不動産の媒介契約とは?相続した不動産を売るときに最適な契約方法をプロが伝授!

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不動産の媒介契約とは?相続した不動産を売るときに最適な契約方法をプロが伝授!写真

2021.6.22

 
 
相続した実家やアパートなどを売却するとき、一般的には買い手を見つけてもらうために不動産会社に仲介を依頼しますよね。
  
売買の仲介を依頼するときは、3つの「媒介契約」から一つを選び、不動産会社と媒介契約を締結してから売却活動がスタートします。
 
その3つとは、(1)一般媒介(2)専任媒介(3)専属専任媒介です。
 
不動産を売却する事情や、売却期限の有無などによってどれを選択したほうがいいのかが変わってきます。
 
本記事では、老人ホーム費用捻出や相続税納税のために実家を売却するときに、自分に合った媒介の種類を選ぶためのポイントをお伝えします。今後不動産を売却するときに、間違えた選択をしたくないという方はぜひ読み進めてください。
 
 
今回のポイントは以下の通りです。
 
 

・不動産業者は報酬を得る可能性を高めるために、一般媒介ではなく専任媒介・専属専任媒介を勧めてくる傾向にある。
 
・売却活動を隣地や親族等に知られたくない場合は、一般媒介契約を選び、売買活動を公にしないよう不動産業者に依頼する。
 
・一般媒介契約では他に不動産業者が競合でいることを通知する義務がある「明示型」と、そうでない「非明示型」がある。精力的に売却活動を行ってもらいたい場合は「明示型」がおすすめ。
 
・売却目的に期限がある場合は、(1)価格を相場より安価に設定する (2)一般媒介契約を結び、買取業者からの入札を募る、の2つの方法から選択する。

 
 

3つの媒介契約

契約書にサインする男性
 
不動産の売却を不動産会社に依頼する際に締結する媒介契約には3つ種類があります。
 

(1)一般媒介契約
(2)専任媒介契約
(3)専属専任媒介契約

 
まずは3種類の媒介契約について、最低限抑えておきたい基本的なポイントをお伝えします。ここはしっかりと抑えておきましょう。
 
 

種類
レインズ掲載(※1)
依頼する不動産会社
自分で見つけた買主(※2)
一般
任意
複数社可
専任
義務
1社のみ
専属専任
義務
1社のみ
不可

 

※「レインズ」:不動産業者専用の不動産情報流通サイトです。
※「自分で見つけた買主」:「可」は不動産仲介会社を介さず、自分で買主を見つけて取引できます。「不可」は不動産仲介会社を介しての取引が条件となります。
 
 
一般媒介は複数社に競わせて仲介を依頼できますが、専任や専属専任媒介(以下、「専任等」といいます。)は1社のみにしか依頼できません。
 

そのため、専任等はレインズへの登録や、売却活動について定期報告も義務付けられており、一般媒介より不動産会社が果たすべき約束事が多いのが特徴です。
 
 

自分の希望にあった契約の選び方

 

専任媒介・専任専属媒介で1社に依頼したほうがいいのか、一般媒介で複数社に依頼したほうがいいのか、悩みますよね。
 
インターネットで「不動産売却 媒介」と検索すると、様々な良し悪しポイントを知ることができますが、「不動産会社の視点」で“専任等が良い”という感じに語られていることがほとんどです。
 
 
たとえばこんな感じです。
 
「専任等は契約を結べるのが1社のみなので、任された不動産会社は精力的に活動する」
「一般媒介と比較して専任等は早期売却が期待できる」

 
 
不動産会社からしたら、専任等で受注すれば複数社での競合をすることなく、自社単独で売却手続きを進めることができ、報酬を受けられる可能性が高くなりますから、一般媒介ではなく専任等を勧めてくるのは営業活動として当然かもしれません。
 
実際、専任等であれば力が入るのは確かでしょう。
 
しかし、不動産業者ではなく自分自身の希望にあった契約方法を選びたいですよね。

 
そこで、みなさん目線での媒介契約の選び方のポイントを紹介していきます。

 
下の表は、不動産会社の視点ではなく、お客様自身の目線で考えたときの選択ポイントです。
これは過去の経験からのものですから、参考程度にしてください。
 

媒介種類
面倒なやりとり
売却活動を秘密にしたい
売却期限がある
一般(複数社へ依頼)
あり
できる
一般(1社のみ)
なし
できる
専任
なし
できない
×
専属専任
なし
できない
×

 
 

 売却活動を隣地や親族に知られたくない場合

この場合は、一般媒介の一択でしょう。
 
理由は、レインズに登録しないからです。売買活動を公にしないため、水面下で活動を進めることができます。
 
専任等はレインズに掲載しますから、不動産業者しか閲覧できないポータルサイトだとしても、その物件情報を不動産業者が「不動産を買いたい人」に紹介するため、多くの不動産業者がその不動産情報を知ることになります。なので例えば、スーツ着た営業マンが視察や写真撮影に来たりして周辺の方に気付かれる、ということも考えられます。
 

 いろいろな不動産営業マンからの連絡や面倒なやり取りを避けたい場合

この場合は、専任等が良いでしょう。1社のみに依頼しますから、その担当者からの連絡しかありません。
 
一般媒介で複数社に依頼すると、「○○万円に値段改定してください」とか、「内見手配を●月○日にお願いします」などと、依頼した複数の担当者達から連絡がきます。
 

 面倒なやり取りも売却活動を知られるのも避けたい場合

面倒なやり取りせず、売却活動を知られたくない。でも売却活動は積極的にしてほしい。
このときは、一般媒介で明示型がよいでしょう。
 
明示型の一般媒介契約とは、重ねて他社にも媒介依頼する場合に、どの不動産会社に依頼しているのかを知らせて一般媒介契約をする方法です。
 
非明示型の一般媒介契約の場合には、どの不動産会社に対して依頼したのかを通知する義務はありません。不動産会社からみると他にもライバルの不動産会社が多数いるかどうかわからないという状況で売却活動をすすめていかなくてはいけない状況になり、報酬が入らない可能性があります。そのため、精力的にな売却活動を進めてもらえない可能性があります。
 
非明示型では、不動産会社は本当に自社1社だけなのか分からないので、精力的に活動してもらいたいときは、明示型が良いでしょう。
 
明示型であれば他にも不動産会社に依頼した場合には通知をする義務があるため、他に競合他社がはいっているかわかります。一般媒介でも1社のみに依頼してレインズ登録なしですから、希望が叶いますね。

 

 期限がある売却の場合

売却目的に期限がある場合は、売却方法に沿った媒介種類の選び方があります。
 
・年内には老人ホームに入所するための資金を捻出。
・相続税納税資金の捻出(相続発生日の翌日から10ヶ月以内)
 
このような場合、売却活動はするけど『いつ売れるか分からない』では困ってしまいます。
確実に売却できなければならないのです。
 
売却方法は2つあります。
1つ目は、周辺相場より相当安く価格設定
2つ目は、一定期間を設けて入札

ということです。

 

1.周辺相場より相当安く価格設定をする

売却活動において、相場価格では競合物件もありますから「○月までに確実に売れる」とは言えません。相場価格より下回らないとすぐには買い手がつかないでしょう。
 
しかし、下回った価格の設定が難しいですし、その値段設定を間違えたらこの方法でも○月までに確実に売れるとまでは言い切れません。
 
この時の媒介種類は、インターネットに物件掲載しての売却活動となるでしょうから、専任等がよいでしょう。もし売却活動自体を秘密にしたい場合は前述した方法を採ってください。
 

2. 一定期間を設けて入札を募る

不動産買取事業者(買主候補)を対象とした売却活動です。

 
まず売主側の媒介業者が買取事業者へ声をかけて回り、買主候補者を集めます。そして一定期間、買取価格を検討してもらい入札し、一番良い条件提示した先へ売却するという流れです。
○月までにという期日内に確実に売却できるでしょう。
これまで幾度となくこの方法で活動しましたが、すべて売却期限内に売却できています。
 

この時の媒介種類は、一般媒介の一択です。
 
理由は、レインズに掲載せず限られた業者にのみ情報を開示するためです。入札に参加する事業者は、非公開物件だから真剣に検討してくれます。専任等は掲載が義務ですから選択肢から除かれます。
 
また、複数ではなく1社(多くても2社)に入札をお願いすることがよいでしょう。
応札する事業者が増えると、情報統制が難しくなる、買える可能性が低くなり真剣に検討しないなど、折角の入札メリット(真剣検討)が薄れてしまいます。
 
 
インターネット上では一般媒介を勧めるところは少ないのですが、不動産の媒介形態は、売却目的やその期限などの視点からも考える必要があります。
 
 

まとめ

 
今回のポイント
 

・不動産業者は報酬を得る可能性を高めるために、一般媒介ではなく専任媒介・専属専任媒介を勧めてくる傾向にある。
 
・売却活動を隣地や親族等に知られたくない場合は、一般媒介契約を選び、売買活動を公にしないよう不動産業者に依頼する。
 
・一般媒介契約では他に不動産業者が競合でいることを通知する義務がある「明示型」と「非明示型」がある。精力的に売却活動を行ってもらいたい場合は「明示型」がおすすめ。
 
・売却目的に期限がある場合は、(1)価格を相場より安価に設定する (2)一般媒介契約を結び、買取業者からの入札を募る、の2つの方法から選択する。

 
 

一般的には、不動産の売却は人生でそう何度も経験することがないと思います。だからこそ、失敗しないように進めていきたいですよね。本記事でお伝えした内容はとても大切ですから、売却を考えたときに思い出し参考にしてください。
 
また、売却目的に沿った媒介のことや、自分に合ったものを教えて欲しいということがありましたら、相続や不動産売買に詳しい不動産会社か弊社までご相談ください。
 
 

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この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

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