相続3年以内の贈与、不動産相続税対策が無効に?!今から相続対策を始めるべき3つの理由

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相続3年以内の贈与、不動産相続税対策が無効に?!今から相続対策を始めるべき3つの理由写真

2021.10.26

 
 
相続セミナーや新聞などで「相続対策は早めにした方がいい」と聞いたことはありませんか。
 
なぜ税理士や相続コンサルタントなどの相続の専門家が口をそろえて「対策するなら早い方がいい」というのでしょうか。
 
その理由は、早めに相続対策をしなかったばかりに、あなたの大切な資産が減ってしまう可能性があるからです。
 
不動産や生命保険などの「相続税節税に効果のある商品」はたくさんありますが、それらの商品も効果を発揮しないかもしれないのです。
 
そこで本記事では、相続対策を早く進めた方がいい3つの理由をお伝えします。
 
 
今回のポイントは以下の通りです。
 

・早めに相続対策をすべき理由(1)3年以内ルールによって相続対策が無効になる(2)資産を多くのこすことができる(3)親の体調が悪化するとできなくなる対策がある
 
・3年以内ルールとは、相続発生日からさかのぼって3年以内の相続対策はなかったことになる相続税法上の決まりのこと。生前贈与、貸付用小規模宅地の特例、自社株の評価などに適応される。
 
・不動産の売却や購入による資産組み換えの相続対策は節税に効果があるが、時間がかかる。その間に親の体調に変化があると、対策がとん挫してしまう可能性もある。
 
・認知症などによって親の意思判断能力がなくなってしまうと、親名義の財産を動かすことができなくなる。それを防ぐために元気なうちから「家族信託」を検討しておく必要がある。

 
 

 相続開始前3年以内ルール

ルール
 
早めに相続対策を始めたほうがよい理由の1つめは、通称「3年以内ルール」によって相続税対策が無効になってしまうからです。
 
「3年以内ルール」とは、相続発生日からさかのぼって3年以内の対策はなかったことにする相続税法上の決まりのことです。
 
では「代表的な相続対策」の中から、この3年以内ルールが適応される3つの対策についてみていきましょう。

 
 

 生前贈与

たとえばあなたが子に現金や不動産などを贈与したとします。
 
しかし、贈与をしてから3年以内に亡くなってしまうと、その贈与した資産は相続税の計算対象となってしまいます。
 
贈与税より相続税のほうが税率は低いですが、計画を立てて贈与することにより、相続した場合より節税できることもあります。贈与か相続か、選択できるように早めに検討することが大事です。
 
なお、相続や遺贈を受ける人に対して、生前贈与の3年以内ルールが適用されますので、相続人以外の孫や子の配偶者への生前贈与は3年以内ルールに該当しません。
 
 

 貸付用小規模宅地の特例

アパートや月極駐車場等の土地は、相続税評価額を200㎡まで50%下げられます。
 
例えば、アパートが建っている土地で、土地面積200㎡で相続税評価額が1億円のとき、この特例を使うと50%オフになりますから、1億円を5,000万円で評価することができます。
 
もし、相続税率が30%であれば、評価が下がった5,000万円×相続税率30%=1,500万円も相続税を安くすることができます。
 
この特例のことを、貸付用小規模宅地の特例と呼びます。
 
平成30年4月1日以降、この特例にも3年以内ルールが設けられました。
 
この3年以内ルールは、相続発生日からさかのぼって3年以内に新たに賃貸不動産を購入したら、その賃貸不動産には貸付用小規模宅地の特例を使えないというものです。
 
駆け込み的な相続税対策にSTOPが入った形です。これから不動産を購入して相続税対策を考える方は要注意です。
 
 
賃貸不動産業を事業としておこなっている場合で3年経過している場合には、新たに賃貸不動産を購入した場合でもこの特例を使うことができます。
 
ポイントは、亡くなる前から賃貸不動産事業を3年以上営んでいたかどうかです。既に3年以上不動産賃貸事業を行っていれば、相続税対策目的だけで相続開始後3年以内に物件購入をしたわけではない可能性もあり、3年以内ルールの適用はありません。
 
なお、賃貸不動産業として認められる事業的規模は、アパートやマンションを5棟持っている。10室以上持っている、駐車場50台以上が目安と言われています。この事業的規模の判断は必ず税理士等の専門家に確認してください。
 
 

 自社株の評価

資産管理会社を設立し、会社で不動産を購入して経営している人にも3年以内ルールがあります。
 
社長が亡くなり相続が発生すると、その社長が持っている会社の株式も相続財産として相続税がかかります。この時の相続財産である自社株の相続税評価額を下げて相続税を安くしたいというときに注意が必要です。
 
中小企業(取引相場のない非上場企業)の自社株の評価において会社所有財産の中に土地や建物など不動産がある場合には、実際に取引されている不動産の時価ではなく相続税評価額で算定します。
 
しかし、通常、不動産購入価格より相続税評価額の方が低いのですが、3年以内ルールのとおり、3年以内に会社で購入した不動産は、相続税評価額として評価することができず、「購入したときの価格(時価)」となってしまうのです。
 
このように、会社で相続開始3年以内に取得した不動産に関しては相続税評価ではなく時価で算出するというルールにも注意が必要です。
 
 
 
ここまで、3つの3年以内ルールをご紹介しました。
 
もしこのルールに該当すると、相続税の負担が減らないということです。専門家やニュースが早めに対策したほうがいい!と言っている理由の一つがこの3年以内ルールです。
 
生前贈与や貸付用小規模宅地の特例等はちゃんと使って、相続税を安くしたいですよね。
駆け込み的な対策はせず、3年以内ルールを意識しなくもいいほど早めに相続対策を進めていきましょう。
 
 

 早く対策することによってより多くの資産を子に残すことができる

手をつなぐ家族
 
早めに相続対策を進めるべき2つ目の理由は、「早く対策することによってより多くの資産を子に残すことができるから」です。
 
ここではより多くの資産を残すために出来る限り早めに対策スタートしたほうがいいことの代表的な2つをご紹介します。
 
 

 現金やアパート等の生前贈与

『相続税より贈与税の方が税率は高いし、生前に贈与して資産を渡していくより、相続で渡すほうが、資産を多く残せるのでは?』と言われることがあります。
 
しかし、一定条件のもと生前贈与をすることで、相続のときよりも多く資産を残すことができます。
 
現金を生前贈与、アパートの建物を生前贈与について、次の2つの記事にまとめましたので、ぜひご覧ください。事例を使った計算、生前贈与を早めに進めたときのメリットを解説しています。
 
贈与と相続、財産を多く残すならどちらがいい?相続のプロがポイント解説
アパートの相続対策は贈与と相続どちらが有効?相続税・贈与税の違いと選択基準を解説
 
 

 資産の組換え

親は使っているから必要だけど相続する子は使う予定がない、手つかずで放置されている、権利関係が複雑で今のうちに何とかしておきたいなどといった不動産はありませんか。
 
このようないずれ不要となる、または今使っていない不動産に相続税を払いたくないからと生前に売却することは往々にしてあります。
 
そして売却した後は、不動産が現金に変わります。
現金をそのまま持っているよりも、その現金をつかって不動産などを購入することにより相続税評価額を下げる(相続税が下がる)ことができます。
 
この相続対策を資産の組み換え対策と呼び、不動産の相続税対策の代表格です
 
資産の組換えについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
 
相続税はいくら減らせる?タワーマンション節税のカラクリと見逃しがちな注意点
相続対策に使える小口化不動産とは?5つのメリットと留意点をお伝えします。
 
 
組み換えに早めに取り組むことで、資産をより多く残せます。そのポイントは2つあります。
 

(1)どの資産を組み換えるかなど、組み換え計画を立てること

資産の組換えを早めに行うことで、より多くの対策を実行できます。
 
所有資産のうち、どの資産をどのような資産に組み換えるか、また組み換えたことによる効果の検証を行います。組み換えたことにより、遺産分割で揉めるようなことがあってはなりませんし、相続税の納税資金が足りなくなったでは笑えません。
 
資産の分析やマーケット調査などを行い、お客様と専門家が意見を出し合い、時間をかけて作り上げます。
 
対策を練り上げるにも時間がかかりますが、1つの対策を実行するにも相応の時間を要します。作り上げた計画をすべて実行し、より多く資産を増やすようにしたいですね。
 

(2)不動産の売却と希望条件に合う不動産の購入のために十分な時間を取ること

不動産を使った資産組み換え対策は、相当時間がかかります。
 
売却:仲介会社の選定や依頼から買主を見つけて売却完了まで一般的に6か月間はかかります。
購入:条件に合った物件を見つけるまで1年以上かかることもあります。
 
組み換え対象の不動産が一つであれば売却と購入を合わせて1年半くらいで完了しますが、複数ある場合はもっと時間がかかります。早めに資産組み換えを実行することで、複数の不動産の組み換えができます。また、購入しないと資産組み換えは完了しませんから、希望に合う物件をじっくり探せるというのも早期に進めるメリットではないでしょうか。
 
 
このように親が元気なうちに早めに対策を進めることで、より多く資産を増やすことができます。
 
しかし、親がいつまでも元気でいてくれればいいのですが、体調が急に悪くることもあります。もし、認知症などで意思判断能力が喪失してしまうと、契約行為はもちろん、資産を動かすこともできなくなります。せっかく作り上げた計画が実行できなくなることや、不動産の取引も一切できなくなります。

 
 

 親の体調が悪化するとできなくなる対策がある

高齢者と車いす
 
相続対策を早めに始めるべき理由3つめは「親の体調が悪化するとできなくなる対策があるから」です。
 
 
人は健康ではなくなってから相続を迎えるまで、およそ10年あるというデータがあります。
 
もし認知症などによって意思判断能力がなくなったとすると、資産を動かせなくなる期間が10年あるということです。つまり、望んだ相続対策ができなくなることになりかねません。
 
ですから、健康である今のうちから相続対策を始めるべきなのです。
 
意思判断能力があるうちにある制度を活用しておけば、たとえ親が意思判断能力を喪失しても、子が代わりに親の資産を管理したり相続対策をすすめるようにできます。
 
その制度とは、家族信託です。
 
家族信託とは。
家族信託ってなに?概要や仕組みをわかりやすくイラスト解説!
家族信託と法定後見制度どちらがいいの?二つの違いを徹底解説!
 
 
家族信託は、アパートを持っているような人のためだけにあるのではありません。
『自宅1つでも不動産を持っている』『不動産はないけど、現金があって、先々相続対策をしたい』という方も検討したほうがいいでしょう。
 
例えば、親が高齢になり自宅での生活が難しくなってきたので介護施設に入所させることにしたとします。
 
「その施設利用代金を、自宅を売却した代金で支払いたい」という希望があっても、自宅の所有者(親)が意思判断能力を喪失していたらその自宅は売却できません。しかし、家族信託をしていれば、自宅の売却を子ができるようになり、施設の利用代金を用意することができるのです。「自宅が一つだから対策しなくても困らない」ではありません。
 
 

プロサーチ株式会社では、本記事でご紹介した資産組み換え対策や家族信託などの相続対策の無料診断が可能です。
 
私の家族にはどのような対策が必要か、何ができるのか。気になる方はぜひこちらから無料診断をお試しください。
 

 

 
 

 まとめ

 

・早めに相続対策をすべき理由(1)3年以内ルールによって相続対策が無効になる(2)資産を多くのこすことができる(3)親の体調が悪化するとできなくなる対策がある
 
・3年以内ルールとは、相続発生日からさかのぼって3年以内の相続対策はなかったことになる相続税法上の決まりのこと。生前贈与、貸付用小規模宅地の特例、自社株の評価などに適応される。
 
・不動産の売却や購入による資産組み換えの相続対策は節税に効果があるが、時間がかかる。その間に親の体調に変化があると、対策がとん挫してしまう可能性もある。
 
・認知症などによって親の意思判断能力がなくなってしまうと、親名義の財産を動かすことができなくなる。それを防ぐために元気なうちから「家族信託」を検討しておく必要がある。

 
 
相続対策は早く取り掛かることで、相続税などの税金を抑えることができ、子への資産移転がスムーズにおこなえます。
 
あと少し早く相続対策を始めていれば・・・と後悔しないように、相続税のことや、資産対策、遺産分割、相続税の納税などの相続対策が必要だなと感じている方は1日でも早く着手したほうがよいでしょう。
 
 
 

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もし本人(親)が認知症になってしまったら、現預金の引き出しや、実家を売却するなどの行為が自由にできなくなるのはご存知でしたか?
 
例えば、親の預金口座での生活費の管理ができない、老人ホームへの入所金を確保するため 不動産を売却しようと思ってもできないなど、計画していた今後の生活に支障がでてしまうのです。
 
しかし、認知症になっても計画したとおり安心して財産管理ができ、そして子どもに資金面や財産管理などでの負担を軽くできる対策があります。
 
それが、「家族信託」です。
 
家族で財産を管理する「家族信託」という対策方法をこの機会にぜひ知ってほしいと思います。
 

< お伝えする内容 >
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< ぜひ聞いていただきたい方 >
・本人(親)が70歳以上で、体調面に不安がある方
・自分や家族のために財産管理をしっかり行っていきたい方
・財産管理をそろそろ子どもに任せたい(任せて欲しい)と思っている方
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この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

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