「修繕費用がかさむ!」「空室が埋まらない!」 築古アパート経営に大切な4つのポイント

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「修繕費用がかさむ!」「空室が埋まらない!」 築古アパート経営に大切な4つのポイント写真

2020.7.21

 
築30年以上のアパートを保有するオーナーさんや、最近相続で親から引き継いだ方からご相談をいただくことがあります。
 
そこで今回は、『大規模修繕を行ったために、売る羽目になってしまった!』というお客様の事例をもとに、最近相談が増えている築古アパートの問題についてお伝えいたします。
 
 
今回の記事のポイントは下記のとおりです。 
 

・築古アパートオーナーの悩みTOP5(当社調べ)
 修繕が大変、管理が困難、空室率が増えた、相続はどうする?、建て替えるべき?
・事例:無計画な建物修繕工事で収支が悪化し、その結果アパートを売却しなければならなくなった
・アパート経営には4つのポイントがある
・そのなかでも特に築古アパートは『アパートの終わり方』を考えることが大切

 
この記事を読むことで、「築古アパートを安定して保有していくためにはどうしたらいいのか」がわかります。
 
 

築古アパートのお悩み相談TOP5

当社に寄せられるご相談は、
「売却だけではなくどのようにアパートを承継していくべきか」
「リフォームはしたほうがいいのか」
「キャッシュフローを改善するにはどうしたらいいのか?」
とさまざまです。
 
築古アパートのご相談において、お客様が抱えるお悩みのTOP5をご紹介いたします。
 

1位 とにかく修繕が大変。収入も減る一方だし、何とかならないのか?
2位 自分も高齢のため管理がだんだんと困難になってきた。入居者の対応も面倒だ。
3位 空室が増えたし入居者もすぐに決まらない。何か手段は無いのか?
4位 子どもにどう残せばいいのか?(そもそも残したほうがいいのか?) 
5位 だいぶ古いし、建替えをするべきか?それともこのままにしたほうがいいのか?

 
上記の悩みの主な要因は、
『やらなきゃいけない修繕がたくさん出てくる(給水管腐食、水漏れ、建具や設備の刷新…)』
『下がり続ける賃料と、増え続ける空室』です。

 
せっかく借入金を返済し終わり、やっと手取りが増えると期待していたのに、上記のような『お金の問題』がついて回り、思ったほどの収入が得られなかった…と、なかなかうまくいきません。
 
大きな問題が起こる前に、専門家に相談できていれば、安心してさまざまな判断ができます。
しかし、誰かに任せっきりだったり、適切なアドバイスをしてくれる人が周りにいなかったりしたら…。どんなことが起きるのか、事例をみていきましょう。
  

良かれと思ったリフォームが招いた落とし穴

税理士さんから不動産を売却したいというお客様をご紹介いただきました。不動産調査や査定、売却手法などを組み立てて、いざお話を聞くことに。
 

ご相談者のAさん
・一昨年、父からアパート(1DKが9戸)などの財産を相続により引き継いだ
・生前、父からはアパートについての詳細を何も聞かされていないし、聞くこともなかった
・アパートは築31年、駅から徒歩15分(父60歳のとき竣工)
・Aさんは経営者でお忙しく、アパート管理は大手管理会社に任せっきり
・アパートに関する資料(竣工図や修繕履歴など)はほとんど残っていない。など

 
当社が必ず聞く確認事項の一つである「なぜ売却するのか?」とお伺いしたところ、Aさんは少し気まずそうに『実は、去年幾つかの部屋のリフォームをしたのですが、その借入金の返済が重くて、結局手放したほうがいいという結論に至ったんです』とのことでした。 
 
話を掘り下げていくと、管理会社の担当から「築古アパートは何か手を打たなければなかなか空室は埋まらないから、早急に対策をしましょう」と次の提案をされたと言います。
 

・空室5戸が早期に埋まるように、居室内の設備などの交換やリフォームをするべき
・リフォーム費用は5戸総額で20,000,000円
 
Aさんはアパート経営には詳しくないため管理会社を信じ提案のまま実行したそうです。
 
しかし、その肝心の対策結果について伺うと残念ながら期待した効果はなく、さらに2戸解約が発生し、収入は一層減ってしまったのです。そして、その空室にもリフォーム費用が掛かるということから気が滅入ってしまい、これ以上アパート経営を続けることはやめようと、売却を決断されました。
 
どうやら、リフォームは差別化を図るものでもなく、収支計算や戦略もなかったようでした。つまりただ部屋を綺麗にしただけです。
 
このように聞くと「管理会社は何をやっているんだ!」「ちゃんと考えないからだよ、なんでそんなリフォームをしたんだ」などと言いたくなりますよね。ただし、管理会社も様々いますが、あくまでも決断したのはアパートの経営者であるAさんです。
 

アパート経営で大切な4つのポイント

Aさんはアパートについてどのように考えれば良かったのでしょうか。
 

①人任せにせず、アパート事業を経営していることを意識すること
 (その経営を取引先など第三者にまかせないですよね)
 
②アパートを今後どのように保有するかなどを明確にし、「ゴールを見据えた計画」を立てること
 (あと10年、20年後は売却?建替え?子どもにどのような状態で残すかなど)
 
③短期、中期的なキャッシュフロー向上、改善の計画を立てること
 (管理費等コストの見直し、マーケットで勝つために分析、その施策)
 
④適切なアドバイスをしてくれる不動産プロをアドバイザーにつけること
 (不動産管理会社だけでなくセカンドオピニオンを置くことも大切)

 
アパート経営成功には4つポイントがありますが、今回のテーマである築古アパートであれば、②「アパートを今後どのように保有するかなどを明確にし、「終わり(ゴール)を見据えた計画」を立てて実行していくことが特に大事です。
 
アパートは、必ずどこかのタイミングで大規模修繕や建替えをしたり、売却をしたりします。
保有し続けるにしても様々な課題に直面することは分かっていますから、修繕などに必要なお金の資金繰りなど予め準備さえできていれば、アパートの安定経営が継続できます。
 
もし売却することが決まっているのであれば、

「収益物件として高く売れるようにする⇒賃料を上げる、支出を抑えるなどをしてキャッシュフローを上げる」
「立退きさせて更地売却する⇒立退きのための予算確保や、入居者の入れ替えの度に定期借家契約にする」

などをすることで同じ築古アパートであっても価格が上がったり、支出が減り手取りが増えたりするなどの差がつきます。
 

話を事例に戻しますが、Aさんが売却することを決めてしまう前に、もしくはご両親が生前の時にお話を聞けていたならばどうなっていたでしょう。
 
『この築古アパートについて、どのような終わり方を考えていますか?』と質問することで、日々直面している問題(苦情対応など)から、先々のことを考えるようになれますから、効果の薄い多額の投資をしなくて済んだでしょうし、そもそも売る時期が計画できていたらリフォーム費用を捻出することもなかったでしょう。
 
このようにアパートの終わり方(出口戦略といいます)を決めることはアパート経営でとても大切なのです。事例のAさんにもっと早くお会いできていれば違った結果もあったのではないかと考えてしまいます。
 
 

まとめ

・築古アパートオーナーの悩みTOP5(当社調べ)
 修繕が大変、管理が困難、空室率が増えた、相続はどうする?、建て替えるべき?
・事例:無計画な建物修繕工事で収支が悪化し、その結果アパートを売却しなければならなくなった
・アパート経営には4つのポイントがある
・そのなかでも特に築古アパートは『アパートの終わり方』を考えることが大切

 
 
大切な資産の一つであるアパートを守るには、「今後どう持ち続ければ良いか分からない」「この対策をしても良いのだろうか」という不安や悩みをそのままにせず、何をどのような形で持ち続けていきたいのか、現在~将来のために何をするべきなのかを、ご自身が納得いく決断が出来るように、アパート管理会社や弊社プロサーチのようなセカンドオピニオンを活用して検討していくことも大切でしょう。
 
 

この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

不動産賃貸管理会社に5年間勤め、2008年にプロサーチ株式会社へ入社。
2017年より同社代表取締役就任。
不動産業界ではいち早く家族信託®を取り入れた提案を実践しており、証券会社や生命保険会社、不動産会社などへの不動産相続に関する研修会や、プロやお客様向けのセミナー講師もおこなう。
借地や底地、生産緑地などの不動産対策、CF改善、家族信託、相続対策など幅広いジャンルに精通している。これまで5,000人以上の悩みや不安を解決し、「話をじっくり聴く」「お客様のありたい姿を引き出す」という提案ありきではない姿勢に定評があり、特定の商品に誘導しない公平なアドバイスも、お客様だけではなく、同業や士業、生命保険営業の専門家からも喜ばれている。

 

 

 

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