家族信託された不動産の売買ってどうするの?

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これまでプロサーチでは数々の家族信託の組成に携わってきましたが、最近、家族信託で信託された不動産の売買に関するご相談も増えてきました。
 
例えば、先日こんなご相談がありました。
 
家族信託をしている親の不動産を売却しようと思って、受託者であるご相談者様(息子さん)が不動産会社に売却の相談に行ったそうです。
 
家族信託登記をされた登記簿を見た瞬間に、その不動産会社の営業の方は「うちでは信託された不動産の取扱はできません。」と一言。お客様自身もどこの不動産会社に相談をしていいのかわからず、家族信託契約をお願いした司法書士さんに相談したところ、弊社を紹介頂き、ご相談に来られました。
 
「家族信託」が世の中に広がり始めて、2年程度経ちました。今後は信託された不動産売買のご相談も増えてくると思います。そこで今回は、家族信託した不動産をいざ売買するというときに困らないよう、家族信託をした不動産の売買の実務に焦点を当て、お伝えしたいと思います。
 

家族信託された不動産の売買のパターン

 
家族信託をされた不動産の売買について、次の3つの項目にお答えしながら解説していきます。
 

  • ①信託された不動産(現物不動産)の売却はできるの?
  • ②信託の条項に“売買”の項目が無い場合は、どうしたらいいの?
  • ③信託受益権の売買はできるの?
  •  
    【前提条件】
    ・現在、一番よく組成されている、『委託者=受益者』(自益信託)のケースとします。
     (登場人物のイメージは『委託者・受益者=親、受託者=子』とします。)
    ・『信託不動産(=家族信託された不動産)』=お持ちの所有不動産とします。

     

    ①Q:信託された不動産(現物不動産)の売却はできるの?


    A:もちろんできます。
     
    信託契約の条項に信託不動産の「売買」について含まれている場合、目的に従い、受託者を売主として信託不動産を売却することができます。
     
    この場合、受託者が買主と直接取引ができます。つまり、実務的には、売主が受託者となるだけで、一般の不動産売買と変わりません。※ただし税務面、法律面の取扱いについては把握しておく必要はあります。
     
    冒頭のように、不動産のプロが『信託』における不動産取引に係る実務・税務・法律を知らないとなると、お客様に対して適切な説明やアドバイスをすることは出来ません。どれだけ素晴らしい制度であっても、信託不動産の相談先がないという家族信託難民が増えてしまっては元も子もないのです。
     
    ですから今後は不動産を扱うプロも、この信託の勉強を疎かにせず、また、信託に詳しい専門家とタッグを組み、お客様の要望にお応え出来るようにならなければいけません。当社では専門士業の方や同業の方からの信託不動産の売買等についてのご相談も積極的に承っております。
     
    ちなみに信託不動産の売却益は、信託契約に別段の定めがなければ、信託財産に組み込まれる(受益者のものになる)ことになります。また、譲渡所得税は信託法上の所有者である受託者ではなく、信託不動産から利益を享受する「受益者」が納税する義務を負うこととなります。
     

     

    ②Q:信託の条項に“売買”の項目が無い場合は、どうしたらいいの?


    A:売買することができません。
     
    信託契約の条項に、信託不動産の「売買」が含まれていない場合は、受託者に権限がありませんから、信託不動産を売却することができません。
     
    しかし、信託契約はしたものの、当初と状況や気持ちが変わり、“やっぱり売却したい!”というケースもあると思います。例えば、次のような方法(一例)であれば売買が可能となります。
     
    1.家族信託契約書の条項を変更する(信託契約で定めた合意等が必要)
    2.当事者間の合意解除により一旦、信託を終了させる。 
    →2は自らの意思(本ケースでは信託契約前の所有者=委託者)で不動産を売却する方法です。
    ※どちらも、本来の不動産所有者ご本人の売却意思確認ができることが大前提です。
    ※すでに意思判断能力がない場合は、信託終了事由が発生するまでは売買はできません。
     
    信託を解除してしまえば、信託不動産は現物の不動産に戻りますので、その後の売買実務は一般の不動産取引となります。
     

     

    ③Q:信託受益権の売買はできるの?


    A:できます。
     
    ケース①と比較すれば少ないのですが、相続対策や分割対策において、現物の不動産ではなく信託された受益権を子供や同族法人へ売却する方法です。
     
    (もちろん第三者への売却も可能です。)
    ※受益権の売却でも、譲渡所得税が「受益者」に対して課税されます。
     
    信託受益権の売買は、「第二種金融商品取引業」の免許が必要となります。実は不動産仲介会社でこの免許を保有している会社はほとんどありません。(不動産ファンドを扱う不動産会社が持っていることが多いです。)
     
    プロサーチでは、「第二種金融商品取引業」の免許も保有をしておりますので、受益権の売買をお手伝いすることもできます。

     

     

    遺産相続コンシェルジュからのアドバイス


    家族信託を組成しているお客様の多くは、万一のときに不動産を管理したり、状況によっては不動産の換価処分をしたりすることを望まれています。しかし、実際信託された不動産を売ろうとしたときに、どこの不動産会社も取り扱ってくれないようであれば、お客様の要望が叶わず何のために信託をしたのか分からなくなってしまいます。また今後は、信託された不動産の売却だけに留まらず、信託財産を担保にして有効活用を行うことや、信託財産を他の資産に組み換えることなども増えてくるでしょう。これから先、相続の仕事をしていく上では、「家族信託」の知識および家族信託された不動産に関する正確な情報も、プロとしては必ず知っておくべきと思います。プロサーチでは、信託された不動産の売買や有効活用といった実務のお手伝いも可能です。もし身の回りで「信託」された不動産のことで困っているお客様がいましたら、まずは一度弊社までご相談ください。(記:中田千太郎)

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