親から家族信託で不動産管理を託された方必見!信託された不動産を安心・確実に売却する3つのポイント

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親から家族信託で不動産管理を託された方必見!信託された不動産を安心・確実に売却する3つのポイント写真

2020.10.6

 

家族信託とは「親名義の資産について管理等の方法を指定し、子どもに託すことによって、認知症になっても託された子どもが資産を管理できる仕組み」です。
 
昔と比べ、今では「家族信託」が新聞やTVなどでよく取り上げられるようになり、世の中に広がり始めたことを実感しています。
これからは、親から託された財産を実際どのように管理や処分をしていけばよいのかというお悩みを抱える方が増えてくるでしょう。
 
そこで本記事では、家族信託された不動産の売却を安心・確実に進めるための3つのポイントを事例といっしょにご紹介します。
 
本記事を読むことで、「家族信託したが、不動産の売却ができず困った」という状況を回避することができます。
 
 

 

本記事のポイントはこちら。
 

・家族信託された不動産を安心・確実に売却する3つのポイント
 
・家族信託された実家やアパートなどを売却する時に相談すべき不動産会社の特徴
 
・「売却できない」ケースはどのようなとき?知ることで売却不可を回避!

 
 

「家族信託」は不動産会社も苦手

 

 
先日こんなご相談をいただきました。
 
ご相談者Tさんが家族信託をしている親の不動産を売却しようと思い、不動産会社に売却の相談に行きました。
 
その不動産会社の営業の方へ家族信託登記をされた不動産登記簿を見せた瞬間、「うちでは信託された不動産の取扱はできません。」と一言。
 
Tさんは

不動産の売却だから相談先は不動産会社ではないのか?信託された不動産は売れないのか?

と不安になり、しかしどこに相談すればよいのかわからず、家族信託契約をお願いした司法書士に相談され、そこで弊社をご紹介いただきました。
 

Tさん:家族信託された不動産(実家やアパートなど)の売却は可能?

もちろんできます。
 

Tさん:不動産会社には『家族信託された不動産』は扱えないと言われたが?

これは単純に家族信託を知らず、知らないからできないだけだと思います。宅地建物取引業の免許があればどの不動産会社も取り扱いできます。
 

Tさん:では、家族信託された不動産と、そうではない不動産とでなにが違うの?

まず、売主が違います。家族信託は息子さん(受託者)ですが、そうではない不動産は親御さん(所有者)です。家族信託では息子さんが売る判断をして手続きも行います。仮に親御さんが認知症でも息子さんで手続きが進められる、ということです。
 

 

Tさん:不動産会社ならどこに相談しても一緒ですか?

売買取引の手続きができるという点では一緒です。ただし、家族信託の税務や法律の面、家族信託契約書の条文を理解していないと的確なアドバイスを受けられません。
家族信託する(された)不動産の売買や賃貸、有効活用などを検討される方は、「家族信託の実務経験がある不動産会社」に相談されることをご推奨します。

 
Tさんは、不動産の売却ができることが分かり安心されていました。
 
不動産のプロでさえ、家族信託自体を知らなかったり、知っていても『信託は関係ない』『分からない事には触れない』と考えたりする不動産会社はまだまだ多く存在しています。
 
不動産会社が『家族信託された不動産』を扱うためには、家族信託の不動産取引に影響する実務・税務・法律を知っていないと、お客様に対して適切な説明やアドバイスをすることは出来ません。
 
ご相談される際は、まず、その不動産会社等の担当者へ「家族信託について精通しているか、実務経験はあるか?」と聞いてみてください。経験や知識も無く、詳しい専門家の紹介もない場合は、ご相談先を変えたほうが良いでしょう。
 
 

家族信託は将来のイメージが大切

 


 

家族信託された不動産の売却は可能とお伝えしましたが、『売却できないケース』があります。
 
 
1.家族信託契約の条項に“売買できる”という項目がない
2.受託者のお目付け役(≒監督人等)の承諾が得られない

 
 
まず「1.家族信託契約条項に売買できる項目がない」場合は、受託者は信託法上は信託した不動産の管理処分権限はあるものの、実際に不動産を売却時に契約書から売却権限があることが明確に表記されていないため取引を拒まれる可能性があります。
 
 
次に「2.お目付け役の承諾が得られない」場合とは、例えば、家族信託契約で、『受託者:長男』『監督人:長女(≒お目付け役)』とし、「監督人の同意がなければ信託不動産を売却できない」という条項を設けた場合、長男は長女の承諾を得ないと不動産売却することができなくなります。
このことを受託者の暴走の防止策とも呼んでいます。
 
 
しかし、家族信託契約を結んだ当時は「売却しない」と思っていても、状況や気持ちが変わり、“やっぱり売却したい!”ということもあると思います。
 
その場合には、例えば次のような方法(一例)であれば売買が可能となります。
 
 
1.家族信託契約書の条項を「売買できる」ように変更する。
 
 
2.当事者間の合意解約により、一旦信託を終了させる。 

→2は自らの意思(本ケースでは信託契約前の所有者=委託者)で不動産を売却する方です。
 

※どちらも、本来の不動産所有者ご本人の意思確認ができることが大前提です。
※すでに所有者本人に意思判断能力がない場合は、信託終了事由が発生するまでは売買はできません。
 
 
 
費用や時間をかけて作り込んだ家族信託契約。
所有者(親)の意思判断能力があるときは上記のようにまだ色々と手を打てるので大丈夫ですが、意思判断能力が喪失していると手遅れです。
 
そのようにならないために、
・親の老後の生活 →生活資金、生活するところは家?施設?
・子の資産承継の仕方 →この資産は処分しておきたい
などをよく考えて、「こうしておけばよかった!」とならないようにしましょう。
 

まとめ

・家族信託された不動産安心・確実に売却する3つのポイント
 
・家族信託された実家やアパートなどを売却する時に相談すべき不動産会社の特徴
 
・「売却できない」ケースはどのようなとき?知ることで売却不可を回避!

 
ここまでお伝えしたことから、家族信託された不動産の売却を安心・確実に進めるためのポイントを3つにまとめると・・・
 

1)家族信託契約で、「売買できる」と条項となっているかどうか
 
2)監督人などの売却の承諾が必要となる方や家族と「売却に際しての承諾、売却条件や買主属性など進め方の基準」が取り決められているかどうか
 
3)売却の相談先は家族信託での取引を知っている不動産会社かどうか


 
今回のテーマは『家族信託された不動産の売却』でした。
 
家族信託をしてもどこの不動産会社も取り扱ってくれないようであれば、お客様の要望が叶わず何のために信託をしたのか分からなくなってしまいます。
 
家族信託を検討したい、すでに家族信託をしているが資産の管理や処分の方法など聞きたいという方は、「家族信託」の知識や正確な情報、実務もできるプロに相談することが大切です。
 
 

この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 


 

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