してもらいレポート報告会を開催した。現在の実態は財産評価が6億円、相続税概算総額2億円(当社提携税理士にて試算)かかり、底地の評価(3.5億円)が高く相続税負担を押し上げていること(時価は評価の約半分の1.7億円程度)、その他の不動産の問題点等を報告した。

 
そして肝心の提案は、
① 評価が高く収益性の低い大阪の底地、大阪の築50年のアパート、大阪の古い貸家を売却して、東京都心のタワーマンション2部屋と大阪のタワーマンション1部屋に組み換える。大阪のタワーマンションはBさんのセカンドハウスとして利用する。

② 組換え後の大阪の区分マンションは将来の納税財源とし、東京のタワーマンション2部屋を兄弟で分ける。
対策による効果は、相続税が約1億円圧縮され、年間収入も現状より増えた。これで相続税納税は金融資産5000万円と大阪の区分マンションを1つ売却すれば納税が完了する。

 
実はこの提案は、お父さんの想いと息子さん達の想いが最大のヒントとなって作り上げたものだ。この提案を聞いて息子さん達は『親父、すごくいい提案だと思うよ。でも親父の資産なんだから最後は親父がどうするか決めろよ。』と。Bさんはその言葉を聞いて目には涙が溢れていた。

 
『松尾さん、今回の提案には本当に感激したよ。どうもありがとう。息子達と相続のことをこうして真剣に話すきっかけにもなったし、今後どうやって対策をしていくべきかがよくわかったよ。本当にありがとう』と感謝のお言葉をいただいた。こうして、その場である程度の方向性は決まったが、家族だけでもう一度ゆっくり話をしてから最終的な結論は決めるとのことだった。

決断のきっかけとなった家族の想い

それから1週間後、Bさんから連絡が入り、家族会議の結果を聞きにご自宅へ伺った。
『松尾さん、家族で話して決めたよ。松尾さんが提案してくれた通りに進めようと思う。松尾さんの提案なら息子達も困ることもないし、何より大阪に不動産を残してくれること、そしてその気持ちを息子達にも理解してもらえたことは本当に嬉しかったよ。』
続けて『松尾さん、できればこれからも手伝ってくれないか?どんなマンションに買い換えるべきかのアドバイスも欲しいなぁ。うちの財産のことを一番わかってくれているのは松尾さんだしさ。引き続きぜひお願いしたいのだけどいいかな?』と。

もちろん快諾させて頂くことにした。

遺産相続コンシェルジュからのアドバイス


ご相談者の方の多くは、『資産を正確に把握していない』『何が心配で、何をすればいいのか?』『誰に相談したらいいのか?』と悩んでいる方がいます。一方、とにかく色々な人から節税や活用方法ばかり聞く方がいますが、我々から『節税する目的は何ですか?』『それをして誰が喜ぶのですか?』『相続のゴールは?』と聞くと、ほとんどの方が答えられません。どちらの方も、まず何からすればいいのか?自分にとって良い相続対策は何か?など考えを整理できず立ち止まってしまい、時間だけが過ぎているように思います。
まずは、しっかり自分の資産を把握し、分析することが大事です。そして忘れてはいけない肝心なことは、相続に関わる人たち全員の想いを知ること、家族と一緒に相続に取り組むという姿勢です。決断し行動を起こすキッカケは、提案内容だけではなく、気持ちや想いの部分がキーポイントとなることがよくあります。ここを気が付かせることができる存在として私たちのような会社があるのかもしれませんね。(記:松尾企晴)

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