相続対策の相談は誰にする?相談先と報酬相場の判断材料を詳しく解説

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2021.9.14

 
 
『遺言書を書きたい』『相続税がかかるか知りたい』『財産を少しでも多くのこしてあげたい』など、相続に関連するご相談は多岐にわたります。
 
「相続の相談は○○(会社名)まで!」という、税理士や司法書士、不動産会社等の広告を皆さんもよく見かけませんか?
 
「相続の相談」と一言でいっても、遺言や相続税、不動産などの資産と様々ありますから、どこまで相談できるのか分かりにくいですよね。
 
相続について相談したいことがあったときに、どの専門家に相談したらよいのか?と悩まなくて済むように、本記事で詳しく解説をしていきます。
 
 
今回のポイントは以下の通りです。
 

・相続税など税金の相談は税理士、相続登記や家族信託契約などの相談は司法書士、アパートなど不動産の相続対策を検討するなら相続専門の不動産会社へ相談する。
 
・相続対策を何から始めればよいか分からないときは、相続コンサルタントに相談。家族や資産構成などの情報から、どんなことが問題となりそうか、問題の解決方法などを聞ける。
 
・税理士や司法書士等の士業にも専門分野があるので、相続について相談する場合は相続の専門家に相談しなければ、家族間の分裂につながる可能性もある。

 
 

 相続について困ったときの相談先と報酬相場


 
まず相続の相談内容ごとの専門家についてお伝えします。
 
相談によっては、税理士などの有資格者でなければ対応できないものや、資格の有無にかかわらず対応できるものがあります。
 
 

 相続税など税金の相談は税理士

遺産を相続すると相続税がかかる場合とかからない場合がありますが、相続税の申告や納税が必要であれば、税理士に相談することになります。
 
税理士には相続税の申告書の作成や提出を代行する権限があり、一般の人には難しい申告書の作成を任せられる点がメリットです。
 
税理士に相続税申告迄含めた依頼をした場合の費用は、遺産額の0.5%〜1.0%が目安です。
 
遺産額が大きければ、その分だけ財産の評価や相続税の計算にかかる手間が増えるので、遺産額が大きくなるほど手数料も一般的に高くなります。
 
 

 相続登記や家族信託契約などの相談は司法書士

遺産に土地や建物などの不動産が含まれる場合、不動産の名義を亡くなった方から相続する方に変更するための相続登記を行います。
 
登記の手続きに必要な書類を揃えることで、自分で手続きを行うことも可能ですが、法務局で行う手続きに慣れていない方も多いため、相続登記は司法書士に依頼するのが一般的です。
 
司法書士は登記を代行する権限を持つ士業で、税理士や行政書士では登記の代行はできません。
 
相続に強い司法書士であれば不動産相続の実務経験が豊富なことが多く、不動産を相続するか相続放棄をするかの検討や相続した不動産の活用方法の検討など、土地や家の相続に関するさまざまな相談や依頼ができます。
 
また、相続登記は不動産の所在地を管轄する法務局で行う必要があり、実家の土地や家を相続する方が遠方に住んでいるとその法務局に行くのに手間も時間もかかりますが、司法書士に手続きを代行してもらえばそのような手間は一切かかりません。
 
戸籍謄本などの必要書類の収集から登記の手続きまですべて任せれば、手続きの負担を軽減できる点がメリットです。
 
相続相談する場合の費用は司法書士事務所ごとに異なりますが、例えば相続登記であれば一般的に代行手数料として6〜8万円程度かかり、その他に登録免許税や必要書類の取得費用などがかかります。
 
 

 アパートなど不動産の相続対策を検討するなら相続専門の不動産会社

相続税や遺産分割といった相続対策の一環で、所有している土地にアパートを建築したり、不動産を売却したり購入することがあります。
 
アパートを建築するならハウスメーカー等の建築会社、不動産を売買するときは不動産仲介会社に相談することが一般的です。
 
不動産で相続対策をする場合は、『アパートを建築して相続税は下がったが、アパートを巡って相続人同士が遺産分割で揉めないか』、『不動産を購入したが、現預金が減ってしまい、相続税の納税に相続人が困らないか』などを考えたうえで実行することが重要です。
 
相続専門の不動産会社は、遺産分割・相続税の納税などへの影響を分析しながら、お客様にとってより良い不動産相続対策を提案してくれます。
 
相続専門の不動産会社への相談報酬は、不動産の数や依頼内容によっても異なりますが、不動産相続対策の立案の依頼であれば30万円~50万円くらいが相場です。不動産の数が増えれば、その分報酬額が高くなります。
 
 

このように、どのようなことを相談したいかによって相談先は変わります。
相続の相談については、相続に精通した専門家に相談することをお勧めします。
 
 
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 総合的なアドバイスを求めるなら相続コンサルタント

 
具体的にどのようなことを相談したらいいのか分からないという場合は、相続の相談をまんべんなく対応できる相続コンサルタントに相談することがよいでしょう。
 
相続コンサルタントは、相続に関連する法律、税金、不動産等の資産について、一般的な知識を備えています。相談することで、家族や資産構成などの情報から、どのようなことが問題となりそうか、問題の解決方法などを教えてくれます。
 
相続税の申告が必要であれば税理士、遺言書や相続登記が必要なら司法書士、不動産対策なら不動産会社、それぞれ相続に精通した専門家を紹介したり、窓口としての役割も担ってくれます。
 
相続コンサルタント業のみをしている方もいますし、相続専門の不動産会社や税理士、司法書士等の会社内に相続コンサルタントの役割を担っている方がいるケースもあります。
 
相続対策と言っても何から始めたらいいのか分からないときは、相続コンサルタントに相談し、法律や税金、資産内容などから総合的なアドバイスを求めるのもいいかもしれません。
 

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 相続相談の失敗事例

悩み
 
相続対策の一つに、遺言書があります。
 
特定の人にちゃんと資産を残せる遺言書の役割は大きいですから、相続対策を考えたことがある方はきっと一度は「遺言書を残そうかな」と思ったことがあるでしょう。
 
ここからは、遺言書をのこしたのにそれがきっかけで「争族」になってしまった例を紹介します。
 
 

相談者:Aさん(83歳女性)
相続人:子ども3人
内 容:「自宅と現預金300万円を長男、次男に現預金500万円、長女に現預金500万円」という遺言を残したい。

 
Aさんは自宅から近いという理由から、相続が専門ではない司法書士事務所を訪れ、司法書士Bさんに遺言書を残したいから手伝って欲しいと相談しました。そして、Aさんは遺産の内容を伝え、司法書士Bさんに遺言書を作ってもらいました。
 
その後、Aさんはお亡くなりになり、相続が発生しました。
 
遺言書を開いた子どもたちはその内容に納得できず、遺産をめぐって争いに発展してしまいました。
 
さて、なぜ遺産争いになったのでしょうか。
 
次男と長女は、『なぜ長男に財産の多く遺すのか納得できない。介護だって長女を中心に皆で看てきたはずだ』といい、長男は『母の思いだから遺言とおりに進めたい』と平行線のままでした。
 
そして、次男と長女が弁護士に相談したところ、なんと実家が5,000万円も価値があることがわかったのです。
 
つまりAさんの遺産総額は、不動産5,000万円と現預金1,300万円の合計6,300万円。
 


 

次男と長女の法定相続分は各2,100万円ですが、遺言では500万円ずつとかなり少ないですね。民法では救済措置として、法定相続分の50%は最低限相続できるようにしようとあります。つまり、2,100万円の50%=1,050万円ですね。
 
次男と長女は遺言で500万円もらうことになっていますが、1,050万円には550万円不足していますから、その不足分を長男に請求することができます。これを遺留分侵害額請求権といいます。
 
請求されると2人合わせて1,100万円(550万円×2人)を長男は、現預金にて支払うことになります。
 
さて、長男は2人に支払う現預金がありますでしょうか?相続したのは現預金300万円です。もし現預金がなければ、用立てするほかありません。
 
相続した実家を手放して支払うということも……
もし、実家を売却して精算したとしたら、Aさんの相続で残ったのは、“遺恨”だけです。
 
Aさんは良かれと思って遺言を残したはずなのに、このような結果を招くことになりました。どうしていたら防げたのでしょうか。
 

 相続に詳しい司法書士等に相談すべきだった

司法書士Bさんはお客様が言うとおりに遺言書を作っただけです。もし、「遺留分を侵害しているから争いになるかもしれない」と一言伝えられていたらどうなっていたでしょうか。相続に詳しい専門家であれば多くの方が気付きますし、遺言書作成では必ず留意しています。
 

 遺留分侵害対策を講じておくべきだった

長男は遺留分侵害額として1,100万円を、実家を売却して現預金を次男と長女に渡すことになりました。相続に詳しい専門家であれば、対策の一つとして遺留分侵害額(1,100万円)を生命保険金でカバーする提案をしていたかもしれません。
 
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相続の相談をするときには、資格者であっても、相続に詳しいかどうか、相続対策の経験はどの程度あるのかを尋ねることや、ホームページなどで調べておくことは必要でしょう。
 
 

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 まとめ

 
今回のポイント
 

・相続税など税金の相談は税理士、相続登記や家族信託契約などの相談は司法書士、アパートなど不動産の相続対策を検討するなら相続専門の不動産会社へ相談する。
 
・相続対策を何から始めればよいか分からないときは、相続コンサルタントに相談。家族や資産構成などの情報から、どんなことが問題となりそうか、問題の解決方法などを聞ける。
 
・税理士や司法書士等の士業にも専門分野があるので、相続について相談する場合は相続の専門家に相談しなければ、家族間の分裂につながる可能性もある。

 
相続対策では、税理士、司法書士(登記)、土地家屋調査士(測量・分筆)、金融機関、保険コンサルタント、ファイナンシャルプランナーなど多くの信頼できる専門家との連携が欠かせません。
 
プロサーチでは、お客様の性格や考え方なども考慮し、お客様が心から安心して付き合うことのできる専門家をセレクトして、チーム編成をしていくことを心がけています。誰に相談したらいいか困った時には、一度ご相談してください。
 
 

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この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

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