空き家を放置すると固定資産税が6倍?!いま知っておくべき相続空き家にまつわる税制度

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空き家を放置すると固定資産税が6倍?!いま知っておくべき相続空き家にまつわる税制度写真

2021.8.3

 
 
親が実家を利用しなくなったときのことについて、「子が引き継ぐ」「売却する」「賃貸する」などの方向性を家族で話し合ったことはありますか?
 
多くの方は気になりながらも、今すぐの問題ではないから何もしていないのではないでしょうか。
 
しかし、使わなくなった不動産を放置したり、相続登記を行わなかったりすると余計な税金や過料を支払わなければならない可能性があります。
 
そうならないために、現在の固定資産税の基本事項や相続登記に関する新しい法律、不動産を売却するときに使える税制を知っておきましょう。
 
本記事では、空き家となる実家を取り巻く税制や法規制についてお伝えします。
 
 
今回のポイントは以下の通りです。
 

・空き家を放置し「特定空家等」に認定され、勧告を出されると固定資産税は6倍になる。
 
・相続登記は今後義務化され、これに違反すると過料が課される法律ができた。
 
・実家の売却には譲渡所得税の3,000万円特別控除の特例を使い、納税額を抑えることができる。
 
・実家の買い手がつかない場合には国か専門事業者に引き取ってもらうこともできる。

 
 
■関連記事
相続対策に成功する家族と失敗する家族の違いとは?ゼロからわかる相続対策の進め方

 
 

増え続ける空き家

 
内閣府の令和2年高齢社会白書によると、65歳以上のご夫婦単独世帯において、実に87%が自宅を所有しているということが発表されました。今後、老人ホーム等に入居したり相続が発生したりすることによって、空き家が爆発的に増えるのではないかと言われています。
 

 

子どもが実家に住むということもありますが、核家族化が進み子どもたちは親から離れて家庭を築いており、実家とは活動拠点が異なっていたり、そもそも持ち家であることが多いです。
 
空き家になった実家が有効利用されないままであったり、放置され所有者が不明となっていたり、空き家を巡る問題は今後さらに深刻化するでしょう。国もこの空き家問題にかなり本腰を入れて取り組みし税制や法律の改正をしています。
 
 

空き家を放置すると固定資産税が増額!?


 
遺産分割で揉めずに親の実家をすんなり売却できたり、有効活用需要があったりすれば、空き家問題に直面することはないでしょう。
 
しかし、売却や活用をしたくてもその需要が少なければ、売却等ができるその日まで費用をかけて維持せざるを得ません。
 
また、実家を相続したけど使う予定がなく、建物の維持管理が大変だからと建物を解体してしまうと、固定資産税はなんと6倍近く上がることになってしまいます。
 
固定資産税が増えてしまうから解体も何もしないまま実家を放置している、という家も多いのではないのでしょうか。
 
行政としては空き家を放置されると、家屋の倒壊によって人命が危険に及ぶ可能性がある、住環境が悪化する、人が住みつかないので住民税などの税収が減る、などいろいろな面で困ってしまいます。
 
そのため、放置され危ないと認定された「特定空家等」には固定資産税の特例を使わせない、つまり増税すると法改正しました。
 

 

固定資産税の土地評価額は更地がベースとなり価格が求められます。そして、住宅が建築され住宅用地となると住宅1戸あたり200㎡部分までの土地評価額を6分の1(200㎡を超える部分は3分の1)とする特例があります。※都市計画税の減免もあり。
 
今回の特定空家等に該当すると、土地評価額を6分の1とする特例の除外となってしまうのです。
 
 

例えば、固定資産税評価額4,500万円の200㎡の敷地があるとします。
 
この敷地が更地の場合の年間固定資産税は、
4,500万円×税率1.4%=630,000円 
です。
 
この更地に一軒家が建っているとすると、固定資産税評価額が特例により6分の1になるので
4,500万円×1/6×税率1.4%=105,000円
となります。
 
しかし、この一軒家が特定空家等に指定され、勧告が出されてしまうと、特例の対象外となり更地と同じ額の税負担をしなければなりません。
 
 
詳しくは『空き家によって本当に困ることはコレ!売れない貸せないまま固定資産税が6倍に!?』をご覧ください。
 
 

相続登記の義務化

 
固定資産税等の税負担をしたくないからと、相続しても登記せずに放置する(誰が現在の所有者かわからなくなる)といった実家を放棄する方がかなり増えていました。これにより所有者不明の土地が九州の土地面積もあるほど、手に負えないくらい増え続けています。
 
ここにメスが入ることとなりました。
 
これまで不動産登記は義務ではなかったのですが、相続した不動産の登記(相続登記)を義務化する法律改正がなされ、2024年を目途に施行されます。
 
この法律改正によって、2024年以後だけでなく以前の相続についても不動産登記が義務となり、「実家を相続登記せずに知らんぷりして放棄する」といったことはできません。しかも過料も設定されました。
 
『相続登記の義務化はいつから?怠ると10万円以下の過料?!施行までにそなえておきたいポイント』で、改正のポイントと準備しておくことを詳しく解説しています。
 
 

なお、プロサーチ株式会社では、老後や相続を理由とした不動産売却、処分に困っている不動産について、賢く売却する方法や引き取り方法のアドバイスなどを承っています。本記事読者様は個別相談(90分間)を無料でお受けしていますので、お気軽にお問合せください。
 

 

 

 
 

譲渡所得税の3,000万円特別控除を知り賢く売却する


 
「実家をどうするか」の方針を考えたいけど、そもそも実家のことよりも、日々の生活が忙しくて後回しにしたり、遠方だから中々行く機会がなく考えていないなどの理由で何年も放置してしまっていませんか。
 
しかし、例えば「実家(自宅)の売却で、〇年以内に売却すると譲渡所得税が最大600万円も下がる」と知っていたら、それでも売却するかどうかの検討を後回しにするでしょうか。
 
これまで 「老人ホーム入所資金を捻出するため」「相続で取得したが誰も使わないから」などを理由としたご実家の売却サポートを数多くしてきましたが、多くの方が上記の特別控除のことを知りませんでした。
 
本記事を読んでいる方、“いつか考える”ということでも良いので、実家(自宅)を売却するときの相続前と相続後、それぞれに売却時の3,000万円特別控除という税特例があることを知っておいてください。
 
そして、それら適用要件を知り、相続前に売却するのか、相続後に売却するのかの判断ポイントとして考えてみてください。
 

 
※「相続空き家の3,000万円控除」の特例の期限は令和5年12月31日まで延長しています。
※各種特例には適用要件があり満たす必要があります。詳しくは税務署や税理士へ必ずお問い合わせください。
 
相続空き家の3,000万円控除についてはこちらで解説しています。
 
「早くしないと損するかも?相続空き家の3000万円特別控除をつかって空き家の実家を賢く売却する方法」

 
どちらの場合でも、親(本人)が住まなくなってから、『相続が発生した日から3年経過する日の属する12月31日までに売却すること』が適用要件の一つです。
 
気付いたらその期限が過ぎていた、とならないようにこの期限は押さえておきたいですね。
 
 
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売れない不動産の処分方法


 
 
「相続した実家の固定資産税や維持管理(植栽剪定、空気の入替や定期的な視察等)の負担が大変。次世代には残さないように自分の代でなんとかしておきたい。」と、お困りではありませんか?
 
『相続放棄』という手段がありますが、特定の財産だけを放棄することはできず、すべての財産を放棄しなければなりません。例えば、現預金は相続し、実家だけを相続放棄したい、といったことはできないということです。
 
買い手のつかない実家など、“不要な不動産の処分”については2つ方法が考えられます。
 

1.国に引き取ってもらう
2.引取り事業者に引き取ってもらう

 
国に引き取ってもらう制度は2年以内を目途に今後施行されるものですが、この機会にぜひ知ってください。
 

 
国も引き取り事業者、どちらも所有者がお金を支払って引き取ってもらうこととなります。
 
国が引き取る際の料金は、現時点(2021年8月3日)では公表されていません。本法律が施行されるのが、令和3年4月28日から2年以内とされていますので、それまでに明らかになっていくでしょう。
 
一方、引き取り事業者が引き取る際の料金は、(1)土地一筆あたり10万円~、(2)固定資産税の負担がある場合は固定資産税の20年分程度、のように土地の状況などにより追加料金があります。
 
料金も重要ですが、それよりも 引き取る際の土地の条件に注目です。
 
国の条件は相当厳しく、土地の境界確定や樹木の伐採などとにかく多岐にわたります。
 
詳しくは【2021年】相続した土地を放棄できる制度が創設。どうなる土地問題?をご覧いただき、処分したい不動産の状態と照らし合わせてみてください。
 
また、引き取り事業者の引き取り条件など詳しく知りたい方は、弊社が当事業者にインタビューしたこちらの記事にある動画をご覧ください。
 
 

空き家について困ったときなど不動産の処分・活用方法について無料診断受付中

 
プロサーチ株式会社では、老後や相続を理由とした不動産売却、処分に困っている不動産について、賢く売却する方法や引き取り方法の無料診断が可能です。空き家の賃貸、売却など処分活用方法についてプロの目で診断しております。
 
どんな対策が必要か、何ができるのかを気になる方はぜひこちらから無料診断をお試しください。

 
本記事読者様は個別相談(90分間)を無料でお受けしていますので、お気軽にお問合せください。
 

 

 
 

まとめ

 
今回のポイント
 

・空き家を放置し「特定空き家」に認定されると固定資産税は6倍になる。
 
・相続登記は今後義務化され、これに違反すると過料がかされる法律ができた。
 
・実家の売却には譲渡所得税の3,000万円特別控除の特例を使い、納税額を抑えることができる。
 
・実家の買い手がつかない場合には国か専門事業者に引き取ってもらうこともできる。

 
『実家(自宅)をどうするか』を考えるときには、実家相続で損をしないためにも、不動産にかかる税制や法律面や相続承継まで見据えた公平的なアドバイスをしてくれる専門家に相談することをおすすめします。
 
 
 

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この記事の監修
プロサーチ株式会社 代表取締役 松尾 企晴(まつお きはる)

20歳のとき母方の祖父母を火事で亡くし、祖父祖母の相続では兄妹間の争族に発展。『またいつか』ではなく『すぐにでも』行動しなければならないことや、どれだけ仲の良い兄妹でも揉めることを痛感。会社の事業理念に『家族の物語をつむぐ』を掲げ、不動産等のモノだけではなく、親や子に対する想いや思い出などのコトも含め、家族が織りなしてきた物語(モノやコト)を親から子へと継承していくことこそが【真の相続】と考え、不動産相続のプロとして、お客様の気持ちを聴き、寄り添う姿に多くの顧客から評価を得ている。
現在は全国から寄せられる相続に関する相談の解決に尽力しながら、家族信託の提案や、相続問題解決のヒントをメルマガ・セミナーなどで情報を発信している。

 

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