私道トラブルで不動産価格が半額まで下がる!?今すぐチェックしたい私道の3つのポイント

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私道トラブルで不動産価格が半額まで下がる!?今すぐチェックしたい私道の3つのポイント写真
2021.6.30

 
『私道を巡ってトラブルが発生すると、不動産が売れなくなる』
 
ちょっとショッキングな言葉ですが、決して大げさではなく、不動産取引の現場では起こり得る話です。
普段から何年も何十年も何の問題もなく通っていた道でトラブルなんて起こるのか?にわかには信じられませんよね。
 
さて、皆様やお客様のご自宅の前の道(前面道路)は、公道・私道どちらでしょうか?
道路に白ペンキで『公道』や『私道』とは書いていないので、役所で確認しない限りは現場で見てもどちらなのか判別ができません。
 
トラブルが起こる原因の一つに、『私道のことを正しく把握していない』というのがあります。
お客様に私道のことを訊くと「私道って個人が所有し管理している道でしょ」という回答が返ってきます。もちろんそれは正しいです。
 
しかし、「私道所有者から、○○承諾書を貰わないと△△ができなくなる」と伝えると、皆さん相当驚かれます。個人が所有している以上、その私道にその所有者の権利がありますから、無断で通行や道路掘削等をしたらマズいですよね。
これがトラブルまで発展すると、建築等に大きな影響を及ぼすのです。
 
今回は、相続を扱う専門家がおさえておきたい不動産売却時の私道に関するポイントを、実例をもとにお伝えいたします。
本記事をお読みいただくと、相続税納税など売却の期限がある不動産を、トラブルなく確実に売却したいときの参考になります。
 
本記事のポイントはこちら。

・家の前面道路が公道か私道かを判別するためには、自治体の建築指導課に訊くか、道路の登記簿謄本を取得すれば確認することができる
 
・私道持分には『共有型』と『分筆型(単独所有)』があり、分筆型は要注意
 
・建物の再建築等をしたいと考えたときに私道持分がない場合は、私道所有者から『通行掘削承諾書』を取得する必要がある
 
・相続発生後に実家をスムーズに売却するためには、親が元気なうちに通行掘削の承諾を取り付けておく

 
 

 私道のポイント

私道
 

相続等で不動産売却するときにおさえておきたい私道のポイント3つ
1、建物の建築ができる建築基準法上の道路か確認する
 
2、①私道の持分があるかを確認、②その持分が共有型か分筆型か確認する
 
3、私道の通行掘削承諾書の取得が売買取引条件になるか確認する

 
それぞれの項目について、以下に詳しく解説いたします。
 
1、建築基準法上の道路か否かについては、管轄の自治体の役所にある建築指導課で確認できます。
・役所の窓口案内の方に「道路の種別を確認したい」と伝えると案内してくれる。
・対象地の住所を担当員に伝えると、建築基準法上の道路かどうか教えてくれる。
 
2-①、持分があるかどうかは、以下の方法で確認できます。
・私道の登記簿謄本を取得。
・購入時の売買契約書を確認。
・不動産権利証(又は登記識別情報通知)を確認。
※後日、追加で私道を購入している場合もあるため、登記簿謄本の取得が一番確実です。
 
2-②、持分には共有型と分筆型があり、そのどちらなのかは法務局に備え付けられている公図を取得すれば確認できます。
 

 
共有型は、自宅から自分が所有する私道を通行できます。
分筆型は、自宅から他人が所有する私道をまたいで通行することになります。
 
3、売買の取引条件で私道の通行掘削承諾が必要となるのは“分筆型”です。
共有型:例えばAさんが売却するとき、自宅から通りまで自分の土地(私道共有)を通るので、原則として当該承諾を得ることを購入条件とされるケースは少ないです。
分筆型:例えばAさんが売却するとき、『B~Fの私道所有者から“私道通行掘削承諾”を取る』ことが買主からの購入条件とされるケースがほとんどです。
 
専門科の皆様は、この3つのポイントをおさえてください。
その上で、“私道トラブル”の怖さがさらに分かる実例をご紹介いたします。
 
 

 相続税申告期限ギリギリ!
 私道持分がない不動産の売却

売却
 

<ご相談者>
・Aさん 62歳
 
<ご相談内容(ご相談時期:2021年1月)>
・母が半年前(2020年7月)に亡くなり、相続税は実家を売却した代金で支払いたいので、売却をお願いしたい
 
<状況>
・相続人はAさんのみ(千葉県船橋市在住)
・実家は杉並区、土地は40坪/建物は木造で昭和52年築
・不動産関連の書類は、権利証のみで他の書類は一切ない
・相続税の申告期限は2021年5月(残り4ヶ月ほど)

 
ご依頼をいただき、さっそく不動産調査を進めていくと、ご実家の前面道路は私道であることが分かりました。
そして、2021年1月末に調査を終え、Aさんに調査結果と今後の段取りについてご報告しました。
 

調査結果
(1)前面道路は分筆型の私道であること
(2)実家から離れた飛び地にAさんの私道持分があること
(3)私道の通行掘削承諾書がないこと
(4)通行掘削承諾書を、私道所有者11名から取得する必要があること

 

私道と売買契約に関する今後の段取り
(1)売却活動開始
(2)売買契約締結
(3)私道の通行掘削承諾書を取得する

※土地の取引では、土地境界確定などの作業もありますが本記事では割愛します。
 
 
Aさんから、私道に関するご質問がありました。
 
①私道所有者からは必ず承諾を得ないといけないのか?
承諾を得なければなりません。
―その主たる理由―
建築工事では、“私道を通行、掘削する”作業が発生します。(工事車両の通行や、上下水道やガスなどの配管工事等)
もし、私道所有者に無断で建築工事を行うと、私道所有者から工事差し止めなどトラブルに発展する可能性があります。
トラブルを未然に防ぐため、私道の所有者に当該承諾を取り付けることが水道局や工事会社の条件になっています。
 
②承諾に費用は掛かるのか?
費用がかかると考えておいたほうがいいです。
―その主たる理由―
・他人の土地を通行するため。
・私道の維持管理のための労力やコストがかかっている。
・袋地など特定の人のみの通行の場合は宅地評価の30%相当の相続税評価額となる。(≒相続税が課税される) など
 
よく、道路なのだから当然無償だろうとおっしゃる方がいますが、私道にもいろいろな事情があるのです。
これまでの私の経験では、私道通行掘削承諾書への署名押印でおおむね10万円前後という金額であることが多いです。また、毎月の通行料の設定をされている私道もあります。
 
Aさんは、「たしかに、私道を管理するのは大変ですね」と、私道所有者に承諾を得ることが売買条件になることをご理解いただきました。
 
 
これらを踏まえて、Aさんに売却方法を提示いたしました。
相続税の申告期限まで時間がないことから、インターネットへ物件掲載し買主を探すという方法だといつ売却できるか不透明なため除外し、不動産買取会社(戸建て事業者)に対して、期間を決めた“入札”を行うことにしました。
 

売却方法
メリット
デメリット
承諾を取り付け売却する
承諾〇⇒価格減額されない
承諾×⇒売却不可又は価格減額
承諾は取らず売却する
確実に売却できる
価格減額(リスクを買主が負う)

 
相続税の申告期日までに確実に売却するためには、【当該承諾の取得を売買条件から外す】ことです。
 
つまり、購入後に買主(事業者)に、自らの責任と負担で承諾を取得してもらうのです。これであれば、承諾を得られないリスクは排除できます。
しかし、そのリスクを買主が負うことになりますから、価格はおよそ▲30%~▲50%ほど減額されます。
 
一方、【当該承諾の取得を売買条件にする】と、リスクを事業者が負う必要がなくなるため価格は減額されませんが、私道所有者11名のうち1名でも拒否され承諾を取得ができないと、売買が不成立となるリスクがあります。
 
これらの情報をお伝えした上でAさんが出した結論は、「両親が苦労して築いてきた財産ですから、できるだけ真っ当な価格で売却したいです。承諾を得られなかったときのリスクも承知の上で、承諾を取得して売却するということで進めてもらえませんか」というものでした。
 
Aさんの想いに応えるべく、所有者全員から承諾を得ること、そして相続税の申告期限までに売却を完了させることを目指してさっそく実行に移していきました。
 
 

 【売却活動 不動産買取会社の入札】

不動産買取会社(戸建て事業者)には、価格提示を2パターンで出していただくようにしました。
 
①売主(Aさん)が、決済時までに私道通行掘削承諾書を取得する場合の価格
②私道通行掘削承諾書の取得ができなかった場合の価格

 
承諾が取得できなかった場合を想定し、②のパターンも追加して価格検討していただくよう、活動をスタートしました。
 

 【私道所有者へのアプローチ】

Aさんと弊社にて、11人の私道所有者宅を個別に訪問。
 

Aさんの役割
・ご挨拶
・相続で売却するという理由を伝える

 

プロサーチの役割
・私道通行掘削承諾のお願いとその理由を説明
・売買やどのような建物が建築されるのかなどの質疑への回答
・当該承諾書の書面作成、締結のサポート

 
なお、アプローチする前に、私道所有者1名当たりの承諾料予算を10万円とする確認をAさんにしました。
 
 

 私道所有者へのアプローチの結果

署名
 
結果、承諾書は約1ヶ月で11名すべてから取得することができました。
 

私道所有者 A~Kさん(11名) 費用 理由
A~Iさん(9名) 要らない 昔からの知り合いだから
Jさん 10万円 やり取りに時間がかかるから
Kさん 10万円 懇意にしている不動産会社に対応を依頼するから

 
昔からの付き合いがある方は特に費用については考えていなかったようです。
また、費用を求められたJさんとKさんは、“対応のわずらわしさ”を理由に挙げていました。
 
売却活動も順調に進み、想定より少し高めで納得できる価格を提示してくれた買主さんと売買契約を締結し、無事に決済ができました。
 
不動産の売却と私道通行掘削承諾書の取得、そして相続税納税を、相続税の申告期限の2021年5月までにすべて完了させることができたのです。
 
Aさんはホッと胸を撫で下ろしていました。
「実家を売るのにこんなにも大変な思いをするとは思いませんでした。私道通行掘削承諾だってもっと早くから対応しておけば、期限ギリギリで売却できるかどうか分からないと不安になることなんてなかったですよね」
 
Aさんのおっしゃるとおり、例えば、親が元気なうちに私道通行掘削承諾書を取得できていたら、ここまで不安を感じることはなかったでしょう。
 
 

 遺産相続コンシェルジュより

 
本記事のポイントはこちら。

・家の前面道路が公道か私道かを判別するためには、自治体の建築指導課に訊くか、道路の登記簿謄本を取得すれば確認することができる
 
・私道持分には『共有型』と『分筆型(単独所有)』があり、分筆型は要注意
 
・建物の再建築等をしたいと考えたときに私道持分がない場合は、私道所有者から『通行掘削承諾書』を取得する必要がある
 
・相続発生後に実家をスムーズに売却するためには、親が元気なうちに通行掘削の承諾を取り付けておく

 


今回は、実例をもとに私道で起こり得る問題点と、トラブルにならないために確認すべきポイントをお伝えしました。
私道は普段生活をしているだけでは問題となることは少なく、売却や建て替えなど“不動産を動かすとき”に問題が顕在化します。
そのため、相続に関与する専門家として、『私道かどうかの確認などの不動産調査と、問題点の抽出。トラブル回避のための対策』ができるようお客様にアドバイスをすることが大切です。
 
一度トラブルが起こってしまった不動産を、喜んで買いたいという方は少ないでしょう。
お客様の大切な不動産を“負動産”にしないためにも、相続が絡む不動産問題は、相続と不動産に詳しい不動産会社へご相談することをおすすめいたします。
プロサーチでは、不動産相続の「現状把握」にも力を入れています。お気軽にお問い合わせください。(記:山内綾子)

 


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